東京株式市場はここ最近、米国の金融政策睨みで様子見気分が非常に強いですね。前週までは、週末26日にイエレンFRB議長の講演を控えていました。そして今週は、週末に8月の米雇用統計の発表を控えてます。
これら重要イベントが共に週末のため、結局この2週間、多くの投資家は積極的な売買を手控えざるを得なくなっています。実際、8月29日の日経平均株価は前週末比376.78円(2.30%)高と大幅高したにもかかわらず、商いはまったく盛り上がらず、東証1部の売買代金は1兆8027億円と、活況の目安となる2兆円を割り込んでいます。
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今週金曜の雇用統計の発表まで
多くの投資家は動きにくい展開が続く
なお、イエレンFRB議長は26日の講演で、「米経済は緩やかな拡大が続き、追加利上げの条件が整ってきた」と述べました。そして、フィッシャーFRB副議長が直後の米CNBCのインタビューで9月の利上げの可能性を認め、年内2回の利上げの可能性についても否定しませんでした。これを受け、ゴールドマン・サックスは26日、9月20~21日の次回FOMCで追加利上げに踏み切る可能性を従来の30%から40%に引き上げました。
その結果、9月2日(日本時間9月2日21時半)発表の8月の米雇用統計への市場の関心度合いが一気に高まりました。
8月の雇用統計に関しては、非農業部門の雇用者数は前月比で18万人前後の増加と、増加幅は7月の25.5万人から縮小するとみられているようです。ただし、FRBは非農業部門の雇用者数だけで利上げを判断するわけではないため、投資家は雇用統計発表後の米国の金融市場の反応を見極めようとしています。
結果、統計発表を無事に通過するまでは、腰を据えて株式投資ができないのでしょう。
米の利上げは日本株にとっては大きなプラスだが
なかなか利上げできない状況も悪くはない
現在の世界の金融市場は比較的落ち着いています。経済的に火種と意識されている国・地域は見当たりません。このため、仮に、9月に米国が利上げに踏み切っても、それほど大きなショックが発生するとは、現時点では予測していません。
しかしながら、それを機に新興国通貨が売られたり、その結果、投資家がリスクオフになる可能性も決して低くはありません。ですが、日本経済にとってはまず米国経済が正常化し長短金利が上昇してくれれば、それを背景とした外国為替市場での安定的なドル高が実現することはベストシナリオであり、メチャクチャポジティブです。そうなれば、わが国の主力の輸出関連企業の業績が大幅に改善し、日本株のバリュエーションが上昇し、日経平均株価の上値余地が拡大するからです。
その一方、米国が脆弱な経済(特に内需)に配慮して、現在のようになかなか利上げに踏み切れない状況も、セカンドベストです。
なぜなら、米国の超金融緩和状況が継続し、ドル安ながらも、新興国経済も特に変化なく、また、ドル安を背景に米企業収益も安定して成長することが見込めるため、米国株式市場が堅調に推移する可能性が高いからです。
ただし、この場合は円高によるデフレ圧力で日本株の上値は限定されます。ですが、そうはいっても、日銀がETF買い入れ額を年6兆円にしたことで、日経平均株価の下値は相当堅くなりました。結果、日経平均株価は現在のように狭いレンジの「もみあい」を継続する見通しです。
日本の株式市場は「お上頼み」
日銀のETF買いでメリットを受ける銘柄を狙え
日本株に関しては日銀に加え、GPIF等公的資金の関与率が従来よりも高まったため、「官製相場」の色彩が非常に強い状態です。
このため「株価が下がれば、お上がなんとかしてくれる。」という「お上頼みの投資家」が今後ますます増殖することでしょう。この考えは今の情勢ではほぼ間違っていないと思います。ドンドンお上に頼りましょう。よって、日銀のETF買いでメリットを受ける銘柄群は基本的に「押したら買い。噴いたら売り」を繰り返せばいいと思います。
なお、「押したら買い。噴いたら売り」という回転商いではなく、強いグリップ力で持ち続ける条件は、先述の「ドルに先高観」が出ることです。
このケースでは、日経平均株価は力強い上昇トレンドに回帰するはずだからです。そうなれば、市場全体から「お上頼み」のムードは完全になくなり、普通の市場に戻るでしょう。それまでは、日銀のETF買いでメリットを享受する指数採用銘柄の回転商いで収益獲得を目指すのが最善策だと思います。
マザーズの売買代金は低迷中
個人投資家の株式離れはしばらく続く
ところで、個人投資家の関与率の高い東証マザーズ市場では、毎日、閑古鳥が鳴いています。29日の東証マザーズ市場の売買代金は4営業日連続で減少し、454億円と、ついに500億円を割り込みました。この水準は2013年4月以来、約3年4カ月ぶりの少なさです。活況の目安とされる1000億円を下回るのは9営業日連続です。
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なお、ここ最近では、16日に1039億円と1営業日だけ1000億円を回復したものの、7月20日から8月15日まで18営業日連続で1000億円を割り込んでいます。商いが低迷し流動性枯渇が続いています。
東証マザーズ市場の売買代金が示唆することは、個人投資家の株式離れです。
4月~5月の東証マザーズ指数の天井形成時にジャンピングキャッチした玉を抱え、膨らんだ評価損に苦しんでいる個人が相当数存在すると推察されます。現場の証券マンの話によれば、身動きがとれない状況になった個人は、自分自身のポートフォリオの損益状況から目を背け、株式投資の話を聞きたくないという傾向を強めるそうです。おそらく現在はこのような行動を取っている個人が多いことでしょう。だから、マザーズの売買代金の低迷が続いているのです。
結論として、売買代金が低迷している間は、個人投資家の関与率の高い銘柄はアンタッチャブルです。
とにかく、投資対象は原則として、日銀のETF買いでメリットを受ける銘柄の中から選びましょう。また、もし今、あなたが現実逃避しているなら、ここはやはり前向きに気持ちを切り替えて、保有銘柄の見直しと入れ替えを行い、早期の元本回復を目指すべきだと思います。
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