・日経平均は反落…米国では利下げペース減速との見方も
・決算発表がほぼ一巡し、今日は3月決算企業の業績上方修正ランキングを掲載!
・注目のエヌビディア決算など今週の予定も
【1】今日の株式相場早わかり!
米株安が響き400円超下落…米利下げペースは減速?
日経平均株価は反落! 15日の米国市場では主要株価指数がそろって続落し、特にナスダック総合指数は-2.23%と大きく下落した。前の日にパウエル連邦準備理事会(FRB)議長が利下げを急ぐ必要はないと発言した上、この日発表された10月の小売売上高が市場予想を上回った。利下げペースが減速するとの見方から売りが続き、前の日に決算発表したアプライド・マテリアルズなどの半導体関連株の下げが目立った。週明けの日経平均株価もこうした流れを引き継いで反落スタートすると、朝方に一時3万8150.39円(-492.52円)まで下落。日銀の植田和男総裁が講演で追加利上げの時期に言及せず、円相場の下落とともに日経平均株価は下げ渋る場面もあったが、買いは続かなかった。
売買代金上位は全般軟調だったが、商船三井などの海運株が堅調。15日に経営方針説明会を開いた良品計画は大幅高となった。日米株とも先行きへの警戒感がじわりと広がりつつあるため、今週の焦点をコラムコーナーで確認しておこう。
【日経平均】38220.85円↓↓(-422.06円)
【グロース250】619.26↓↓(-6.69)
【NYダウ】43444.99ドル↓(-305.87ドル、15日)
【ナスダック】18680.121↓↓(-427.530、15日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
業績上振れ期待が後退…だから上方修正銘柄に注目!
先週で7~9月期の決算発表がおおむね終わったことから、結果を振り返っていこう。今日は「TOPIX500」指数(主力~中堅程度の銘柄で構成)に採用される3月期決算企業で、上期決算発表時に通期の営業利益予想を上方修正した銘柄を、修正率の高い順に下表にまとめた。決算発表シーズンを通過したが、主要株価指数の予想1株利益(EPS)は1カ月前と比べほぼ横ばいにとどまり、日本株が伸び悩む一因になっているとみられる。全体として業績上振れ期待が持ちにくくなったことで、上方修正銘柄への注目度が一段と増す可能性もありそうだ。
TOPIX500構成銘柄の直近1カ月の値上がり率トップである古河電気工業(+63.18%)も上方修正銘柄だ。2025年3月期の営業利益予想は従来250億円だったが、今回380億円(前期比3.4倍)へ引き上げた。自動車部品事業の生産性改善などが要因だが、このタイミングで利益拡大に弾みが付いたのはポジティブサプライズと受け止められたようだ。また、生成AI(人工知能)普及で恩恵を受けるデータセンター関連製品も好調で、来期以降は米国で光ファイバー需要の立ち上がりが期待される(11月8日号参照)。同業のフジクラ株は今年、異例とも言える好パフォーマンスを見せているが、古河電工への関心も一気に高まったようだ。
同様に株価の好反応が目立ったのは清水建設で、工事の採算改善に加え、政策保有株の縮減や株主還元が評価された。一方、修正率トップの住友化学は特殊要因によるもので、本業のもうけを示す「コア営業利益」予想は据え置き。2位のワコールホールディングスも不動産売却益を計上したことが主因とあって、さほど好感されなかったようだ。修正の理由までしっかり確認しておこう。
■古河電気工業株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米エヌビディア決算&米PMI、米金利に要注意
先週の日経平均株価は-857.46円(-2.17%)。米国の対中半導体規制の強化やトランプ次期大統領の新政権人事を背景に先行き警戒感が強まった。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利下げペースについて慎重な発言をしたことも嫌気された。
今週は米半導体大手エヌビディアの決算に注目。次世代AI半導体の出荷が本格化する2024年11月~2025年1月期の業績見通しが期待されている。ただ、週明け、ブラックウェルを巡り「サーバーラック設計に問題」と一部で報道されており投入遅延の懸念が生じている。また、予想を上回る見通しが発表されても、これまでの傾向から、上振れ幅が小さければ相場全体を押し上げるには至らないだろう。半導体株の株価動向は日米ともに生成AIの恩恵を享受できるかどうかで二極化している。仮に予想を大きく上回る決算だったとしても、株価上昇は全体に波及しない可能性には注意しておきたい。
米小売大手ウォルマートも決算を発表する。先週末の米10月小売売上高は強い結果で、同社の決算も個人消費の底堅さを裏付けるだろう。また、米11月購買担当者景気指数(PMI)も注目。米大統領選の結果判明後の回答も含まれており、先行き不透明感の後退を通じた企業のセンチメント改善が反映される可能性がある。ただ、利下げ期待の後退やトランプ新政権の政策によるインフレ懸念から、米長期金利は上昇基調にある。これらの材料を受けて米10年物国債利回りが4.5%を明確に超えてくる場合には、株式相場の重荷となりそうだ。
国内では週末の10月全国消費者物価指数(CPI)に注目。CPIが上振れた場合には、足元の円安を背景に高まっている日銀の追加利上げ観測が一段と強まり、日本株の重荷になりそうだ。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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