FP花輪陽子のシンガポール移住日記
【第1回】 2015年10月30日 花輪陽子

FP花輪陽子がシンガポールに移住した理由は?
子育て環境はいいものの、物価やサービスは……
海外移住で見えてきた、日本の良さと問題点

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。実は夫の仕事の関係で、今年6月から1歳の娘と家族3人で、シンガポールで生活をしています。

 この連載では、「今、一番熱い」と言われているシンガポールから、生活経済や子育て事情、注目すべき制度など、日本と比較して実際にどんな違いがあるのかを中心にお伝えさせていただきます。

 第1回となる今回は、まず、私がなぜシンガポールに生活の拠点を移したのかということをお話しします。

シンガポール移住の理由は夫の海外赴任
FPとしての仕事が続けられるのか、という不安も

「マリーナ ベイ サンズ」の前シンガポールのランドマーク的なホテル「マリーナ ベイ サンズ」の前にて。マリーナエリアは世界中の観光客でいつも賑わっています。

 現在、シンガポールの在留邦人数は3万1038人(2013年在シンガポール日本国大使館シンガポール在留邦人数調査統計)です。外務省の調べによると、2013年9月のシンガポールの人口は547万人(うちシンガポール人・永住者は387万人)なので、人口の約0.5%が日本人ということになります。

 日本企業の駐在員の他にも、震災後に地震がほとんどないシンガポールに移住した富裕層、起業や節税目的で移住した人などもたくさんいます。

 日本人が多いと言われているとはいえ、たかだか人口の0.5%ですから、実際に街でも日本人スーパーや日本のデパートに行かないと、なかなか日本人を見かけないくらいのイメージです。

 私たち夫婦がシンガポールに移った理由は、夫がシンガポール赴任を希望したからです。彼は就職先としても大企業よりベンチャー企業を選んでしまう人なのですが、職場を決める一番の理由としては「今、一番熱いところに身を置いて、その勢いを肌で体感したい」ということなのだそうです。

 そういう夫なので、今一番成長著しいアジア、その中でもアジアのハブであるシンガポールに身を置きたかったようです。また、他の国でも収入を得て暮らせるようにしておきたい、ということもありました。

 夫にとっては大きなチャンスとも言えるシンガポール赴任なのですが、FPとして日本で活動をしていた私にとっては、活動の幅を制限せざるを得ない状況になってしまいます。夫に相談されたときは、「これまで築いてきた私の仕事はどうなるのだろう?」「海外で親戚もいない中、1歳の娘の育児を一人で(夫の帰宅は遅い)できるのだろうか」と正直、不安でいっぱいでした。

「家族みんなで一緒に暮したい」というのが私と夫の一番の希望で、いつの間にか「家族みんなで行くか」「赴任自体を諦めるか」という二択になってしました。納得できるまで1カ月程度時間がかかったのですが、メリット・デメリットを並べてメリットのほうが多かったので、シンガポール行きを決行しました。

プレスクールやデイケア、シッターなど、
子育て環境が充実しているシンガポール

 私の仕事に関しては、テレビ出演や講演以外の執筆や取材などは継続できています。執筆に関しては、海外という新しいコンテンツが増えて、むしろシンガポール行きがプラスになったように思います。

 シンガポールは家賃や食費を始めとした物価が高いので、夫の収入中心で生活できるのかが一番の懸念材料でした。夫の勤務先はベンチャーなので手当ては薄いほうなのですが、それでも海外赴任手当、住居費の補助、海外旅行保険費用、子供の手当などがありました。手当も報酬になりますから、実質的に夫の収入は上がったことになり、私の収入ダウンと相殺できそうでした。

 1歳の娘に関しては、東京にいるときには保育園を探していたのですが、結局希望が叶わず、1時間2500円するベビーシッターを泣く泣く利用していました。

 しかし、シンガポールでは、1歳半や2歳からプレスクール(就学前に通う学校。シンガポールでは保育園と幼稚園の違いがあまりなく、幼稚園でも保育園のように長く預かるところもある)に入れることもできますし、月10万円程度で住み込みのメイドを雇うことも可能です。

 その他、デイケア(一時預かり)やベビーシッターサービスもあります。今のところ家庭で保育をしており、必要に合わせてベビーシッターを利用しようと思っていますが、いざとなったときにさまざまな保育サービスを利用することができるので心強いです。

 また、多くの集合住宅にプールがあり、子供の遊び場に噴水がある場合も多いために、遊ばせる場所にも困りません。東京にいたときよりも育児は楽になりました。

 すでに何回も娘を病院に連れて行っているのですが、自由診療なので値段もサービスもピンキリではあるものの(専門医にかかったときは保険が効いたが、医療費は30万円だった)、医療技術は日本よりも高そうです。英語と中国語が公用語になっているシンガポールでは、両方の言語が学べる上に教育レベルも非常に高いので、子供の教育環境もとてもよさそうです。

日本産のダイコンは1本1000円と、物価は日本より割高
シンガポールでの生活で見えてくる日本の良さとは……

 物価はどれくらい高いのかというと、日本の食材や日用品などをシンガポールで購入しようと思うと、日本で買うときの2~3倍程度(ものによってはもっと)の値段になります。

 例えば、お米なら5キロで4000円前後、牛肉は200gで1000円前後(ブロック肉が主で日本のような薄切り肉は高い)、日本産の大根1本で1000円前後、冷凍うどん(3つ入り)で500円前後、外食のラーメン1杯2000円前後といった感じです。

 日本のものは高いのでなかなか手が届かず、野菜や肉はオーストラリア産などを選んでいます。外食も雰囲気のよいレストランでランチをすると一人3000円くらいになる(ランチも夜のメニューと同じ)のですが、フードコートや「フォーカー」と言われる綺麗な屋台のようなところは、1000円前後でお腹いっぱい食べることができます。

 お盆に日本に一時帰国をしたのですが、日本は物価が低いので天国のように感じました。500円ちょっとで食べられる「松屋」や「天丼てんや」の丼物を食べて感動したり、スーパーで5キロ1200円のお米を見つけて感動をして思わず担いで帰ろうかと思ったり……。冷凍うどん(3つ入り)も100円程度でなんて素晴らしいのだろうと、スーパーで大興奮でした。

 そして、手を挙げるとすぐにつかまえられて、荷物をトランクに入れてくれるタクシーに感動しました。シンガポールだと、アプリで予約をしないと(数百円かかる)タクシーがなかなかつかまりません。道路でタクシーをつかまえてはいけないところが多く、タクシースタンドも長蛇の列なのです。

シンガポールの渋滞平日の朝や夕方、それに週末は、車でごった返して道路が大混雑することもしばしば。

 その上、目的地とドライバーの行きたい方向が違うと断られますし、トランクに荷物を乗せてくれたりもしません。タクシー代に関しては日本よりもだいぶ安いのですが、サービスは日本のほうがずっとよいです。

 外国に住んでみると、日本の良さ(おもてなし、品質、安さ)、改善点(長時間労働、過剰サービス)などが色々と見えてきます。

 この連載ではこのように、日本とシンガポールの違いを細かいところまでお伝えしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。