闇株新聞[2018年]
2016年11月11日 闇株新聞編集部

まさかの大波乱、米国にトランプ新大統領誕生!
米国債利回り上昇で12月利上げが「必要」に

闇株新聞もびっくりのトランプ氏当選

米国の大統領選挙はご存じの通り大方の予想を覆し、ドナルド・トランプ氏が当選しました。政治経済のプロも愛読する刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では、早くから“日本にとって最悪の大統領候補”とするヒラリー・クリントンで「残念ながら決まり」と見ていましたが、この結果を受けて分析のやり直しを進めています。

英国のEU離脱国民投票に続いて
民意はまたもありえない決断を下した

 米国の第45代大統領がドナルド・トランプに決まりました。米国の主要メディアは投票終了直後でも「ヒラリーが80%の確率で当選」を予想しており、結果を受け「驚くべき番狂わせ」と報じています。

 本誌も以前から「ヒラリーは日本にとって最悪の大統領候補」と書いてきましたが、それでも結果は「残念ながらヒラリーで決まり」と考えていました。

[参考記事]
●トランプがついに支持率逆転!? ヒラリー「私用メール問題」が米大統領選投票直前に再調査の「異常事態」(2016年11月4日)
●米大統領になるのはヒラリーかトランプか!? 本選挙1カ月前、世界の経済・金融はどうなる?(2016年9月23日)
●死に体のオバマ政権で世界経済が大混乱も。次期大統領がヒラリーなら日本には最悪!? (2015年10月23日)

 6月24日の英国EU離脱に続き、民意は「ありえない選択」をしてしまいました。オバマ政権8年間の閉塞感が重く、米国民は「ヒラリーではあまり変化が期待できない」と判断したのでしょう。

 来年はフランス大統領選を始め世界で民意を反映するイベントが目白押しです。引き続きこうした番狂わせが続発しそうな予感がします。
 

基本的な政策はヒラリーの場合と変わらず
ただ具体的なところはまだほとんどわからない

 大統領選と同時に行われた議会選挙でも、共和党が上下院で過半数を確保しました。ただ、トランプは共和党やその支持団体の支援を受けていたわけではありませんから、民主党とも共和党とも対立する「不思議な政権構造」となるかもしれません。

 過激な発言ばかりが目立つ外交面でも、具体的な政策はほとんどわかりません。というより、これから選ぶ各閣僚や各部門の責任者の顔ぶれによって大きく変わるはずで、その選考が大変に重要となります。

 どこの国でも「自分をうまく売り込む輩(やから)」は多く、その人の能力や背景をよく見極める必要があります。背景とは、どの国あるいはどの団体の利益を代表しているのかという意味です。フランクリン・ルーズベルト政権の奥深くにコミンテルンのスパイだったハリー・デクスター・ホワイトが入り込んでいたようなことが起こらないとも限りません。

【編集部注】ハリー・デクスター・ホワイトとは
フランクリン・ルーズベルト大統領の時にヘンリー・モーゲンソン財務長官のもとで財務次官補を務めた人物。実はソ連の工作員(スパイ)で、「ハル・ノート」草案作成に関わり日米を開戦に導いたとされる。

 つまり新政権の基本方針や各方面の政策などが決まるのは、まさにこれから。基本的には国内産業保護、ドル安、財政赤字拡大でしょうが、それはヒラリーでも同じだったはずですで、トランプ新政権の政策を織り込んだ円相場や日経平均を今から予想するのは全く不可能(というより無意味)です。

 大統領選の開票と同時並行で取引されていた東京市場では、「ヒラリーが勝つはず」と考えられていた午前10時ころに円相場が1ドル=105.46円、日経平均が256円高の1万7427円まで円安・株高となっていました。しかしトランプ優勢が伝えられてくると午後2時過ぎには1ドル=101.18円、日経平均が1060円安の1万6111円と急激な円高・株安となりました。

 ただ、これは予想外の結果に市場がパニックに陥っただけで、翌10日の日経平均は全面高、今年最大の上げ幅(1092円高)で1万7344円まで戻し、為替も1ドル=106.09円とほぼ元通りになっています。

 本誌はいつも「相場は常に正しい」「迷ったら相場に聞け」と主張していますが、世界中の参加者がよくわからない中で形成される相場も「常に正しい」といえるのかどうかは、大変に悩ましいところです。

米国10年国債利回りの上昇が気になる
FOMC「12月利上げ」の可能性が急浮上!

 ただ、大統領選を挟んだ世界の金融市場を見回して最も気になったのは、米国10年国債利回りが急上昇したことです。大統領選前日には1.85%だったのが翌9日には2.05%になりました(ちなみに英国のEU離脱直後の7月8日は1.35%で、7月下旬でも1.55%でした)。

 米国10年国債利回りは、すっかり管理相場となった日本の10年国債利回りとは違い、米国経済に対する市場の見通しを比較的正確に反映していると考えます。つまり市場は、①米国経済が回復して資金需要が拡大する、②インフレが加速する、③株式市場や不動産市場が過熱する、④米国財政赤字が拡大するなどと考えていることになります。

 恐らくこの4つすべての複合予想(期待)のような気がします。今後がどうなるかはわかりませんが、少なくともトランプ当選直後の市場の反応(期待)がこの4つだったことは、覚えておく必要があります。

 しかし、こうなるとFRBは12月に「今度こそ」利上げする必要が出てきます。最初の利上げがあり、さらに年間4回の利上げが必要と予想されていた昨年(2015年)12月の10年国債利回りは2.2%台でした。

 そこから今年(2016年)1~2月の中国ショック、6月の英国ショックがあって10年国債利回りはずっと1%台半ばで低迷していました。本紙も「経済活動のインセンティブである長短金利差(利鞘)をますます縮める利上げは行うべきではない」と主張していたところであり、実際に12月利上げの確率もそれほど高くないと考えていました。

 しかし、逆に10年国債利回りが2%台に定着するようなら、今度は利上げを躊躇してはならないことになります。年内のFOMCは12月13~14日の1回だけで、来年(2017年)はFOMCが年8回になり最初が大統領就任式(1月20日)後の1月31日~2月1日なので、本年12月の利上げは「絶対に必要」となります。

 そこをトランプ新大統領に遠慮して見送ってしまうと、今度こそ手遅れとなって米国経済の成長を逆に弱めてしまうでしょう。

 本紙は円相場と日経平均の見通しについて、本年6月から一貫して「(少なくとも年内いっぱいは)安定期間であり、変動幅がますます縮小する」と論じていましたが、米国の状況変化を受けて修正する必要が出てきそうです。

 その辺りをじっくり考えて、来週月曜日に配信する金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では、より深くより詳細に解説をしてまいります。

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