株式市場に不透明感が強まる中、持ち株の中心にしたいのが、株価が安定している「高配当株」だ。ただし、高利回りを確保しながら値上がり益を狙いたいなら、「高配当株」というだけでは不十分。”他の条件”も併せ持つ高配当株を狙うのがおすすめだ。
ダイヤモンド・ザイには、大特集「守りの高配当株&攻めの10万円株」を掲載。特集内では、さまざまな切り口から注目の「高配当株」や「10万円株」を紹介しているが、今回は「高配当株」のなかから、高利回りを確保しつつ値上がり益も狙える「業績絶好調か増配期待が高い銘柄」を抜粋。ダイヤモンド・ザイ本誌に掲載している6銘柄のなかから、3銘柄をピックアップして紹介しよう!
株価上昇を狙うには、高利回りだけではダメ!
「過去最高益」や「増配・自社株買い」など強みが必要!
「複数の株を買う資金の余裕がないから、高利回りと値上がり益の両方狙える株を買いたい」という人もいるだろう。そこでおすすめなのが、配当利回りが3%以上であることに加えて、過去最高益を出した株や、増配・自社株買いで株主還元ができる現金収入がある株だ。
高配当株は下げに強いという特性があるが、「投資家が注目するような強みがもうひとつあれば、株価上昇も狙える」と、機関投資家としての運用経験が豊富な、こころトレード研究所の坂本慎太郎さんは指摘する。
「現状の株式市場は、機関投資家の債券向けの資金も株式へ移っており、高配当株にお金が入りやすい状況です。さらに、過去最高益など業績好調なら、人気化しやすい」
また、外資系証券会社でストラテジストを長年務めた智剣・Oskarグループの大川智宏さんは、次のように指摘する。
「現金をしっかり稼いでいる高配当株は投資先としては好成績。なぜなら、株主還元の余力があるため、減配などのリスクが小さく、個人投資家からの買いが集まりやすいからです」
現金を稼ぐ力は、会社が稼いだ現金から、必要資金を引いた「フリーキャッシュフロー」を総資産で割った数字をチェック。利益は出ていても設備投資などで多額の現金を必要とする企業はマイナスになる。プラスであればOKで、3%を超えると、現金を稼ぐ力が高いという証拠だ。
「外国人投資家の売買が多い大型株は、円高で大きく売られる可能性もある。一方で、個人投資家の売買が多くを占める中小型株のほうが、相場全体の影響を受けて下げるリスクは小さいので、安心して保有することができます」(大川さん)
株主還元余地がある「現金収入がある株」を狙え!
今回紹介する3銘柄のうち、配当利回り3%超で過去最高益の好調な銘柄が「ワールドホールディングス(2429)」。一方、株主還元が期待できる現金を稼ぐ力が高く、株主還元が期待できる銘柄が、「日本空調サービス(4658)」と「日水製薬(4550)」だ。
各銘柄を順に解説していこう(※以下、株価などのデータはすべて2017年2月6日現在のもの)。
※銘柄選定は、岡村友哉さん(マーケットコメンテーター)、平野憲一さん(ケイ・アセット)、戸松信博さん(グローバル・リンク・アドバイザーズ)、西村公佑さん(クォンツ・リサーチ)、大川智宏さん(智剣・Oskarグループ)
まず、「ワールドホールディングス」は、人材派遣と不動産事業を展開する企業。2016年12月期は過去最高益見通しで、来期も継続見込みだ。
「日本空調サービス」は、厳格な空調管理が必要な病院や研究所などの、空調メンテナンス業務を展開。財務良好で、豊富な現金収入があるため、株主還元が期待できる。
「日水製薬」は、「ニッスイ」の愛称や冷食で知られる「日本水産(1332)」の子会社。バイオベンチャーとの共同研究が話題で、有利子負債がゼロで安定配当が期待できるうえ、高齢化が進む中で株価が割安な医療関連株として人気化も。
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