外食業界に詳しいアナリストが注目する「物語コーポレーション」の強さの秘密とは? 社長自らが語る戦略を公開!
発売中のダイヤモンド・ザイ7月号は、特集「大逆襲の31銘柄がドドーッと登場! アガル【外食株】」を掲載! この特集では、コロナ禍を経て、勝ち・負けが鮮明になっている外食業界に注目。コロナ前の業績を軽々と超えて、成長が加速する注目企業や、人気チェーン店の目下の戦略を紹介するほか、株主優待名人・桐谷さんイチオシの外食優待株や、「牛丼」「ラーメン」「ファストフード」「カフェ」の4部門で、株主優待+配当利回りが高いおトクな銘柄なども取り上げているので、投資の参考になるはずだ。
今回はこの特集から、いま注目の外食企業「物語コーポレーション(3097)」の社長インタビューと企業分析を公開!
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「焼肉きんぐ」で知られる「物語コーポレーション」は、
業界ナンバーワン戦略で成長し、コロナ禍でも売上を伸ばした!
ダイヤモンド・ザイ7月号の特集「大逆襲の31銘柄がドドーッと登場! アガル【外食株】」では、外食業界に詳しい大和証券の五十嵐竣さん、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎さん、SBI証券の田中俊さんに、注目の外食企業を聞いている。
3人のアナリストがそろって、いま最も注目する企業として名前を挙げたのが、物語コーポレーション(3097)だ。
物語コーポレーションは、食べ放題の「焼肉きんぐ」を筆頭として、傘下に複数の外食ブランドを抱える企業。各ブランドの売上高は絶好調で、2023年6月期の営業利益は前年比2.2倍の見通しと、高い成長力を誇る。そこで、ダイヤモンド・ザイは物語コーポレーションの加藤央之社長に、その強さの秘密を聞いた。
まず、物語コーポレーションが掲げるのが“業界ナンバーワン戦略”だ。
「今日は日曜日だし、夜はみんなで焼肉でも食べに行くか、となったときに、パッと思い浮かぶブランドであることが重要。そのためにも、業界トップを目指した」と、加藤社長は話す。
いちよし経済研究所の鮫島さんによると、これを“想起率”という。ある分野のことを考えたときに、真っ先に思い浮かぶブランドは、想起率が高いと言える。
新型コロナで世の中が混乱に陥っていた2020年、物語コーポレーションは想起率を高めるため、勝負に出た。テレビCMなど広告費を約3倍に増やし、店舗も積極的に改装したのだ。この結果、コロナ禍の3年間で「焼肉きんぐ」の認知度は20ポイント以上も向上したという(※自社調べ)。
加藤社長は「強い外食ブランドをつくるには、差別化できていなければならず、そのためには第1に仕組み、第2に積み重ねがいる」と語る。
「焼肉きんぐ」の仕組みはどういったものか。業態構造として食べ放題の「焼肉きんぐ」では、食材原価率が4割に上る。一般的な外食は3割なので「焼肉きんぐ」に来たお客さんはコスパがいいと感じ、満足するわけだ。
もっとも、店側からすれば、お客1人当たりで稼げる利益が少なくなる。それを補うには、店舗を大型化し、客の回転率も上げなければならない。
だが、こうした仕組みやオペレーションは、やがて他社に真似されてしまう。また、「焼肉きんぐ」では厚切りのカルビやロースなどの“四大名物”と名付けたメニューが人気だが、これとて「業界内では研究され、同じようなメニューを入れる競合が増えている」(加藤社長)とのこと。さらに、その先は見直しや改善など「小さな積み重ねが重要で、これこそが本質的な差別化になる」(加藤社長)という。
具体的には「次に出す新店の外装は、高級感が出る黒色の面積をどこまで取るか」「肉のスリットをもう少し斜めに入れたほうが柔らかくなるのではないか」などといったことだ。毎週、改善会議を開き、こうした細かい点まで議論を重ねて修正していく。最強ブランドは、このようにして確立されたのである。
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「焼肉きんぐ」だけじゃない、複数ブランドの総合力が強い!
「丸源ラーメン」「ゆず庵」などのブランドも著しい成長が続く!
SBI証券の田中さんは、物語コーポレーションの新業態の開発力にも注目する。その一つが「丸源ラーメン」だ。
「『丸源ラーメン』の看板メニューは、男性客がいかにも好みそうな『肉そば』ですが、ほかにもとんこつや塩ラーメン、お子さまメニューなど種類が豊富。店内も広く、さながらラーメンファミレスといったところ。ラーメン専門店が取りこぼしがちな、ファミリー客の取り込みに成功しています」(田中さん)
一般に、外食企業は一つの看板ブランドが確立できると、成長が一気に加速する。物語コーポレーションは「焼肉きんぐ」の成長により、このステージに到達。それに続く「丸源ラーメン」や、寿司・しゃぶしゃぶ食べ放題の「ゆず庵」も、100~200店規模の収益源になり、時価総額は1000億円に達した。
この3本柱に加えて、さらなる新事業も育成中だという。その一つが、カルビ丼・ユッケジャンスープ専門店の「焼きたてのかるび」だ。物語コーポレーションの店舗は郊外大型店がほとんどだが、新業態の「焼きたてのかるび」は中小型店。「焼肉きんぐ」は人口15万人商圏が対象となる一方、「焼きたてのかるび」は7万~8万人程度の小商圏にも出店できるのが特長だ。
足元での注目点は“値上げ”である。「焼肉きんぐ」は、これまで値上げをしてこなかったが、2023年3月29日から、ついに値上げに踏み切った。消費者からするとネガティブなニュースと言えるが、株価はその後、上昇基調に。
「現在の株式市場では、値上げをしない外食は機関投資家から評価されづらく、物語コーポレーションも、利益成長に対して株価が割安なままでした。値上げ発表後は、株価も好調に推移しています」(大和証券の五十嵐さん)
なお、物語コーポレーションは株主優待で食事券を贈呈している。株主優待を楽しみつつ、長期で保有して株価の値上がりに期待するのもよさそうだ。
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