2023年10月に新規上場した「IPO株」12銘柄のうち、アナリストが「強気」と評価した「西部技研」と「KOKUSAI ELECTRIC」に注目!
ダイヤモンド・ザイ2024年1月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2023年10月に新規上場した「IPO株」全12銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。
今回は、その中でも小林さんが特に注目している2銘柄をピックアップしているので、投資の参考にしてほしい!
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2023年10月に新規上場した「IPO株」は全部で12銘柄!
新興市場の不調がIPO株にも影響して公開価格割れも続出!
10月は12社が新規上場。公開価格に対する初値の平均騰落率はプラス28%で、9月の14%に比べると一見、堅調だ。
公募・売出規模が3億円あまりと小型だったキャスター(9331)は、公開価格の3倍を超える初値を付けた。また、規模1200億円超で、2018年のソフトバンク以来の大型IPOとして注目されたKOKUSAI ELECTRIC(6525)も、順調な滑り出しだった。
しかし、12社中5社が公開価格割れスタートの上、現値も公開価格を下回る銘柄が散見されるなど、IPOをめぐる環境は良好とはいえない。
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低迷が続いている東証グロース市場250指数(11月6日にマザーズ指数から名称変更)は、国内外の金利上昇や地政学リスクの高まりを受け、10月は一段安に。前月比で11%の下落となった。
IPO銘柄でも、市場環境を考慮して当初の想定から公開価格を引き下げる事例が見られた。ただ、比較対象となる類似企業の株価下落がそれ以上に大きく、そうした銘柄でも上場後に調整を強いられたようだ。
「総じて、新興市場全体の不調がIPO市場にも影響している形です。以前は業績の成長率が高ければ、PERが70~90倍でも許容されましたが、今はそんな雰囲気ではありません。高成長のIT株でも、40倍をつければいいほうです。不安定な相場展開が続くだけに、今後を注視したいところです」(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さん)
10月のIPOはIT系が少なかったが「市場環境から、上場を見合わせる動きもあるのかもしれない」と、小林さんは指摘する。一方で、初値が高騰しすぎた銘柄はあまりなく、長い目線で見れば、期待のできる株を仕込むチャンスともいえる。成長性と割安感を冷静に見極めたい。
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2023年10月に上場した【IPO株】12銘柄! |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (11/6) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
3日 | ◆ニッポンインシュア(5843・東S) | |||||
810円 | 1005円 (+24.1%) |
749円 | 12.8倍 (1.90倍) |
900円 (600円) |
中立 | |
【分析コメント】家賃債務保証サービスを中核に、高齢化を見据え介護費債務保証も。単身世帯の増加や法改正で需要は堅調。ただ、類似企業の株価がさえず、同水準のPERに調整。 | ||||||
3日 | ◆西部技研(6223・東S) | |||||
2600円 | 2687円 (+3.3%) |
2471円 | 12.4倍 (2.48倍) |
3100円 (2200円) |
強気 | |
【分析コメント】産業用の除湿機などを製造・販売。公募・売出規模が150億円超あったが、需給懸念を打ち返し初値は健闘。上場直後の売買の賑わいは一服も、今後の成長に期待。 | ||||||
4日 | ◆くすりの窓口(5592・東G) | |||||
1700円 | 1580円 (-7.1%) |
1600円 | 23.4倍 (5.87倍) |
1800円 (1400円) |
中立 | |
【分析コメント】処方薬の受け取り予約ができる薬局情報ポータルや、薬局向けの流通改善支援、システム販売。医療のIT化が追い風だが、やはり類似企業の株価が軟調で重石に。 | ||||||
4日 | ◆キャスター(9331・東G) | |||||
760円 | 2319円 (+205.1%) |
1526円 | 23.3倍 (2.80倍) |
1700円 (1200円) |
中立 | |
【分析コメント】バックオフィス業務代行などで、人手不足に悩む中小企業とリモートワーカーをつなぐ。上場後に発表した今期予想では利益水準が急拡大するが、想定線上だ。 | ||||||
13日 | ◆成友興業(9170・名M) | |||||
2300円 | 2116円 (-8.0%) |
2330円 | 8.3倍 (0.78倍) |
