IPO株の銘柄分析&予想

2024年3月上場の「IPO株」15銘柄の投資判断を紹介!全世界の企業にIoTの基盤を提供する「ソラコム」や、観光業界の人手不足で需要が増加する「ダイブ」に注目

2024年4月24日公開(2024年7月24日更新)
ザイ・オンライン編集部
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2024年3月に新規上場した「IPO株」15銘柄のうち、アナリストが「強気」と評価した「ソラコム」と「ダイブ」に注目!

ダイヤモンド・ザイ6月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2024年3月に新規上場した「IPO株」全15銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。

今回は、その中でも小林さんが特に注目している2銘柄をピックアップしているので、投資の参考にしてほしい!
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2024年3月に新規上場した「IPO株」は全部で15銘柄!
日本株への追い風が波及し、IPO株の取引も活発に!

 3月は15社が新規上場と活況だった。公開価格に対する初値の騰落率平均はプラス64%で、公開価格割れは1社のみ。ジンジブ(142A)イシン(143A)情報戦略テクノロジー(155A)は2倍を超える初値を付けた。
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 それ以上に目を引いたのが、大型IPOの好調ぶりだ。公募・売出規模447億円のトライアルホールディングス(141A)は公開価格比でプラス30%、108億円のソラコム(147A)はプラス80%の初値となり、その後の株価も大きく上昇する場面があった。

 大型IPOは市場流通株が多くなり、株式需給をめぐる懸念が台頭しやすい。つまり、売り出す株が多いために上値は重くなりがちだ。だが、日本株に対する関心が高まるなかで、国内外の機関投資家が積極的に取引に参加しているとみられる。

 「公募・売出規模66億円と、やや大きめだったマテリアルグループ(156A)は公開価格割れスタートとなりましたが、より大型の銘柄であるほど、追い風を受けやすい印象です。これは、規模が大きく流動性の高い銘柄のほうが、機関投資家が買いやすいためです」(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さん)

 IPOの環境は明らかに好転したといえる。4月上旬時点で東証グロース市場250指数はいまひとつの推移だが、市場の資金は既存の新興株に流れず、IPO株へ向かっているようだ。ブックビルディング参加の魅力が一段と増すとともに、話題となっている東京メトロをはじめ、今後も大型IPO株の登場が期待できるだろう。

 ただし、足元では「値動きが非常に荒い点は要注意」と小林さんは指摘する。機関投資家はある程度長い目線での買いとなるが、短期売買の個人投資家もやはり多い。

 「注目銘柄は、成長ポテンシャルが株価に織り込まれるのも早い状況です。株価が上がっているからと飛びつくと、その後に急落しかねません。上場後に買うセカンダリー投資の場合、次の期まで含めた業績の推移を予測しながら、株価の上昇余地を見極める必要があります」(小林さん)

 成長期待の高い銘柄でも、株価が調整して過熱感が収まるまで待つのが得策。逆に成長性のわりに注目度が低く、足元の株価が下落している銘柄は狙い目だ。
【※「IPO(新規公開株)」の最新情報はこちら!】
【IPO(新規公開株)スケジュール一覧(2024年)】IPOの申込日や幹事証券、注目度などの最新情報を随時更新中!

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2024年3月に上場した【IPO株】15銘柄!

