資産2億円の個人投資家・エルさんに、2022年1~3月の「急落相場」にどう対応したのかを直撃!
発売中のダイヤモンド・ザイ6月号は、特集「ウクライナ危機&米国の利上げ【波乱相場】でどうしてた?」を掲載。この特集では、芸人であり投資家としても知られる厚切りジェイソンさんや、生涯利益50億円の個人投資家・テスタさん、株主優待名人・桐谷さんなど、さまざまな投資家に波乱相場での行動について聞いている。相場の暴落時にはどうしても不安になりがちだが、そんなときは達人にならい、冷静沈着に行動したいところだ。
今回はこの中から、資産2億円の個人投資家・エルさんのインタビューを公開!
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2021年から準備し、急落相場の前から「保守モード」に切り替え!
激しく売られそうなIT株は整理し、代わりに債券を購入!
2019年まで金融機関に勤める傍ら、得意の米国株投資で1億円超の資産を築き、51歳でFIREしたエルさん。その後は専業投資家として順調に資産を増やし、2022年の3月末時点で、資産額は2億円に到達している。
そんなエルさんは、2021年の時点から「2022年は急落相場もあり得る」と予想して、対策を練ってきた。
「この3年くらい、米国株は好調が続いていました。ただ、利上げやインフレの進行などもあり、さすがに2022年は厳しい状況に転じてもおかしくないとは思っていたのです」(エルさん)
さらにエルさんは、ロシアのウクライナ侵攻についても、2021年・秋の段階で「可能性はある」と覚悟していた。一部の専門家の間では、前々からリスクが指摘されていたからだ。
そうした状況を踏まえ、エルさんは2021年の年末から、投資スタンスを「保守モード」に切り替えている。具体的には、まず保有していた米国株のうち、エッツィー(ETSY)やショッピファイ(SHOP)といった、急落時のダメージが大きそうな新興系のIT株を売却した。一方で、アマゾン・ドット・コム(AMZN)やマイクロソフト(MSFT)といった、大型のIT株は手元に残した。
IT株以外では「最強の10銘柄」を買い増ししている。最強の10銘柄とは、エルさんが独自に選定した”株価も業績も底堅い10銘柄”のこと。生活必需品やインフラなど、多様な業界の大手企業が並んでいる。エルさんは急落対策として、安心感のあるこれらの銘柄への投資割合を増やしたのだ。
そのうえで、2022年1月には債券にも投資している。目的は「資産全体の値動きをマイルドにすること」(エルさん)だ。主な投資対象は、米国債券ETFの「バンガード・米国トータル債券市場ETF(BND)」と、先進国債券型の投資信託「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」で、それぞれ資産全体の5~10%分ずつ購入。金額ベースだと1千数百万円分にあたる。
こうした「防御姿勢」を取っていたことから、年初からの急落相場でも落ち着いていられたエルさん。2月末時点の資産は、年末に比べて8~9%の減少で済んだ。IT株に過度に投資せず、生活必需品のウエイトを高めにしたことや、債券を資産として保有することで「安心感・安定感を得られた」と話す。
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急落が一服してからは、投資家心理を読んで米国高配当株ETFを買い!
割安な株も積極的に買うことで、急落によるダメージは帳消し
続いて、急落が一服した2月以降のエルさんの行動を紹介していこう。まずは、債券関連の銘柄を売却して現金化。そして、不透明さが増す市場における投資家の心理を読み、どういう銘柄に資金が集まりそうかを考えた。その結果、米国の高配当株型ETFの「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(HDV)」を購入している。
「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(HDV)」は、エネルギー株の組み入れ比率が高めで、ウクライナ危機の長期化によるエネルギー価格のさらなる高騰も念頭に置いた判断だったという。
「決して配当を得ることが目的ではありません。投資家の心理として、成長株から、配当がより充実しているバリュー株へとシフトする流れが底流にありました。今回は、特にその向きが強いように思えた。だから、高配当のバリュー株で構成されるETFに期待をかけたのです」(エルさん)
その後の株価推移は堅調で、エルさんは「目論見どおり」と胸を張る。さらに、安くなった日本株についても、信用取引を含めて買い増しを始めた。3月に入り、この日本株の運用がうまくいっていることや、円安が大きく進行したことで、3月末の資産額は2021年末を上回るところまで回復している。
「『こんな下落トレンドで投資するの?』と多くの人が思うかもしれませんが、株価が下がっているということは、同時に割安の銘柄が数多く出てくるタイミングでもあります。ここを『千載一遇のチャンス』と捉えるか否か。毎日経済の動きや企業の発表を見ていると、ここぞという時に決断できるようになります」
未来の危機を見通す力、情報を基に守りを固める判断力、そして速やかに資金を投じる行動力。これらがエルさんの資産運用を支えている。
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