ウォーレン・バフェットのコア銘柄である
コカコーラに注目
コカコーラ(ティッカーシンボル:KO)と言えばウォーレン・バフェットが長年ポートフォリオのコアに据えてきた銘柄です。3月末の時点でバフェットの投資会社バークシャー・ハサウェイは、コカコーラの発行済み株式の9.27%に相当する4億株を保有し、筆頭株主となっています。
同社の年間売上高は420億ドル、200カ国以上で500種類の飲料を販売する世界最大の非アルコール飲料会社です。非アルコール飲料の市場は1千億ドルで、年間+4%で成長しています。
万年低迷が続いてきたが
経営改革としてボトリング網の再編を発表
しかし近年のコカコーラの業績は、あまりパッとしませんでした。
そのひとつの理由は、消費者が炭酸飲料離れしていることによります。加えて近年のドル高も、海外売上比率が大きいコカコーラにとって逆風でした。
かつて優良企業、優れた経営という評価を受けていた同社は、いつの間にかバークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中でお荷物的な存在に成り下がっていました。
そこで同社は経営改革の一環として、海外ボトリング網の再編を発表しました。
ボトリングとは、本社から届けられたコカコーラのシロップ(原液)を薄めて、炭酸を加えて出荷する作業を指します。この仕事は資本集約的であるばかりでなく、薄利なので、お世辞にも魅力あるビジネスとは言えません。
いま新興国にコカコーラが初進出する場合、現地には必要なインフラストラクチャが整っていないですし、コカコーラというブランドが要求する品質、サービスなどを達成するのは困難です。社員教育や市場開拓も必要です。その場合、コカコーラはまず自社でボトリングを行い、販路を確立します。
ひとたびそれが軌道に乗れば、ボトリングを別会社として切り離し、非連結化することで本体の収益性を落とさないようにします。
コカコーラの収益性が高い秘密は、1)ブランド、2)原液の秘密、という二つの経営要素だけに集中しているからです。
さて、今回の経営改革では、欧州、中国、日本、アフリカ、北米の各地域でボトリング網の再編を行います。このうち欧州と日本では、既にフランチャイズ再編が終了しています。中国のフランチャイズ再編は、現在実施中です。さらにアフリカとアメリカは今年中に再編を終了する見込みです。
ボトリング・フランチャイズ再編が
業績に与える影響とは?
こうした一連の再編で、コカコーラ本体が扱うボトリング量は、全体の15%(2016年実績)から僅か3%へ減ると予想されます。
今回再編の対象となるコカコーラ社員10万人のうち、6万1千人はボトリング会社が継承することになります。
ボトリング網を切り離すと、その分、コカコーラ本体の売上高は目減りします。その関係で、同社の売上高は2015年から2016年にかけて減少しました。2017年も、2016年に比べて売上高は下がる見込みです。
その反面、利幅は拡大が見込まれています。2016年のグロスマージンは60%でしたが、再編後は68%になると思われます。営業マージンも、同様に24%から33%へ拡大する見込みです。
2017年の一時要因を除いた利益は、+7~+8%を見込んでいます。しかしボトリング網再編に絡む一時費用が-5~-6%足を引っ張り、さらに為替が-3~4%足を引っ張ると思われるため、EPSは-1~-4%を見込んでいます。
「最後の聖域」のコカコーラ本社でも
1200人のリストラを発表
コカコーラは4月に、アトランタ本社で1200人をリストラすると発表しました。アトランタ本社の従業員数は7500人なので、その16%に相当します。
コカコーラは、地元では「最も就職したい企業」であり、本社エグゼクティブ・フロアは絢爛(けんらん)さで知られています。
今回、そのような貴族的な牙城にもリストラの大ナタが振るわれることは、同社が経営改革に本気を出していることを物語っています。
コカコーラの株価は
過去最高値の47ドルを目指す?
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コカコーラ株は過去1年の高値45.23ドルと、ほぼ同じ水準で現在取引されています。ここを上に抜けると、次の目標は過去最高値の47ドルになります。これらの水準をもし超えることができれば、株価の動きが軽くなることが予想されます。
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