東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場にて主要3指数が揃って大きく反落したことを受けて、日経平均は253円安の37,532円で寄付きました。米政権による関税強化が市場心理を下押ししたほか、トランプ大統領が日本・中国の通貨安を問題視した発言からドル円相場が一時148円台まで円高となったことが重荷となり10時34分に969円安の36,816円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直し、前場は688円安の37,096円で取引を終えました。
後場は37,000円から37,300円のレンジで一進一退に推移しました。米政権がウクライナへの武器供給を一時停止すると伝わったことも地政学リスクの高まりにつながり、積極的な売買が控えられるも、引けにかけて37,300円を超え、最終的には454円安の37,331円で取引を終えました。
新興市場では東証グロース250指数が1.8%安で反落となりました。
2.個別銘柄等
セブン&アイ・ホールディングス(3382)は6.9%安の2,044円をつけ、3日ぶりに反落となりました。「カナダのコンビニ大手のアリマンタシォン・クシュタール(ACT)からの買収提案を受け入れず、自力での企業価値向上を目指す方針を固めた」と伝わったことで、市場は自力での今後の企業価値向上は限定的とし、売りが優勢となりました。
古河電気工業(5801)は8.8%安の5,680円をつけ、大幅反落となりました。外資系証券が同社の目標株価を従来の6,700円から6,100円に引き下げ、これを材料視した売りが出ました。アナリストからは利益成長期待には一服感が出る可能性があるとの見方が指摘されています。
IHI(7013)は一時12.6%高の10,595円をつけ、昨年来高値を更新しました。トランプ米政権が3日、ロシアからの侵略を受けるウクライナへの武器供与の一時停止を指示したと伝わり、地政学リスクの高まりを手掛かりとし防衛関連銘柄に買いが入りました。三菱重工業(7011)は7.8%高、川崎重工業(7012)は3.7%高でともに続伸となりました。
伊藤園(2593)は一時12.9%安の2,961.5円をつけ、昨年来安値を更新しました。3日に第3四半期決算を発表し、営業利益は前年同期比18.2%減の178億円となりました。通期での営業利益見通し265億円に対し、第3四半期終了時点で進捗率が67.2%にとどまったことで通期業績の計画未達を警戒した売りが出ました。
ジェネリック医薬品メーカーのサワイグループホールディングス(4887)は4.8%高の2,057円をつけ、続伸で取引を終えました。国内証券が新たにレーティングを開始し、最上位の「買い」で調査を始めたことが買い材料となりました。アナリストからはジェネリックメーカーにとって融通の利きやすい環境となっているといった指摘がされています。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は関税強化やドル円相場が円高進行したことが重荷となり、一時節目の37,000円を割り込む場面も見られました。なかなか買い向かえない状況が続く中で、明日に向けての注目ポイントは、トランプ米大統領の2期目初の議会演説とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の講演があげられます。
前者は今後の政策運営が語られる公算が高く、関税政策などについて新たな発言があるかに注目です。ウィリアムズ総裁の講演では、米経済の下押し懸念が指摘される中で、利下げ見通しへの影響をどう捉えているか、発言が注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
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