・米国株が最高値を更新するも、日経平均は方向感に乏しく小幅続伸…
・ソニーG ・ダイフクは大幅高となり、これら決算発表銘柄を点検
・米CPIや小売売上高の発表といった今週の予定も
【1】今日の株式相場早わかり!
方向感に乏しくもみ合い…米国株は最高値更新
日経平均株価は小幅続伸! 8日の米国市場では主要株価指数がそろって最高値を更新し、S&P500指数は初めて6000の大台に乗せる場面があった。11月のミシガン大学消費者態度指数が7カ月ぶりの高水準となった上、トランプ次期政権の経済政策への期待も根強かった。次期政権をめぐり注目されるテスラ(11月8日号参照)は時価総額が1兆ドルを超えた。ただ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は-0.82%と軟調。また、米政府が台湾積体電路製造(TSMC)に中国への先端半導体の輸出制限を課したなどと報じられ、週明けの日経平均株価は続落スタートした。もっとも、日中は前週末終値を挟んだもみ合いとなるなど方向感に乏しく、小幅なプラスで取引を終えた。
ソニーグループなどの決算発表銘柄の動向は注目株コーナーで、また米10月消費者物価指数(CPI)の発表といった今週の予定はコラムコーナーで確認しよう。国内では今日、第2次石破内閣が発足し、今後の政権運営に注目が集まりそうだ。
【日経平均】39533.32円→(+32.95円)
【グロース250】631.38↑(+4.50)
【NYダウ】43988.99ドル↑(+259.65ドル、8日)
【ナスダック】19286.777→(+17.318、8日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
決算発表は佳境、ソニーG・ダイフクが大幅高!
7~9月期の決算発表が佳境を迎えており、先週末8日には500社超が発表したもようだ。時価総額・売買代金上位の主力株を中心に、8日取引終了後に発表された決算と今日の株価反応を確認しておこう。
ソニーグループは2025年3月期上期(4~9月)の営業利益が前年同期比42.3%増の7341億円となり、市場予想を上回った。ゲーム機「プレイステーション5」を展開する「ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)」や、半導体イメージセンサーを手掛ける「イメージ&センシング・ソリューション(I&SS)」といった注目セグメントが大幅増益だった点も好印象だ。通期の営業利益予想は1兆3100億円(前期比8.4%増)で据え置き。G&NSが上方修正される一方、I&SSが下方修正となったが、下期のイメージセンサーの販売減少はある程度想定されていたようだ。今日の同社株価は+6.04%と大幅高になり、日経平均株価の下支えに寄与した。
ソニーGと同じく株価が大幅高になったのは、マテハン(マテリアル・ハンドリング、搬送機器・システム)で世界トップクラスのダイフク。コスト増加分の価格転嫁の進展などで収益性が改善し、業績予想を上方修正するとともに、配当の増額や自社株買いの実施を発表した。一方、7~9月期の3カ月間の業績が低調と受け止められたユニ・チャームやスクウェア・エニックス・ホールディングスは急落。ユニ・チャームは東南アジアや中国での事業、スクエニHDは家庭用ゲームタイトルに不安を残したようだ。
なお、今日の取引終了後に決算発表したリクルートホールディングスは、2025年3月期の営業利益予想を3900~5000億円から4427~5027億円(前期比10.0~24.9%増)に修正した。
■ソニーグループ株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
7~9月期決算終盤、米CPIと金利動向に注目
先週の日経平均株価は+1446.70円(+3.80%)。米大統領選で共和党のトランプ前大統領が優勢との報道を受けて円安・株高が進んだ。トランプ氏の勝利が確定してからは、新政権による財政拡張策への期待から米国株が最高値を更新。一方、保護主義的な政策による影響も懸念され、日経平均株価は4万円を前に利益確定売りによって伸び悩んだ。
引き続きトランプ新政権の政策を期待した米株高が投資家心理を下支えしてくれそうな一方、円安を背景とした日銀の追加利上げ観測などが日本株の上値を抑えそうだ。中長期的には米国のインフレや財政に対する懸念も残る。米長期金利の上昇は一服したが、最高値圏にある米国株がいつそうした悪材料を織り込みはじめるかは不透明。引き続き米金利の動向は注視しておきたい。
米国では10月の消費者物価指数(CPI)や小売売上高が発表される。株高による資産効果などから個人消費は引き続き堅調が予想され、米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が株式相場を下支えしよう。一方、CPIの伸びは9月と比較して横ばいもしくは加速が予想されている。インフレ収束のラストワンマイルが困難との見方から利下げ観測が後退し、金利上昇につながれば株価の調整要因になる可能性もあろう。
中国では10月の小売売上高などが発表される。先週に発表された10月のCPIや貿易統計は振るわなかった。当局による地方政府の財政支援策が期待外れとの見方が強まっているタイミングでもあり、経済指標が軟調だと中国経済の回復期待は再び下火になり、日本株の重荷にもなりかねない。国内では7~9月期決算が終盤に入りつつあり、東京エレクトロンやメガバンクの決算が特に注目される。日米金利の先高観から再注目されている銀行株は増配や自社株買いの発表に期待したい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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