FOMC通過で安堵の買い
FFレートは来年以降ゆるやかに上昇か
先週の米国株式市場は、ダウ工業株価平均指数が+0.8%、S&P500指数が+1.2%、ナスダック総合指数が+1.2%でした。
水曜日に終了した連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想通り米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートが現行の0.50%のままで維持されたことを市場は好感しました。
もうひとつ市場参加者を安心させた要因として、FOMCメンバーによる今後のフェデラルファンズ・レートの予想数字が下のチャートに見られるようにザックリと下がったことが挙げられます。

それによると2017年末のフェデラルファンズ・レートの予想は1.1%にまで下がっており、もしフェデラルファンズ・レートが0.25%刻みで引き上げられると仮定すれば2回分に相当します。
言い換えれば「FRBは来年以降も、たいへんゆっくりとしたペースで利上げする」ということがシグナルされたのです。おそらく、利上げは、まず今年12月14日に1回行われ、さらに来年上半期に1回、下半期に1回というペースになると思います。
OPECの会合と大統領選のテレビ討論会で
来週は軟調な展開か
さて、今週は2つの大きなイベントがあります。まず月曜日から水曜日にかけてアルジェリアで国際エネルギー・フォーラムが開催されます。これには世界の石油関係者が参加するわけですが、このフォーラムに絡めて石油輸出国機構(OPEC)のメンバーが非公式な会合を持つと見られています。
投資家は「ここで原油の減産に関して、何らかの合意が発表されるのではないか?」と期待していますが、その可能性は低いと思います。このところ原油価格と米国株式市場の動きは連動しており、原油安は株安要因です。
もうひとつのイベントは、月曜日に行われる大統領候補テレビ討論会です。今回は、全部で3回行われる討論会の第1回目です。大統領選挙は、新たな不確実性を投資判断にもたらします。これを機に市場参加者の関心が、FOMCから大統領選挙へと移ってゆくと思われます。
投資家は不確実性を嫌うので、今回の大統領候補テレビ討論会でどんな議論が展開され、どちらの候補がディベートに勝ったとしても、マーケットは嫌気すると思います。
これらの理由から、目先の米国株式市場に関しては、軟調な展開を予想しています。
ツイッター買収の情報で株価が急騰
しかし業績を見ると……
先週金曜日にツイッター(ティッカーシンボル:TWTR)が+21%も急騰しました。その背景には「セールスフォース(ティッカーシンボル:CRM)、アルファベット(ティッカーシンボル:GOOGL)などが、ツイッターと買収の話し合いを持った」とテレビが伝えたことがあります。
なお、その報道によると、「今は話し合いの段階で、すぐに買収が発表されるわけではない」そうです。
この報道を受けて、買収側になるかもしれないセールスフォースの株価は-5.6%も急落しました。つまり投資家は、セールスフォースにツイッターを買って欲しくないと思っているわけです。
その理由ですが、まず、ツイッターのユーザー数の成長は近年頭打ちになっています。

次に売上高ですが、米国では伸び悩んでおり、海外での成長への依存度が高まっています。一般にネット広告は、米国に比べて海外は単価が低いです。そのため、海外への依存度が高まることで、利益が伸びにくくなります。

次に利益ですが、大幅な赤字が続いています。

このようにツイッターは、今後の成長性が疑問視され、なおかつ黒字転換へのメドも立たないことから、もしどこかの企業に買収される場合でも、大きなプレミアムはつきにくいと思われます。
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