先週の米国株式市場はダウ工業株価平均指数が+0.52%、S&P500指数が+0.50%、ナスダック総合指数が+0.59%でした。
先週金曜日に発表された米雇用統計で、非農業部門雇用者数は15万1000人でした。これはコンセンサス予想18万人を下回りました。このため9月21日に予定されている次の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが発表される可能性は後退しました。
その次のFOMCは11月2日です。大統領選挙の本投票が11月8日に予定されていることを考えると、その僅か5日前に敢えて利上げに踏み切るとは思えません。すると利上げは早くても12月14日のFOMCになりそうです。
9月の利上げが遠ざかったことは、もちろん株式にはプラスですが、むしろ多くの投資家は(どうせ利上げしなければいけないのなら、いつまでも不透明感が続くのはイヤだから、この際、さっさと利上げし、悪材料出尽くしになって欲しい!)と感じ始めています。つまり利上げの延期を素直に喜べないのです。
9月は1年の中でアメリカ株が最も下げやすい月です。したがって引き続きポートフォリオのキャッシュ比率をなるべく高めておきたいと思います。
今週9月7日はアップルの新製品発表会
iPhone 7は「メジャー・アップグレード」にふさわしい新機種か?
今週の目玉のイベントは9月7日にサンフランシスコで開催されるアップル(ティッカーシンボル:AAPL)の新製品発表会です。
そこでは第10世代となる新しいiPhone(iPhone 7という名称になると思われます)がお披露目されます。
iPhone 7はイヤホン・ジャックを廃止することで従来より薄いデザインになり、さらに防水性も向上すると言われています。
防水性が高まるのはユーザーにとって歓迎すべきことですが、イヤホン・ジャックの廃止に関してはワイヤレス・イヤホンを使いこなせないユーザーが出る懸念があります。
またホーム・ボタンはこれまで機械式でしたが、ひんぱんに使用されることからタッチセンス方式にすることで耐久性を向上させるという観測もあります。
iPhone 7はさらにパワフルなプロセッサーを搭載し、カメラの性能も一段と高められると予想されています。
しかし全体としてiPhone 7がこれまで2年サイクルで繰り返されてきたメジャー・アップグレードにふさわしい斬新なものになるか? それともiPhone 6Sのようなマイナー・チェンジになるか? という点は、ハッキリしません。
一説には、アップルのR&D(研究開発)が、2年毎のメジャー・アップグレードに追いついていないという観測もあります。
もしこれまでの2年サイクルが、たとえば3年サイクルに延長された場合、(すぐに買い替えなくても良いな)と感じるユーザーが増えて、iPhoneの売上成長トレンドが鈍化するリスクも考えられます。
なお今回の新製品発表会ではiPhone 7に加えてMacBookのアップグレード、第2世代のApple Watchも発表される可能性があります。
【アップル株の見通し】
PERでは割高感はないものの新製品次第
アップル株は今年の一株利益(EPS)に基づいて約13倍の株価収益率(PER)で取引されています。S&P500指数の向こう12ヵ月のEPSに基づいたPERが16.9倍であることから考えても、割高感はありません。
問題は、このところのアップルの売上高は前年比-14.6%で推移しているという点です。
どんなにPERで割安でも、成長が無ければ株価が上値を追うのは難しいです。
その成長の決め手になるのはiPhone 7がどれだけ魅力的な製品になるか? だと思います。
【まとめ】
9月の利上げは遠のいたが株価軟調は続く
8月の非農業部門雇用者数が15万1000人と予想を下回る数字だったため、9月の利上げは遠のきました。不透明感が拭えないことになるので株価は軟調が予想されます。
今週水曜日のアップルの新製品発表会ではiPhone 7がどれだけ魅力ある製品になるか? に注目したいと思います。アップル株は決して割高ではありませんが、iPhone 7に魅力が乏しいと投資家が感じると、株価の上昇は望めません。
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