東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場にて主要3指数が揃って上昇した流れを引き継ぎ、日経平均は236円高で寄り付きました。トランプ米政権による関税政策を巡る過度な警戒が後退したことで日本市場でも買いが先行し、9時42分に456円高の37,874円をつけ本日の高値を更新しました。その後は伸び悩み、上げ幅を縮小するも307円高の37,726円で前引けとなりました。
後場は総じて37,700円台で一進一退となりました。しかし、米政権の関税政策への不透明感が払拭しきれないなかで、引け間際には37,670円近くまで上げ幅を縮めました。1日を通し上値は重いまま最終的には286円高の37,704円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が3日ぶりに反発、0.8%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
三菱重工業(7011)は一時12.5%高の2,558.5円をつけ上場来高値を更新しました。米国防総省の国務次官に就任見通しのコルビー氏が日本の防衛費水準が低いことに不満を示し「GDP比3%に引き上げるべきだ」と発言しました。現時点の政府予算では防衛費を2027年度までに同2%とする方針であることから、市場は将来的な増額を見込んだ買いが優勢となりました。日本製鋼所(5631)は15.9%高で取引を終え、川崎重工業(7012)は一時10.1%高で昨年来高値を更新しました。
工作機械メーカーのDMG森精機(6141)は12.6%高の3,349円をつけ3日続伸となりました。米政権がウクライナへの軍事支援停止を表明する一方、ドイツが防衛力強化のため債務抑制策を見直す方針を示したことで、欧州地域への売上が大きい機械株の需要増を目論んだ思惑買いが入りました。マキタ(6586)は一時13.2%高で昨年来高値を更新、オークマ(6103)は8.0%高で取引を終えました。
マツダ(7261)は2.3%高の1,028円をつけ続伸となりました。トランプ米政権がカナダとメキシコに対する25%の追加関税について、北米の自動車産業向けに1ヶ月の猶予期間を設けると発表したことで、メキシコから米国への輸出の多い同社への悪影響が和らいだとして買いが入りました。
セブン&アイ・ホールディングス(3382)は6.1%高の2,120円をつけ3日ぶりに大幅反発となりました。日本経済新聞が「北米でコンビニエンスストアを運営する完全子会社の米セブン―イレブン・インク(SEI)について、2026年以降に新規株式公開(IPO)させる方針を固めた。」と報じ、また大規模な自社株買いも検討していると伝わったことで買いが入りました。
パナソニック ホールディングス(6752)は2.0%高の1,852円をつけ3日ぶりに反発となりました。国内証券が投資判断を「中立」から最上位の「強気」に引き上げ、また目標株価も従来の1,350円から2,350円と大幅に引き上げたことが材料となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
買い一巡後は上値が重く、依然として米政権の関税政策に対する警戒感の強さが市場の重荷となっている印象です。明日の注目ポイントは今晩発表される1月分の米貿易収支があげられます。
市場予想では1,288億ドルの貿易赤字(前回12月は984億ドルの赤字)が予想されており、赤字幅の拡大が見込まれています。貿易赤字を問題視するトランプ米政権にとっては追加関税の根拠となる材料であり、大統領の発言が株式市場の重荷となる可能性があるでしょう。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
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