原油価格が上昇を続け、
WTIは1バレル70ドルを突破!
原油価格が着実に上昇しています。米国の代表的な指標銘柄であるウエスト・テキサス・インターメディエート(WTI)は、既に1バレル70ドルを超えています。
原油価格が上昇している第一番目の理由は、世界経済の好調で需要がしっかりしていることによります。
アメリカでは夏の行楽シーズンへ突入し
ガソリンの需要が増加
米国では、いわゆる「サマー・ドライビング・シーズン」が始まります。
アメリカ人は、子供の学校が夏休みに入る6月から家族でバカンスに出掛ける人が多いです。その際、飛行機での移動もありますがマイカーで遠出することが圧倒的に多いです。ベッドやキッチンのついたキャンピングカーをけん引してドライブを楽しむファミリーも多いため、夏場はガソリンの需要が増えると言われています。
下は、全米平均レギュラー・ガソリン価格のチャートです。
西テキサスではパイプライン容量がボトルネックとなり
原油の増産ができない状況に
さて、供給に目を転じると、ベーカーヒューズ社の集計による北米ロータリー・リグ(採掘装置)数は、じり高を辿っています。
つまり供給も増えているということです。下は生産高のチャートです。
しかし、米国を代表するシェールオイルの生産地である西テキサスでは、生産した原油を輸送するパイプラインの容量が目一杯になっており、これ以上増産しても出荷できない問題が持ち上がっています。このため、西テキサスで生産された原油は、市場の実勢価格よりかなり安値で叩き売られています。
株式の投資家は、そのような条件下でシェール企業に増産して欲しくないと感じています。したがって、シェール企業が野心的な増産計画を発表すると、逆に株価が売られるという現象が散見されます。
また、シェール企業の中には将来の生産分を先物で売りつなぐことで、将来の原油販売価格を確定してしまっている企業が多いです。すると、原油価格が上昇してもその恩恵をこうむることが出来ないわけです。投資家は、そのような企業の株を敬遠しています。
原油の需要に供給が追いつかず
在庫は取り崩され受給はタイトに
このような理由に加えて、石油輸出国機構(OPEC)は協調して生産調整を続けています。
さらに、メキシコ湾を挟んでアメリカのすぐ対岸に位置するベネズエラでは、経済の混乱で原油の生産にも支障が生じています。歴史的にベネズエラの原油はアメリカの流通インフラストラクチャと緊密に連携していたのですが、近年両国の関係は冷え込んでおり、ベネズエラからの原油がアメリカにあまり入って来なくなった関係で、施設のミスマッチが起こっています。
原油は、硫黄の含有率などにより、「スイート」「サワー」など、いろいろな種類に分かれます。また「APIグラビティ—」と呼ばれる比重によっても、「ライト」「ヘビー」といった等級に分類されます。石油精製施設は、どこの原油を受け入れるかで、あらかじめそのような「クセ」に対応できるように設計されており、その特定の産地からの原油が入って来なくなると設計を大幅に見直す必要が出てきます。ミスマッチとはそういうことです。
これら諸々の事情で、供給は需要に追い付いておらず、結果として在庫は取り崩されつつあります。
結局、「なぜ原油価格が上昇している?」ということに対する答えは、「在庫の整理が捗り、需給関係がタイトになっているから」ということになるでしょう。
現在の原油高を受けて
買うべき狙い目の3社銘柄とは?
そこでいよいよ本題に入りますが、「ズバリどの株を買うべきか?」ということを考えてみたいと思います。
まず上でも述べた通り、アメリカのシェールオイルの主要産地である西テキサスは「ボトルネック」が生じており、上手く出荷できなくなっているので、この地域で操業している企業は敬遠すべきだと思います。
次に、未だ原油価格が安かったときに慌てて将来の生産分を先物で売りつないでしまった企業は、今後原油価格が上昇してもその恩恵に浴さないので、それらの企業も外すべきです。
すると、ヘッジを用いず、しかも西テキサス以外の地域で操業している企業が良いということになります。
コンチネンタル・リソーシズ(ティッカーシンボル:CLR)は、「シェールの父」の1人、ハロルド・ハムという立志伝中の人によって創業された会社です。主に、ノースダコタ州のバーケン油田とオクラホマ州で操業しています。ヘッジを殆ど用いない企業として知られており、最近の原油高の恩恵をたっぷり享受しています。
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サンコア・エナジー(ティッカーシンボル:SU)は、カナダのアルバータ州などでオイルサンドから石油を生産しています。
オイルサンドというのは聞き慣れない用語かもしれません。どろどろしたコールタールの一種だと思っていただければよいです。カナダには莫大な量のオイルサンドが眠っています。それを大がかりなオーブンのような装置で熱してやり、砂と原油を分離するわけです。
原油価格が上昇する局面では、同社の含み価値はどんどん上がります。
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最後に、カリフォルニア・リソーシズ(ティッカーシンボル:CRC)という銘柄があります。同社は、サンフランシスコとロスアンゼルスの間にあるベーカーズフィールドという町の周辺で、昔ながらの首振り型ポンプを使って原油を生産しています。
すでに100年以上も生産している油田ですので、流量は限られています。ただ、カリフォルニアは新規の油田開発や精油所の建設に対する住民の反対が強く、その分、ガソリンなどの石油製品の価格は全米で一番高いです。
つまり既にその市場で長年生産しているカリフォルニア・リソーシズのような企業にとっては参入障壁で守られているということです。
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【今週のまとめ】
原油価格上昇を材料に銘柄を選ぶときは
「避けるべき企業」を把握しよう
原油価格が70ドル乗せしました。その理由は好景気に伴う旺盛な需要とシェール生産のボトルネック、さらにOPECの生産調整などです。
銘柄を選ぶ際に気をつけるべきポイントは、西テキサスの企業や、ヘッジにより原油価格のアップサイドを享受できない企業を避けるという事です。
コンチネンタル・リソーシズ、サンコア・エナジー、カリフォルニア・リソーシズの3社は最も恩恵を受ける企業だと思います。
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