東京市場まとめ
1.概況
米景気を巡る先行きの不透明感から前日の米国市場では主要3指数が揃って大幅下落となりました。その流れを受けて日経平均は443円安の36,584円で寄り付きました。ドル円相場が円高に推移したことも重荷となり、下げ幅を拡大すると節目の36,000円を割り込み、10時15分には1,041円安の35,987円をつけ本日の安値を更新しました。
その後は持ち直し、自律反発を狙った買いが入ったことで645円安の36,382円と下げ幅を縮小し前引けとなりました。後場は米株価指数先物が小幅ながら上昇に転じる等、更なる下落への警戒感が薄れたことで底堅く推移しました。後場は総じて下げ幅を縮小する展開で、最終的には235円安の36,793円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が続伸、0.4%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
トヨタ自動車(7203)は2.6%安の2,754.5円をつけ反落となりました。ドル円相場は一時146円台半ばまで上昇し、2024年10月以来の高値をつけました。また同社の今期(2025年3月期)の想定為替レートは1ドル152円とあって、円高による業績への下押し懸念が売り材料となりました。
ソフトバンクグループ(9984)は2.8%安の7,845円をつけ大幅反落となりました。足元では米ハイテク株が軟調に推移しており、投資ファンドを運用する同社への業績影響が懸念されたことで売りが優勢となりました。
居酒屋チェーンの「鳥貴族」を運営するエターナルホスピタリティグループ(3193)は4.5%高の2,694円をつけ大幅続伸となりました。10日、鳥貴族における全品均一価格を値上げすると発表したことで、採算改善を期待した買いが入りました。
JFEホールディングス(5411)は3.0%安の1,912円をつけ続落で取引を終えました。ワシントンにてラトニック米商務長官と会談した武藤経済産業相が、12日に全面適用が迫る鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税について「日本除外」の言質は得られなかったと明らかにしたことで、鉄鋼セクターは軟調な展開となりました。
セイコーグループ(8050)は5.5%安の4,150円をつけ、3日続落となりました。国内証券が投資判断と目標株価を引き下げたことが売り材料となりました。担当アナリストは、同社の業績はインバウンド需要等による国内市場がけん引していたが、足元の円安進行の一服による訪日客の購買力の低下により、来期以降の大幅な需要増加が見込みづらいと指摘しています。
豚骨ラーメン店を展開する丸千代山岡家(3399)は6.9%高の3,710円をつけ大幅続伸となりました。10日に発表した2月の既存店売上高が前年同月比19.4%増となり、前月1月から伸びが拡大したことから、好調な売上動向を評価する買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
米国の景気後退懸念が投資家心理を下押しし、グローバルにリスクオフとなりました。不確実性が意識される中で、米国の景気後退懸念や株安がトランプ米政権の関税政策を緩める可能性もあるといった声も聞かれており、引き続きトランプ米大統領や各長官からの発言に注目です。
明日の日本市場では、財務省より法人企業景気予測調査(BSI)が発表され、先行きの経済・業績見通しが示されます。リスクオフが顕著な中で、企業の業績の見通しが安心材料となるかに注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
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