ネット証券会社比較
【第34回】 2012年7月19日 ザイ・オンライン編集部

“塩漬け株”にも働いてもらおう!
「貸株」で最大年利5%+優待や配当も!

せめてもう少し株価が戻ったら…と思っているうちに時間が過ぎて、すっかり「塩漬け」状態になっている持株はないだろうか? 今回は、そんな「塩漬け株」にしっかり働いてもらう方法をご紹介!

長期保有派なら見逃せない、株を預けて金利がもらえるサービス

 塩漬けかどうかに関わらず、長期間保有中、あるいは保有するつもりの株式の有効利用法として、ぜひ注目したいのが「貸株サービス」だ。

 貸株サービスとは、保有している株式を証券会社に貸し出す代わりに金利を受け取れるというサービスで、いわば「株式版の銀行預金」。しかも、金利は銀行預金よりもずっと魅力的で、貸出金利は最低でも年0.1%、最高ならなんと5%にもなる。

 ちなみに、証券会社が貸株サービスで個人投資家から借りた株は、信用取引などの決済で株式が必要な機関投資家に貸し出される。そして、機関投資家から貸株金利を受け取り、それを個人投資家に支払うという仕組みになっている。

 現在、貸株サービスを行なっているネット証券は、SBI証券カブドットコム証券マネックス証券の3社(下の表参照)。いずれもネットから申し込み可能で、利用料などはかからない。また、保有株のすべてを貸し出す必要はなく、個別に貸し出し銘柄を選択することもできる

 では、実際に受け取れるお金はどのくらいなのか、気になる金利について詳しく見ていこう。

 まず受け取れる金利は、銘柄ごとに設定されていて、同じ銘柄であっても見直しによって途中で金利が変更になることもある。また、3社とも特に貸出金利が高い銘柄を用意していて、SBI証券カブドットコム証券の場合の最大金利は年5%になる(銘柄ごとの適用金利については、各社のログイン後のページで確認できる)。

 次のページでは、実際にどれだけ金利が稼げるのかを計算してみる。

 たとえば、株価2000円のAという銘柄を100株保有していて、仮に1年間株価が変わらなかった場合、受け取れる金利はいくらになるだろう?

 1日分の金利は、「株価(評価額)×保有株数×金利÷365(1/100円未満切り捨て)」で計算されるので、1年分ではこれに365をかけて計算する。

・金利0.1%の場合…約197円
・金利0.5%の場合…約996円
・金利5%の場合……約9997円

 一方、メガバンクの1年物の定期預金金利は0.025%(7月17日現在)なので、メガバンクに20万円を1年預けた場合の利息はわずか50円(税引き前)。

貸株サービスを利用すれば、「塩漬け株」でもしっかりお金を稼いでくれることがよくわかる。特に、金利5%が適用されるような銘柄では、貸株サービスを利用していないとかなりもったいないと言ってよいだろう。

貸株サービスを使っていても、配当や株主優待も受け取れる!

 ところで、「配当」や「株主優待」が目的で、塩漬け株をあえて保有し続けているという人も少なくないはず。配当や優待が受け取れなくなってしまっては元も子もなくなってしまう。

だが、心配は要らない! 貸株サービスを利用しても、配当も株主優待も、多くの場合は受け取ることができる

 まず、配当については証券会社に株を預けっぱなし(=株式の名義が証券会社になっている)の場合は、各会社からの配当は入金されないが、代わりに配当金から源泉徴収相当額を引いた「配当相当額」が、証券会社から総合口座に入金される。

 また、株主優待の場合は、3社とも優待の権利を自動的に取得するサービスを用意している。これに申し込めば、優待銘柄は権利付最終売買日の前後に一時的に貸株サービスから外して名義を元に戻してくれるため、優待の権利はしっかり獲得できる(優待と配当の権利確定日が同じなら、配当も通常どおりの方法で受け取れる)。

 ただし、注意したい点がある。この方法では権利確定日のたびに株主番号が変わるため、同じ株主番号が条件になっている長期保有優遇制度の株主優待は取得できない。また、「株主優待取得サービス」のもとになっているデータは四半期ごとに見直されるため、直近で優待の権利確定日が変更になったり優待が新設された場合などには、対応できない可能性もある。

 そこで、長期保有優遇の優待を獲得したい銘柄については、貸株サービスを申し込まない、また確実に優待を獲得したい銘柄は権利確定日の前に手動で貸株サービスから外すなど、多少面倒だが個別の策を講じるとよいだろう。

 なお、貸株サービスで得た金利と、総合口座に入金された配当相当額は「雑所得」となり、他の所得と合算して課税される。合計の所得金額によっては確定申告が必要になる場合があるので覚えておきたい。

「塩漬け株」を担保に、FXや先物・オプションの取引ができる

 「塩漬け株」には、他にも「他の取引の担保にする」という使い道がある。信用取引を利用している人なら、現物株を担保として活用している人は多いだろう。

 ほとんどのネット証券では、現物株を担保として差し入れられるのは信用取引のみとなっている。しかし、SBI証券カブドットコム証券松井証券では、信用取引以外にFXや先物・オプション取引の証拠金にも現物株を利用することが可能で、塩漬け株の活用の幅が広がる(下の表参照)。

 ただし、信用取引の担保として利用する場合も同様だが、現物株は株価が下がればその分担保価値も下がってしまい、場合によっては現金の追加証拠金が必要になることもあるので、その点には十分注意が必要だ。

 証券会社の貸株サービスを利用するもよし、信用取引はじめFXや先物・オプション取引の証拠金にして効率的な取引を行なうもよし、「塩漬け株」もただの漬けっ放しではなく、ムダなくおいしく活用する方法を検討してみては?

(取材・文/肥後紀子)