「佐川急便」を中核会社とする「SGホールディングス(9143)」が12月に上場見通し! 2017年最後の大型IPOは「買い」なのか?
ダイヤモンド・ザイでは、記者が集めたマネー・経済関連の最新トピックを2本紹介している。今回はその中から、年内最後の注目IPO「SGホールディングス」の検証記事を紹介! 一般的にIPOと言えば、当選すると利益を出しやすいイメージが強いが、果たして「SGホールディングス」にもその法則が当てはまるのか、プロの意見を聞いた。
「SGホールディングス」が12月13日に上場予定!
2017年最後の大型上場になりそうなのが、12月13日に東証1部に上場予定の「SGホールディングス(9143)」。宅配便2位の「佐川急便」を中核会社に持ち、上場すれば時価総額5000億円にも達するだけに注目されるが、同社株は“買い”なのだろうか?
労働力不足で現場が混乱した「ヤマト運輸(ヤマトホールディングス・9064)」に代表されるように、物流業界を取り巻く環境は厳しい。
「現在の物流業界は運賃の値上げと人件費の負担増が綱引きしており、業績の改善は一進一退という状態です」(SMBC日興証券の長谷川浩史アナリスト)
「ヤマト運輸」が最大顧客のアマゾンをはじめとする法人客相手に値上げ交渉に乗り出したことで、市場関係者は一時、収益増の期待に色めき立ったというが、9月28日に発表した中期経営計画の数字が期待を下回るものだったため、翌日から株価は下がった。
このように、物流業界は、先行き不透明な状態が続いている。
公開規模が大きいため、初値高騰は期待できず⁉
さらに、フィスコの小林大純アナリストは次のように指摘する。
「『SGホールディングス』は、今回の株式公開に伴い最大で1244億円を市場から調達する予定です。公開規模が1000億円を超える大型IPOは、需給関係が緩みやすく、初値が大きく公開価格を上回ることは期待しにくいです。過去のケースでいうと、『リクルートホールディングス(6098)』(2014年10月に上場、公開規模2138億円。公開価格3100円に対して初値3170円で騰落率2.3%)に近い形になると思います。『SGホールディングス』も公募に応じれば当たりやすいですが、初値は健闘しても公募価格をやや上回る程度でしょう」
一方、DZHフィナンシャルリサーチの田中一実さんは、「SGホールディングス」に対して強気の姿勢。「宅配便業界は、ようやく大口客に対して値上げを要求できる環境が整い、ネット通販拡大の恩恵を受ける時期に来ました」と言う。
佐川急便は「ヤマト運輸」に先駆けて、2013年には採算性の悪かったアマゾンとの契約を解消した点も評価ポイント。物流会社の中では、収益性に対する意識の高い会社と見られている。
「日立物流」と統合すれば、最強の物流会社に⁉
さらに好材料なのが、2016年に実現した「日立物流(9086)」との資本提携だ。お互いに20~29%ずつ株式を持ち合っており、「『SGホールディングス』が上場した後は、佐川急便と『日立物流』の統合に向けて動き出すだろう」(物流関係者)と目されている。統合が実現すれば、売上高は1兆6000億円規模になり、『ヤマト運輸』を抜いて物流業界2位になる。
加えて、「佐川は宅配便に代表されるように、ラストワンマイル(最終地点)までの配送に強い。一方の『日立物流』は、企業の物流業務を一括して請け負う3PL会社。実は、この2つの機能を備えた物流会社はあまりなく、統合できれば、幅広いサービスを武器に法人客に対して価格交渉で優位に立てるだろう」(同)と言う。
フィスコの小林さんは「他の物流会社の株価水準からみて、PER(株価収益率)15倍未満なら割安感があります」と言う。「SGホールディングス」が目論見書に記載する想定売り出し価格は「1株当たり1580円」で、算出されるPERは14.9倍。すでに適正水準にあり、ここからの株価急騰は期待しにくい。
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ただ、赤字に転落した「ヤマト運輸」と異なり業績は堅調で、統合による成長シナリオもあることから、中長期的に見れば、「SGホールディングス」の株を持っていてもよさそうだ。
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⇒「SGホールディングス(佐川急便)」のIPO情報!上場スケジュールから幹事証券、注目度、銘柄分析、他の貨物自動車運送企業との比較や予想まで解説!
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |