成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

メタプラネットやマイクロストラテジーといった「ビットコイントレジャリー企業」の正体。投資家が見極めるべき、その本質とは?

2025年10月29日公開
ポール・サイ
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

「ビットコイントレジャリー企業」となった日本のメタプラネット。これはアメリカのマイクロストラテジーの戦略を模倣したもの

 先日、友人と投資について話していた際、メタプラネット(証券コード:3350)という日本の上場企業の話題が出ました。

 メタプラネットは元々、ホテル運営を主な事業としていた会社ですが、近年はビットコイン(BTC)を中心とした財務戦略へと大きく舵を切り、いわゆる「ビットコイントレジャリー企業」へと変貌を遂げています。

メタプラネット週足メタプラネット(3350) 週足 出所:TradingView

 その背景にはアメリカの上場企業、マイクロストラテジー(現ストラテジー、ティッカー:MSTR)(※)の成功事例があると言われています。同社の戦略は「ビットコインを自社の財務資産として積極的に保有し、長期的なビットコイン価格上昇によって株主価値を高める」というものであり、メタプラネットはまさにその日本版とも言える存在です。

(※編集部注:2025年2月にマイクロストラテジーは社名変更を行い、新社名はストラテジーになりましたが、マイクロストラテジーという名称の方が知名度が高いため、本記事ではマイクロストラテジーという名称を多用します)

マイクロストラテジーは米国市場で「上場ビットコイン・レバレッジ銘柄」として認識されている

 マイクロストラテジーは元々、ビジネスインテリジェンス(BI)のソフトウェア企業でしたが、2020年8月にビットコインを主力の財務資産として採用しました。

ストラテジー週足 ストラテジー(旧マイクロストラテジー、MSTR) 週足 出所:TradingView

 同社は社債(特に転換社債)や新株発行などを通じて資金を調達し、これまでに数十億ドル規模のビットコインを購入しています。結果として、ソフトウェア事業は名目上、残っているものの、実態としては「ビットコイン保有会社」へと変貌し、同社の株価はビットコイン価格とほぼ連動するようになりました。

ストラテジー日足と米ドル建てビットコイン日足「ストラテジー(ローソク足チャート、右軸)日足」と「米ドル建てビットコイン(ラインチャート、左軸)日足」 出所:TradingView

 マイクロストラテジーは米国市場で「上場ビットコイン・レバレッジ銘柄」として認識され、ビットコインETF(上場投資信託)よりも高いボラティリティを持つビットコインの代替投資手段として注目を集めています。

現在のメタプラネットはホテル事業の規模は小さく、実質的に「上場しているビットコイン保有会社」となっている

 メタプラネットもこの戦略を模倣する形で、自社の資本や調達資金を活用してビットコインを購入・保有しています。その狙いはビットコイン価格の長期的な上昇によって企業価値を高めることにありますが、元々行っていたホテル事業の規模は小さく、事業キャッシュフローの安定性は欠けています。

 そのため、現在のメタプラネットは実質的に「上場しているビットコイン保有会社」となっており、事業会社というよりは資産運用会社に近い性格を持っています。

ビットコインや金(ゴールド)は本質的に利息や配当といったキャッシュフローを生まない資産

 ただ、ビットコインは本質的に利息や配当といったキャッシュフローを生まない資産です。この点では金(ゴールド)と同様で、どちらも長期的に「価値を創造する」資産ではなく、「価値を保存する」資産と言えます。

 ビットコイン価格や金価格の主な上昇要因は、法定通貨の価値低下、すなわちインフレや通貨の信用低下です。この構造的な特徴を踏まえると、ビットコインを大量に保有する企業は、経済的価値を生み出しているわけではなく、むしろ、通貨価値の減価に対して防衛的な立場を取っていると言えます。

 そして、メタプラネットやマイクロストラテジーのモデルは、一見するとクローズドエンドファンド(※)に似ています。

(※編集部注:「クローズドエンドファンド」とは、発行者が投資家に対し、純資産価額に基づいた価格での換金を保証していないファンドのこと。その代わり、通常は金融商品取引所に上場され、そこで売買が行われている)

ビットコイントレジャリー企業とクローズドエンドファンドは似ているところがあるが、両者には重要な決定的違いがある

 クローズドエンドファンドもビットコイントレジャリー企業も市場で純資産価値(NAV)と株価が乖離することがあり得る構造を持っていますが、決定的な違いは、前者が配当や利息を生む「内在価値を持つ資産」を保有するのに対し、後者はそうしたリターンを生まない資産を持つ点です。

 そのため、これらの企業の株価はビットコイン価格と投資家心理に強く左右され、安定的な価格形成にはならず、投機的な値動きを示す傾向があります。

 投資家にとって重要なのは、こうした企業がどのように価値を生み出すのかを理解することです。

 メタプラネットが個人投資家よりも優れたマーケット・タイミングでビットコインを売買できれば、確かに付加価値を生む余地があります。

 しかし、実際にはビットコイン相場を正確に読み切ることは極めて難しく、自社が優位性を持っているのを証明することは容易ではありません。結果的に、このビジネスモデルは「ビットコインのリターンが資本コスト(借入コストや株主資本コスト)を上回る」という前提に依存しており、その差が縮まれば企業価値の拡大余地も小さくなります。

なぜ、投資家は直接ビットコインを保有するのではなく、「ビットコイントレジャリー企業」の株式に投資するのか?

