<9908> 日本電計 2498 +30
日本電計<9908>は、電子計測器を主体に各種システム製品や環境試験機なども扱う独立系専門商社である。特定のメーカー系列に属さない独立系の強みを活かし、日置電機や菊水電子工業をはじめとする約5,000社の仕入先から、顧客に最適な製品をフラットな視点で提案できる点が特徴だ。国内48拠点、海外48拠点という広範なネットワークを有し、顧客数は13,000社に及ぶ。近年は単なる「モノ売り」から脱却し、技術者を増員することでエンジニアリングやコンサルティング機能を取り込んだ「テクニカル商社」へと進化を遂げており、これが堅調な成長とROE向上の原動力となっている。
同社の強みは、第一に電子計測器分野における圧倒的なシェア(25~30%)と顧客対応力である。東陽テクニカや明治電機工業、地域密着型の地場商社といった競合が存在する中、同社は特定の仕入先に偏らないため、顧客目線での自由な提案が可能である。 第二に、多様な業界への分散と自動車分野の深化である。顧客基盤は13,000社と広く分散しており、特定分野の不況耐性が高い。一方で、近年は自動車業界向けの比率を20~25%まで引き上げており、環境試験や大型試験、特注システム品などの高付加価値案件を獲得している。 第三に、商社の枠を超えた「人的資本」と「技術力」である。営業職とは別に専門性の高い技術部隊を擁し、大型設備の導入・設置や施工管理などトータルサポートを実施する体制を構築している。海外拠点においても、メーカー研修を受けた現地スタッフが即応できる体制を整えており、これがグローバルでの信頼獲得に繋がっている。
2026年3月期第3四半期(累計)の連結業績は、売上高86,779百万円(前年同四半期比13.0%増)、営業利益2,945百万円(同12.7%増)と増収増益で推移した。人的資本投資を継続しつつも、自動車や防衛関連などの成長分野を的確に捕捉したことで受注が極めて堅調に推移している。こうした好調な業績動向を踏まえ、2026年3月10日、同社は通期の連結業績予想の上方修正を発表した。修正後の通期予想は、売上高130,000百万円(期初予想比4.8%増)、営業利益4,900百万円(同8.9%増)、経常利益5,000百万円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,400百万円(同13.3%増)となっている。将来に向けた設備投資や研究開発投資が底堅く推移する中、顧客の動向を確実に捕捉したことで、受注高が計画を上回って推移していることが主な要因である。
今後の成長見通しとしては、中期経営計画「INNOVATION 2030 Ver.2.0」に基づき、専門性の高いビジネス領域の拡大とグローバル展開を加速させる。 成長ドライバーは引き続き「次世代自動車開発」である。昨今、EV量産計画の後ろ倒しなどが報道されているが、同社が手掛けるのは「R&D(研究開発)」段階の計測・試験ニーズであるため、量産スケジュールの影響は軽微である。むしろ、開発競争が続く限り、計測、試験、安全認証コンサルティングといった高付加価値サービスの需要は止まらない。試作・開発段階での試験に対して設備を保有し試験を受託するサービスも手掛けており、顧客の深層に入り込むことで収益機会を拡大する。
株主還元については、配当性向35%を目途とする方針を掲げている。業績予想の上方修正に伴い、配当予想も増額修正された。期末配当は前回予想の47円から7円増配の54円とし、中間配当43円と合わせた年間配当は97円(前期実績比10円の増配)となる見込みである。質の高い利益成長に加え、積極的な株主還元姿勢を強めている点は、さらなる企業価値向上に向けたポジティブな材料といえる。
総じて日本電計は、ROEの上昇基調が示す通り、その実態は「商社機能+α(技術・コンサル)」の高付加価値企業へと変貌している。事業の安定性と成長性を両立させた堅実な経営は再評価されるべきであり、今後の業績推移に注目したい。
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