ギリシャの総選挙は不安材料の1つ
欧州に目を転じると、再び悪いニュースが増えるだろうと予想されます。
まずはギリシャですが、5月までに総選挙を行う必要があり、現在の第1党である全ギリシャ社会主義運動（ＰＡＳＯＫ）が現行の131議席から、かなり議席数を失うと見られています。
第2位の政党は、現行62議席の新民主主義党（ＮＤ）で、党首はアントニス・サマラス氏です。
現在はこの2つの政党が連立政権を形成しているのですが、今度の選挙の後も、両党は引き続き協力して連立政権を維持する必要があると見られています。
しかし、選挙を前に新しい政党を結成し、既存の秩序を覆そうという動きも出ています。
その場合、ギリシャが欧州連合に対して公約した財政緊縮が反故（ほご）にされる可能性もあるでしょう。
スペイン情勢にも注意する必要がある
さらに、スペインも予断を許さない情勢になっています。ここへ来て、同国の住宅価格が急落し始めているのです。
スペインはリーマン・ショック前に大きな住宅バブルを経験しました。しかし、スペインの従来の銀行会計では、不動産の評価損の値洗いの規則が極めて緩かったため、銀行が差し押さえた物件を全部抱え込んだままうずくまってしまった状態が続いていました。
今回、値洗いを義務づける新しい規則ができたため、差し押さえ物件の投げ売りが出始めているのです。
先日、スペイン政府は本年度の予算案を提出しましたが、大胆な支出のカットを含むもので、市場関係者の間でのウケは良かったです。
しかし、各地のデモが暴徒化しているという報道からもわかるように、国民の不満は大きいです。スペインの国民生活がどれだけきついかは、失業率を見るだけで察しがつきます。
以上から、欧州財政危機の問題が、今年もまた、ぶり返すと考えたほうが自然なのです。
また、先週の世界のパフォーマンスを見ると、先進国の株式市場は堅調でしたが、リスクに敏感な新興国ではすでにかなり崩れてきているところが多かったです。
この点からも「リスクオン祭り」は終わりに近づいていると考えます。
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