2800円 (2000円) |
中立 | |
【分析コメント】建設系の産業廃棄物・汚染土壌の処理と公共工事が柱。地方市場の上場で売買が低調だが、2023年9月期の業績は上ブレ。処理困難物の増加が収益を押し上げ。 | ||||||
17日 | ◆ケイファーマ(4896・東G) | |||||
950円 | 875円 (-7.9%) |
730円 | 46.9倍 (4.56倍) |
850円 (550円) |
中立 | |
【分析コメント】慶應大学発バイオベンチャー。中枢神経疾患領域でのiPS細胞を活用した創薬・再生医療。今期は契約一時金の計上で黒字予想も、まだまだ開発負担が先行か。 | ||||||
上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (11/6) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
23日 | ◆売れるネット広告社(9235・東G) | |||||
910円 | 837円 (-8.0%) |
733円 | 16.6倍 (3.93倍) |
800円 (600円) |
中立 | |
【分析コメント】ネット通販の事業者向けクラウドサービスとマーケティング支援で、ネット広告の費用対効果を改善する。顧客は順調に拡大。ただ、公開価格が強気な設定だった。 | ||||||
24日 | ◆ジャパンM&Aソリューション(9236・東G) | |||||
1340円 | 2250円 (+67.9%) |
2225円 | 30.4倍 (9.26倍) |
2600円 (1500円) |
中立 | |
【分析コメント】主に中小企業が対象のM&A支援。後継者不在による事業承継ニーズはいまだに大きい。金融機関などとの提携で案件を獲得。収益が急伸中だが、相応のPER水準。 | ||||||
25日 | ◆KOKUSAI ELECTRIC(6525・東P) | |||||
1840円 | 2116円 (+15.0%) |
2650円 | 30.2倍 (3.69倍) |
3000円 (2000円) |
強気 | |
【分析コメント】日立国際電気の半導体製造装置事業が前身で、米ファンドの傘下を経て上場。大型IPOとして注目されたが、海外投資家などの需要が堅調で良好なスタートに。 | ||||||
25日 | ◆全保連(5845・東S) | |||||
600円 | 580円 (-3.3%) |
586円 | 8.0倍 (5.38倍) |
700円 (530円) |
強気 | |
【分析コメント】家賃債務保証の大手。全国主要都市に19拠点を配し、一定の収益規模に安心感。株式需給の懸念で初値は不調も、低PERで配当利回りが4%台と高い点が魅力だ。 | ||||||
26日 | ◆笑美面(9237・東G) | |||||
1240円 | 1801円 (+45.2%) |
1392円 | 18.5倍 (25.72倍) |
1800円 (1100円) |
強気 | |
【分析コメント】介護施設の紹介サービスで家族の負担軽減に貢献。コロナ禍を抜けて成長加速の局面に。初値高の反動が一巡し、今後の利益拡大を見越せば上値余地もありそう。 | ||||||
27日 | ◆ドリーム・アーツ(4811・東G) | |||||
2660円 | 3005円 (+13.0%) |
2470円 | 33.3倍 (8.55倍) |
3200円 (2000円) |
強気 | |
【分析コメント】プログラミングの専門知識なしで業務システムが開発できるツールを提供。サービスのクラウド化が進展、大企業のDX推進を追い風に来期の利益伸長を期待。 | ||||||
※データは2023年11月6日時点。 |
10月のIPO銘柄の中で、アナリストおすすめの2銘柄を紹介!
「西部技研」と「KOKUSAI ELECTRIC」に注目!
ここからは、10月のIPO株の中で、小林さんが特に注目する2銘柄を深掘りしていこう。
一つ目の銘柄は、10月3日に上場した西部技研(6223)だ。
西部技研は、産業向けのデシカント(吸着式)除湿機とVOC(揮発性有機化合物)濃縮装置が主力。特に前者はEV用などのリチウムイオン電池製造工場で需要が増大中。目下、売上全体の約8割を海外売上が占める。中国と欧米を中心に、二次電池市場向けデシカント除湿機の生産・販売を強化。半導体市場向けの拡大にも意欲。成長市場での活躍と堅調な業績に期待できる。
続いて紹介するのは、10月25日に上場したKOKUSAI ELECTRIC(6525)だ。
KOKUSAI ELECTRICは、半導体製造の前工程で用いられる製造装置で世界トップ級のシェアを持つ。数十枚以上のシリコンウエハーを一括処理できる「バッチ成膜」技術を強みとする。その技術力は、同社の買収を過去に試みた米国の同業大手も高く評価。半導体市況の回復の遅れなどはリスク要因となるが、中長期的に市場拡大の恩恵が期待できる。
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【2024年10月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |