闇株新聞[2018年]

思ったより早く出てきたトランプ大統領の円安批判。
熾烈な通商交渉となりそうな日米首脳会談の行方は?

2017年2月9日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

就任1カ月、トランプ大統領が選挙中の勢いそのままに飛ばしています。金融・経済政策では日本も名指しされています。今後の通商交渉では様々な攻撃・口撃を仕掛けてくることは必至。このやっかいな大統領に日本はどう対峙すべきか!? 経済のプロも愛読しネタ元にしていると評判の刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が徹底的に掘り下げて考えます。

強硬な通商交渉と通貨安誘導批判
いきなり「切り札」を切ってきた

円安誘導批判は「いずれ出てくる」とは考えられていましたが、2月10日の日米首脳会談を控えて「思ったよりずっと早く」仕掛けてきました。

「今後の通商協定には通貨安誘導に極めて強い制限を導入していく」(1月26日)「中国や日本は何年も通貨安誘導を繰り広げている」「米国の貿易赤字は他国の資金供給と通貨切り下げが原因である」(1月31日)等々。

 本紙は当初、トランプ大統領は第一弾として各国との通商競争を強硬な姿勢で臨み、それが行き詰まったら第二弾として相手国の通貨安誘導をやり玉に挙げる「二段作戦」に出てくるだろうと考えていました。しかし、上記の発言を見るに最初から通商政策と通貨政策を「セット」で臨むようです。

 これはあまり「得策」とは思えません。なぜなら、中国、日本、それからドイツ、韓国、台湾、さらにはカナダ、メキシコと各国の通貨安政策を順番に批判していって、それでもドル高が止まらなかったら次に打つ手がほとんどなくなってしまうからです。一連の発言は今後の通商交渉で有利に立つためですが、将来の有効な為替(ドル高)対策のカードを1つ無駄に切ってしまったことになります。

 結局はさらに将来の中国や日本に対する通貨安誘導批判が大きくなるだけですが、さすがにトランプもいきなり中国と対峙することは避けるでしょう。うまい具合に2月10日に日米首脳会談が予定されていますので、まずは熾烈な日米通商交渉の火蓋が切って落とされるはずです。

 さらに1月31日のトランプ発言では、資金供給(Money Supply)も槍玉に上げています。これは(必ずしも明確ではありませんが)日銀の量的緩和を指しているはずです。現在で量的緩和を行っている中央銀行は、日銀、ECB、イングランド銀行だけであり、どう考えても最初の槍玉は日本であると身構えておくべきです。

通商交渉は「弾を使わない戦争」だ
日本はトランプ政権とどう戦うべきか

 ここは日銀の量的緩和を含む通貨安誘導批判に対する「しっかりした反論」と、妥協する場合の優先順位を決めて交渉に臨まなければなりません。昔から通商交渉とは「弾を使わない戦争」であり、理屈を主張しても何の役にも立ちません。

 日本の通貨安誘導批判には過去の為替介入(ドル買い介入)が含まれていることは間違いなさそうです。確かに円高を和らげるための介入もありましたが、同時多発テロ後の低迷から抜け出せない米国に35兆円ものドル買い介入を強行し、米国の金融システムとドルの信認を補強した「溝口介入」もあります。感謝こそされ批判される謂れのない介入もありますが、この期に及んではそんな主張もまた無意味です。

 介入の結果1兆2000億ドル以上に積みあがった外貨準備高は国債の発行(つまり国民負担)が原資であり、最近の低金利で以前ほど利鞘も稼げなくなっています。幸か不幸か現在のドルの水準は、外為資金特別会計のトータルコスト(1ドル=100円近辺)を上回って含み益となっています。

 2~3年先には大幅なドル安になっている可能性もあるので、ここでトランプの通貨安誘導批判に対して「外貨準備をいつでも減らせるフリーハンド」を得ておくべきと考えます。

 同時に、国内的にも全く意味がなくなっている量的緩和の縮小スケジュールも用意しておくべきでしょう。一時的に日本の金融市場にショックをもたらすかもしれませんが、今やっておかないと将来もっと大きなショックがやってくることになります。

闇株新聞が「将来もっと大きなショックがやってくる」と分析する理由は何か? ならば量的緩和縮小は具体的にどのように行うべきか!? 等は、本連載の本編である金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」で徹底的に解説しています。今、世界で何が起こっているのか、その裏側にはどんな闇が潜んでいるのか? 日々のニュースを闇株新聞と一緒に考えていきましょう。

闇株新聞PREMIUM

闇株新聞PREMIUM
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時  【価格】 2,552円/月(税込)
闇株新聞PREMIUM 闇株新聞
週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。
お試しはコチラ

 

DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)

●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?

金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料! 


世の中の仕組みと人生のデザイン
【発行周期】 隔週木曜日  【価格】 864円/月(税込)
世の中の仕組みと人生のデザイン 橘 玲
金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。
お試しはコチラ

堀江 貴文のブログでは言えない話
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時  【価格】 864円/月(税込)
堀江 貴文のブログでは言えない話 堀江 貴文
巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。
お試しはコチラ

 


【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2022年の最強クレジットカード(全8部門)を公開!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

配当&株価が10倍株!
NISA投信グランプリ
ふるさと納税

6月号4月19日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[配当&株価が10倍になる株!]
◎第1特集
配当&株価が10倍になる株!
10年持ちっぱなしで「配当が10倍」になる株や「株価10倍」になる大型優良株を発掘
・誰もが知ってる大型株・優良株で実現
・新興国に進出/AI・半導体/
高齢化・人手不足/環境・EV
・番外編:1年で株価2倍になる株


◎第2特集
ダイヤモンド・ザイ
NISA投信グランプリ2024

2回を迎える、投資信託のアワードを発表!
NISAの投信選びや保有投信のチェックに最適

・NISAで運用できる投資信託のみが対象
・個人投資家が選びやすいよう、本数は30本のみ!
・個人投資家がわかりやすい部門で表彰


◎第3特集
ふるさと納税 日本3大グルメ&生産地
返礼品60 

日本3大和牛、3大地鶏、といったブランド食品や、日本3景、3名泉のベストグルメ、大注目の魚介、フルーツの3大産地の返礼品などを紹介

◎第4特集
FXで1億円!
年億稼ぐトレーダーの「神トレ」大公開!

ドル/円が34年ぶりの安値更新など、活況の為替市場。
FX界隈では、1年で「億」を稼ぐ「年億」の個人投資家が続々誕生しています。その手法を、わかりやすくお届け


◎【別冊付録】

いつまでたっても始められない人に贈る
新NISA「超ラク」スタートBOOK
完ペキさを求めてなかなか始められないより、「ラク」に「早く」始めたほうが、結果的にオトク
なかなか始められない人向け、ぐうたら指南書


◆出遅れJリートに投資チャンス! 利回り4~5%台投資判断&オススメJリート 
◆おカネの本音:渋澤 健さん
◆10倍株を探せ! IPO株研究所
◆マンガ恋する株式相場「コンビニがGAFAの一角に!?」
◆マンガ「昭和のボロ空き家はそのまま貸せばいい!?」
◆人気毎月分配型投信100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!



「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報