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日本株がこれ以上下落しづらい3つの外部要因とは?日経平均株価が「52週移動平均線」を上抜ければ、本格的なリバウンド相場突入となる可能性も!

2016年10月11日公開(2022年3月29日更新)
藤井 英敏
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 足元で、外部環境が改善し、日本株は下がり難くなっています。主因としては、(1)外国為替市場において対ドルでの円高が一服していること、(2)米大統領選挙で共和党のトランプ氏の苦戦が伝わっていること、そして、(3)原油先物相場が堅調なこと、などが挙げられます。

日本株を下がりづらくしている
3つの外部要因とは?

 円高一服の背景は、米国の経済が堅調で年内の利上げ期待が根強いためです。

 11月3日に発表された9月の米ISM製造業景況感指数は、51.5と、景気の拡大・縮小の境目である50を2カ月ぶりに上回りました。また、11月5日発表の9月の米ISM非製造業景況感指数は、57.1と、2015年10月以来11カ月ぶりの高水準となりました。そして、11月7日発表の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比15万6000人増と市場予想の17万人強を下回り、失業率も5.0%と3カ月ぶりに悪化しましたが、その一方で、平均時給は25.79ドルと前年同月比2.6%増え、伸び率も前月を上回りました。

 このことから、米連邦準備理事会(FRB)が年内にも追加利上げに動く可能性が高く、これが日米金利差拡大への思惑につながって、ドルは対円で底堅く推移しているのです。

 次に、米大統領選挙では、権力やカネがあれば女性を思うままにできるという女性蔑視発言が伝わり、トランプ氏の大統領選挙での劣勢が報じられています。確かに選挙は水もので、結果がどうなるかは「神のみぞ知る」ですが、少なくとも、現時点ではヒラリー氏優位ということを、市場は予想し織り込んでいます。

 このため、新政権の経済、外交政策への不透明感が大幅にクリアになりつつあります。市場は不透明感を嫌いますので、これは投資家がリスクオンになるのに、十分な好材料になっていると考えます。

 そして、原油先物相場に関しては、石油輸出国機構(OPEC)が9月28日、8年ぶりの減産で合意したことがポジティブサプライズを市場に与えました。さらに、10月10日、ロシアのプーチン大統領が、トルコのイスタンブールで開幕した「世界エネルギー会議」で講演し、「OPECの減産に加わる用意がある」と表明し、ロシアが増産の凍結または減産する可能性があることを示唆しました。これもポジティブです。

 思い返せば、今年は年初から原油先物価格の急落を受け、産油国が財政赤字補填のためにリスク資産の株式売却を加速させ、世界的なリスクオフムードが強まりました。しかし、足元では全く逆の環境となりつつあります。つまり、このまま順調にいけば、資源・エネルギー関連株の上昇が世界の株式市場を押し上げる要因になるでしょう。

外国人が売り越しの一方、
日銀のETF買いが日本株の下支えに

 ただし、9月第4週(26~30日)の投資部門別株式売買動向では、外国人は5週連続で日本株を売り越しました。この週は、ドイツ銀行の経営不安問題が強く意識されたとはいえ、外国人の日本株の売りは続いています。彼らが買い越しに転じてこないと、日本株の上昇ピッチ加速は見込めません。

 それでも、日銀がETFを年6兆円買い入れることもあり、彼らが売り越ししても、日本株のボラティリティーは上昇せず、下がり難くなりました。つまり、今後、想定外の悪材料が飛び出さない限り、日銀のETF買い効果で、日本株の急落確率は低そうです。

 そうなると、今年の相場でさんざん痛めつけられてきた個人投資家の元気と投資意欲の回復が期待されます。私のヒアリングベースでは、ザックリいえば、今年の個人のパフォーマンスは5%の勝ち組と、95%の負け組という感じです。2月の産油国発とされる株価急落、5月~6月にかけての東証マザーズの人気銘柄のナイアガラ・ラッシュとブレグジット・ショック、そして、7月下旬のポケノミクス相場の崩落の影響です。

 まあ、日経平均株価だけみても、現在までの年初来高値が大発会の18951.12円です。日経平均株価の低調を考慮すれば、普通に負けている個人投資家が多いのは当然です。また、負けている投資家が多いから、株式投資への意欲がなくなるのは当然でしょう。

日経平均株価が52週移動平均線を上抜けるかどうかが
今後の戦略の鍵に

 ところで、テクニカル的に、日経平均株価に関しては、今後52週移動平均線(7日現在17139.97円)を上抜けるかに注目しています。

日経平均株価チャート(週足・1年)*チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより
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 昨年12月18日の週に52週移動平均線を割り込んで以来、同線は強力な抵抗線としてこれまで意識されてきました。しかしながら、ここにきて9月23日の週に、13週移動平均線と26週移動平均線とのゴールデンクロスが実現するなど、中期的な買いサインが点灯し、明るい兆候が出始めています。そして、今後、52週移動平均線を上回れるようなら、売り方の買戻しを起爆剤にした上昇が見込めるでしょう。

 前回当コラムで、「米国の大統領選挙が終わり、主力企業の第2四半期決算発表が一巡した11月中旬から年末にかけては不透明要因も減少し、今よりは戦い易くなると思います。思い切って、それまでは売買を見送り、「見(ケン)」するのもありでしょう。」と指摘しました。

 しかしながら、今後、日経平均株価が終値で52週移動平均線を上回れば、買い出動するべきと考えます。なぜならば、日経平均株価が52週移動平均線を上回ることは、昨年12月から始まった日経平均株価の下落トレンドの終了と、本格的なリバウンド相場突入のサインとなる可能性が高いと判断するからです。そうなれば、年末に向けたラリーの発生が見込まれ、多くの投資家にとって、今年のヤラレを取り返すチャンスが到来することでしょう。

 戦略的には、52週移動平均線を下回っているうちは「見」、上回ったら「買い」という単純はものでいいと思います。

 2016年の日本株は正直多くの個人にとって試練でした。しかしながら、忘れてならないことは、「株を買う好機は大きく2つ」ということです。一つ目は。多くの個人が好きな「バーゲンハント」、即ち「逆張りの買い」です。一方、もう一つの好機は、今回のレジスタンスライン・ブレイクの「順張り買い」です。そのチャンスがいよいよ近づいている。そんな感じがします。

 ただし、超えることを現段階で決めつけての先回り買いは、すべきではありません。あくまでも、終値で超えたことを確認してから買いましょう。とにかく、今は虎視眈々と順張り買いのチャンスを待つ。そんな投資タイミングとみています。

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