上場日 公開価格 初値
(騰落率)
株価
(4/5)
PER
(PBR)
今後1年の
高値予想
(安値予想)
投資判断
21日  STG(5858・東G)
1920円 3215円
(+67.4%)
2126円 10.7倍
(1.54倍)
3300円
(1900円)
強気
【分析コメント】東京プロマーケットからくら替え。マグネシウムを中心とした金属部品で、自動車の軽量化ニーズをとらえる。設備トラブルの影響も解消し、利益拡大に期待。
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21日  トライアルホールディングス(141A・東G)
1700円 2215円
(+30.3%)
2490円 27.4倍
(4.13倍)
3300円
(2300円)
中立
【分析コメント】九州地盤でディスカウントストアを運営。リテールテック(小売業へのITの導入)も手掛け、スマートショッピングカートは注目度大。株価は期待相応に上昇、狙うなら押し目待ちで。
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22日  ジンジブ(142A・東G)
1750円 3980円
(+127.4%)
2863円 23.7倍
(30.06倍)
3400円
(2300円)
中立
【分析コメント】高校新卒者に特化した企業の採用支援が主力。高卒向けで不可欠な学校との太いパイプを持つ。支店網の拡大で業績は急伸中だが、初値が高騰して過熱感がある。
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25日  イシン(143A・東G)
1080円 2234円
(+106.9%)
1539円 22.5倍
(4.25倍)
2100円
(1100円)
中立
【分析コメント】企業の自治体向けマーケティング支援を成長領域に位置付け、拡大する自治体DX市場の需要を取り込む。成長投資をこなして利益を大きく伸ばせるか注視したい。
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26日  L is B(145A・東G)
1188円 1553円
(+30.7%)
1030円 48.2倍
(8.02倍)
1500円
(900円)
中立
【分析コメント】ビジネスチャットを中心とした現場DXサービス。人手不足の建設業大手で導入実績が豊富。広告宣伝費の一巡もあり利益拡大に期待。ただ、株価は割安感がない。
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26日  ハッチ・ワーク(148A・東G)
2160円 2815円
(+30.3%)
2020円 14.0倍
(14.63倍)
2800円
(1800円)
中立
【分析コメント】月極駐車場の検索サイトや管理支援クラウドと、貸会議室サービス。コロナ禍から回復し成長軌道に復帰。初値後の株価は下落が続き、落ち着きどころを探る展開に。
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26日  JSH(150A・東G)
456円 893円
(+95.8%)
568円 26.8倍
(2.18倍)
650円
(420円)
弱気
【分析コメント】障がい者の農園での就労支援と訪問看護が2本柱。法定雇用率の引き上げ、精神科患者の増加で需要拡大。業績堅調だが、初値高騰で類似企業と比べ割高感が残る
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26日  ソラコム(147A・東G)
870円 1563円
(+79.7%)
1730円 172.0倍
(17.32倍)
2800円
(1600円)
強気
【分析コメント】企業向けにIoTのデバイス、通信回線、クラウドなどを提供。KDDI傘下を経て上場。
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上場日 公開価格 初値
(騰落率)
株価
(4/5)
PER
(PBR)
今後1年の
高値予想
(安値予想)
投資判断
27日  ダイブ(151A・東G)
1820円 3225円
(+77.2%)
3035円 26.1倍
(6.65倍)
4800円
(2600円)
強気
【分析コメント】リゾートバイト紹介などの人材サービスが主力。人手不足で需要は増加している。観光開発にも注力し、売上高が急拡大中。
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27日  コロンビア・ワークス(146A・東S)
3300円 3745円
(+13.5%)
3995円 7.4倍
(1.87倍)
5000円
(3600円)
強気
【分析コメント】賃貸マンションなど投資家やファンド向け不動産の開発・販売が主力。多様なスキームで収益を最大化する。コスト高の影響はあるが、事業拡大の期待が高い。
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27日  シンカ(149A・東G)
1320円 1671円
(+26.6%)
1201円 28.5倍
(9.70倍)
1900円
(900円)
強気
【分析コメント】固定電話も含むさまざまなチャネルの顧客対応を自動記録・一元管理できるクラウドサービス。直販・協業・OEMで広く展開。市場開拓の余地は大きい。
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28日  カウリス(153A・東G)
1530円 2875円
(+87.9%)
3690円 72.5倍
(49.80倍)
4000円
(2000円)
中立
【分析コメント】不正利用者情報のデータベースを作り、金融機関にマネーロンダリング検知サービスを提供。オンライン決済の普及が導入を促進。成長期待に相応の高PER。
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28日  情報戦略テクノロジー(155A・東G)
460円 1021円
(+122.0%)
722円 25.2倍
(10.10倍)
900円
(550円)
中立
【分析コメント】大手企業のDX内製を支援。顧客との協働でシステム開発し、柔軟な対応や継続的な改善を可能に。自社エンジニアとパートナーの拡大で成長加速できるか注視。
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29日  マテリアルグループ(156A・東G)
1180円 1085円
(-8.1%)
1016円 13.4倍
(6.45倍)
1300円
(900円)
中立
【分析コメント】PRコンサルを軸にデジタルマーケティングも。M&Aも活用し、対応領域と事業規模を拡大。業績成長率は高いが、株式需給への懸念や類似企業の株価低調がネック。
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29日  グリーンモンスター(157A・東G)
980円 1700円
(+73.5%)
1118円 16.7倍
(4.81倍)
1500円
(950円)
中立
【分析コメント】体験型の投資学習アプリ。広告からの口座開設で成功報酬を得る。LINE証券の事業再編の影響を受けたが、新NISAの追い風に期待。初値上昇で割安感は後退。
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※データは2024年4月5日時点。

3月のIPO株の中で、アナリストおすすめの2銘柄を紹介!
”強気”診断の「ソラコム」と「ダイブ」に注目!

 ここからは、3月のIPO株の中で、小林さんが特に注目する2銘柄を深掘りしていこう。

 最初に紹介するのは、3月26日に上場したソラコム(147A)だ。

 ソラコムは上場前から注目を集めたグローバル企業で、企業向けにIoTのデバイス、通信回線、クラウドなどを提供。KDDI傘下を経て上場。継続収益は7割超、海外売上比率は3割超に上り、グローバルな活躍と安定高成長が期待できそう。やや荒い値動きだが、押し目買いで臨みたい。

 続いて紹介するのは、3月27日に上場したダイブ(151A)だ。

 ダイブはリゾートバイト紹介などの人材サービスが主力。人手不足で需要は増加している。観光開発にも注力し、売上高が急拡大中。先行投資の段階だが、成功すれば利幅が大きく、今後の利益貢献に期待。高PERも成長領域と見れば許容範囲だ。
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主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
19社
52社
24社
47社
26社
80社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
345万
【ポイント】
大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。
※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。
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◆SBI証券
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
21社
91社
13社
89社
21社
122社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1245万
【ポイント】
ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。
※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。
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