米国では近年、人工知能(AI)の普及・進化を背景に一部のハイテク関連銘柄が株式市場をけん引する展開が続いてきましたが、年明け以降、デジタル技術による代替が困難な「実物資産」の価値が見直される流れなどから投資家による物色対象が広がりをみせています。実際、米国株式指数(S&P500種株価指数)の業種別・年初来騰落率(2026年3月5日時点、トータルリターン)を確認すると上から順に、エネルギー:+26.3%、素材:+11.6%、となっています。両セクターともに大規模な設備を必要とするビジネスを手掛ける企業が比較的多いほか、株式のスタイルとしてはバリュー色のあるセクターとみなされやすく、近年の株価騰落率はハイテク関連に対して劣後してきました(2023-2025年株価騰落率、エネルギー:+13.3%、素材:+24.4%、情報技術:+167.5%、トータルリターン)。そこで、今回はエネルギーセクターと素材セクターにおいて、調達した資本を効果的に活用しつつ、先々もキャッシュを生み出すと期待されながらも、現在まで割高になっていないと考えられる銘柄をセクター毎に以下の条件に基づきピックアップしました。
<抽出条件>
・S&P500種株価指数のエネルギー、素材、のそれぞれのセクターに含まれる銘柄
・投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)の1.05倍以上
・2026年における予想フリーキャッシュフローの成長率が前年比プラス
・12ヶ月先予想株価収益率(PER)が業種別指数の平均以下
リストを確認すると、エネルギー関連では天然ガス液と石油化学製品の生産を手掛ける持ち株会社のフィリップス66[PSX]が、抽出条件を満たしたうえで、年初来株価騰落率、予想フリーキャッシュフロー成長率で上位にきています。同社は2月4日に2025年第4四半期における増益決算を発表しました。また、同社の最高経営責任者(CEO)は投資家へのキャッシュフロー還元を継続する姿勢を示しており、株主還元も期待されます。ただし、足元では米財務省がエネルギー価格高騰への対応策を発表する可能性があると報じられており、エネルギー関連株に対する短期的な押し上げ要因となっていた原油高はいったん落ち着く可能性もあります。また、米国・イスラエルとイランの間での協議が進展するなどすれば株価上昇に一服感が広がり得ると考えられるため、周辺環境の変化を注視する必要がありそうです。
素材関連では、消費財業界向けのプラスチック包装メーカーであるアムコー[AMCR]が、予想フリーキャッシュフロー成長率のトップとなっています。市場では飲料関連事業の改善やコスト削減の恩恵を受けると期待されています。また、保護塗料の国際的なサプライヤーであるピーピージー・インダストリーズ[PPG]も抽出条件を満たしました。2月には複数の証券会社による目標株価の引き上げがあったものの、直近の株価はやや軟調となっています。
足元では米国・イスラエルとイランの軍事衝突により、先行き不透明感が高まっていますが、資本を有効に活用する力を備えながらも、株主のためにキャッシュを創出できる企業を見極めたい局面と考えます。
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