 ではなぜ、投資家は直接ビットコインを保有したり、ビットコインETFを購入するのではなく、こうした「ビットコイントレジャリー企業」の株式に投資するのでしょうか?

 その理由の1つは、これらの企業が実質的に「レバレッジ付きビットコイン投資」として機能する点にあります。

 ビットコイントレジャリー企業は自己資本の他に借入れなども活用してビットコインを保有するため、ビットコイン価格が上昇すれば、それがより一層、増幅された形で株主価値が増大するのです。

 つまり、ビットコイン価格の上昇局面では、ビットコインETFよりも大きなリターンを狙えるということです。

 ただし、ビットコイン価格の下落局面では、上昇局面とは反対のことが起こり、損失がより一層、拡大することになります。

 したがって、こうした企業の株はハイリスク・ハイリターンの投資対象であり、ビットコインETFやビットコイン現物保有よりも「投機的な株式」として位置づけるのが妥当でしょう。

ビットコインに長期投資するなら、メタプラネット株を買うより、ビットコインETFやビットコイン現物の形で直接投資する方がシンプルでいい

 結論として、メタプラネットのような企業は、ビットコイン市場の盛り上がりを背景に短期的なトレード機会を提供する可能性はあります。

 しかし、長期投資の観点では、ビットコイン価格の上昇が資本コストを上回り続ける保証はなく、企業経営や財務構造の複雑さを考慮すると、個人がビットコインを保有するなら、ETFや現物の形で直接投資する方がシンプルでリスクも管理しやすいでしょう。

 投資家は「企業が何を保有しているのか」だけでなく、「なぜその保有を通じて価値を生み出せるのか」という点を冷静に見極めることが求められます。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。


ダイヤモンド・ザイ 2026年6月号好評発売中!
年200万円利用で高級ホテル宿泊券がもらえる!最強ゴールドカードを検証! ダイヤモンド・ZAi無料会員登録はコチラから 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ゴールド・プリファード・カードの公式サイトはこちら moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!日本株の売買手数料が完全無料(0円)に! クレカ積立の還元率が業界トップクラスなのも魅力! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ゴールド・プリファード・カードの公式サイトはこちら moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!日本株の売買手数料が完全無料(0円)に! クレカ積立の還元率が業界トップクラスなのも魅力! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

NISA新戦略
買いの日本株&投信
NISA投信グランプリ

6月号4月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[NISA新戦略!買いの日本株&投信]
◎巻頭特集
日経平均は年末7万円予測も!プロ6人に取材!
日本株どうなる&荒れ相場の勝ち抜き方

◎第1特集
「オルカン一択」から卒業せよ!混乱相場でも勝てる!
NISA新戦略
買いの日本株&投資信託69本を大公開

●超人気投資家に聞く!NISAの成績アップ術
桐谷さん/ちょる子さん
●「株」で儲ける
利回り・安定度など3つの条件で選抜「厳選人気株」
・配当余力が10年以上の銘柄から選ぶ「盤石高配当株」

・銘柄探しは実は難しくない「スグ2倍株」
・構造改革で成長企業に転換するタイミングを狙え!「不人気株」
●「投資信託」で儲ける
・下がりにくさが強みの「高配当株投資信託」

・株と値動きが異なる資産をプラス「金連動投資信託」など
●「ユニーク戦略」で儲ける
人の個人投資家のワザを披露!

◎第2特集
宣言!ザイは毎年、個人投資家目線でNISAで買いの投信を表彰します!
ザイNISA投信グランプリ2026

●日本株総合部門
●日本中小型株部門
●米国株部門

●世界株部門
●新興国株部門
●リート部門
●フレッシャー部門
●ダメなモンはダメと言います!期待ハズレな残念投信3本を今年も発表!

◎別冊付録
利回り3.9%以上の会社を全評価!
配当利回りトップ250の配当余力大診断

いつまで配当が増やせる?+割安度・安定度・収益力もチェック!
◎ZAi NEWS CHANNEL
経済圏や還元率が決め手に!
「NISA口座は手数料より『ポイント還元』で選べ!」

◎いつもの連載も充実!
●10倍株を探せ!IPO株研究所2026年3月編
「2月・3月と連続して全て公開価格割れに」
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.21
「投資で陥る思い込みとは?」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.16
「『自動逆指値』で保険をかけておく」
●おカネの本音!VOL.46 ボビー・オロゴンさん
「山を買い、世界に投資!34人兄弟の家庭で学んだサバイバルマネー術」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.114
「恋と原油はフクザツに絡む!?」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「教育費は右肩あがり!家計を圧迫するお受験の『隠れコスト』」
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!
「株式相場混乱も本当の利回り10%超が20本以上!」
●ZAiクラブ拡大版! 1カ月で1番上がる株を当てろ!
「中東情勢悪化で波乱相場!“安定感抜群”のJTが制す」

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報