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米国では「トランプ・プット」への期待が急速にしぼんだ結果、
NYダウやナスダック総合株価指数は大幅に下落し、恐怖指数が上昇!
「トランプ・プット(株式市場が急落に見舞われれば、トランプ米大統領が株価下支えに動くという想定)」への期待が急速にしぼんだ結果、3月10日のNYダウは大幅に反落し、前週末比890.01ドル(2.07%)安の4万1911.71ドルと、米大統領選前日の2024年11月4日の4万1794.60ドル以来およそ4カ月ぶりの安値で取引を終えました。また、ナスダック総合株価指数も大幅反落し、同727.90ポイント(4.00%)安の1万7468.32ポイントと、2024年9月以来およそ6カ月ぶりの安値で終了しました。

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さらに、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は前週末比224.50ポイント(4.85%)安の4405.09ポイントと大幅に下落、VIX指数(恐怖指数)は同4.49(19.21%)高の27.86と大幅に上昇しました。
このように、足元の米国株式市場は調整色を強め、ボラティリティが上昇し、不安定な動きを続けています。
市場で「トランプセッション」への警戒感が高まる一方、
米国株の短期的な急落局面は絶好の「買い好機」に!
トランプ大統領は3月6日、米国の株式相場の急落に関する質問に対して「私は株式市場に目を向けてすらいない」と答えました。また、9日放送されたテレビ番組のインタビューで「今年は景気が後退すると思うか」と問われ、「多少の移行期間はある」と述べて景気後退を否定しませんでした。
さらに、ベッセント米財務長官は3月7日に「市場も経済も中毒になっていた。われわれは政府支出に病みつきになっていた。この先はデトックスの期間になる」「『トランプ・プット』といったものは存在しない」と話しました。このため、市場は「トランプセッション(トランプ政権の政策に起因した米国のリセッション)」が発生するのではないかと身構えています。
トランプ政権の関税政策ですが、カナダとメキシコに対する25%の追加関税については1カ月間の猶予期間を設けました。しかし、3月12日から鉄鋼・アルミニウム製品に25%の追加関税が課されます。そして4月2日には「相互関税」が発動する予定で、その対象には日本のほか、中国、韓国、欧州連合(EU)が含まれます。さらに、トランプ氏は2月26日、EUからの輸入品に対する25%の関税賦課を近く発表すると述べています。
一方、多くの関税対象国は、報復関税に打って出る見通しです。例えば、中国政府は3月10日、米国産の農産物などに最大15%の報復関税を発動しました。これは、トランプ政権が3月4日に中国からの輸入品に10%の関税を上乗せしたことに対する報復措置です。さらに、カナダの次期首相となるマーク・カーニー氏(元カナダ銀行総裁・元イングランド銀行総裁)は9日、「トランプ氏による米国の関税措置は不当だ」と述べ、報復措置方針の継続を表明しました。このため、世界的な貿易戦争が勃発するリスクが強く意識されています。
また、3月7日発表の2月の米・雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比15万1000人増と市場予想の17万人増を下回り、失業率が4.1%と0.1ポイント上昇しました。この数字からは米国の労働市場が減速している様子が窺えます。また、トランプ政権による連邦政府の人員削減は、今後の雇用統計に反映される見通しです。よって、この先、米国の雇用は悪化していく可能性が高いと見ています。
ただし、そのケースではFRBは躊躇なく「利下げ」に動き、「パウエル・プット」を発動することが想定されます。このため、米国の株式市場で短期的な急落があったとしても、中長期スタンスで見るとそこは絶好の“買い好機”になるはずです。
日銀の早期利上げ観測による「円高トレンド」と
「景気悪化懸念の高まり」は日本株にとってネガティブ材料に
一方、日本では、3月10日の国内債券市場で、新発10年物国債の利回りが前週末比0.055%高い1.575%と、2008年10月以来、約16年5カ月ぶりの高さとなりました。春闘で高い賃上げが実現すれば、日銀が早期に追加利上げに踏み切るとの観測が出ていることが長期金利の上昇要因です。ちなみに今年の春闘では、3月12日が大企業の集中回答日となっています。

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なお、3月10日発表の2月の景気ウォッチャー調査では、景気の現状判断DIが45.6と前月を3.0ポイント下回り、2カ月連続で低下しました。また、2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは46.6と、こちらも前月を1.4ポイント下回りました。
円安やエネルギー価格高騰の影響で、多くの商品が値上げ傾向にあります。とりわけ、足元では米や野菜の高値が続いています。つまり、民間の景況感の悪化は、賃金の上昇が物価の上昇に追いついておらず、消費マインドが悪化していることが主因です。
内閣府の景気判断は「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さが見られる」と下方修正されました。長期金利が上昇すると同時に、物価高と消費低迷が発生しているのです。
さらに、この金利上昇は外国為替市場で円高要因になっています。景気悪化懸念の高まりと円高は、日本株にとってはネガティブな材料です。
金利上昇を原因とした生損保や銀行による日本株の売却が
一巡するまでは、日本株の需給の改善は難しい
なお、長期金利の上昇(債券価格の下落)で、生命保険会社が保有する国内債券の含み損が拡大しています。日本経済新聞が主要13社・グループから回答を得たアンケートによると、国内債の含み損は2024年12月末時点で11兆7060億円と、データをさかのぼれる2008年度以降で最大になっています。
生保各社や銀行は、含み益が膨らんだ国内外の株式売却益により、債券の売却損をカバーしているようです。2月第4週(25〜28日)の投資部門別株式売買動向を見ると、生損保は1月第1週から8週連続で日本株を売り越しています。また、銀行も2024年11月第4週から14週連続で売り越しています。これら国内金融法人(生損保・銀行など)からの売りが一巡するまでは、残念ながら日本株の需給が改善しそうにありません。
一方、事業法人は8週連続で買い越しています。この事業法人による自社株買いは、需給面での日本株のサポート材料です。
日経平均株価は25日移動平均線と75日移動平均線による
デッドクロスが発生して「テクニカル的な弱気相場」が継続中!
日経平均株価については、2月28日の下落で「3万8055.68円(2024年1月17日)~4万398.23円(2024年12月27日)のボックスを明確に「下放れ」ました。また、2月28日に25日移動平均線と75日移動平均線との「デッドクロス」が、2024年8月9日以来およそ半年ぶりに出現。そして、3月11日現在も25日移動平均線(3月11日時点で3万8327.35円)が75日移動平均線(同3万8843.91円)を下回ったままです。
つまり、チャートは悪化した状態が続いており、「テクニカル的な弱気相場」が継続中です。

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以上のことから、現在は「底入れ待ち」のタイミングと認識しており、2024年8月5日の一番底(3万1156.12円)に対する「二番底」をつけにいっている過程と見ています。よって、虎視眈々と「バーゲンハンティング」のチャンスを待ち、そのチャンスが到来したら勇気を持って買い向かうことをおすすめします。
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