世界的な宝飾品ブランドである
ティファニーに投資妙味
世界的な宝飾品ブランドのティファニー(ティッカーシンボル:TIF)が、新経営陣の下でブランド・イメージの若返りを図っています。この戦略はリスキーですが、いまのところ新機軸に対する消費者の反応は良好です。先週発表された2018年第1四半期(4月期)決算は久しぶりに投資家を納得させる良い内容でした。
ティファニーは、1868年にニューヨークで創業されたジュエリーの専門店で、確かな品質と洗練されたデザインで消費者から信頼されているブランドです。世界に315店舗を展開しています。
昨年はトランプ大統領に対するデモが悪影響を及ぼしたが
直近の決算発表では業績が改善!
先週発表された2018年第1四半期決算では、EPSが予想83セントに対し1.14ドル、売上高が予想9.6億ドルに対し10.3億ドル、売上高成長率は前年同期比+14.9%でした。
また、既存店売上比較は+10%で、為替要因を除く既存店売上比較は+7%でした。
下は過去の既存店売上比較の推移を示したチャートです。
ティファニーの場合、世界に店舗展開しており、それらの店舗の在庫は為替変動の影響を受けます。また、為替変動に合せて小売価格を比較的頻繁に変更するため、そのような為替要因を除いた既存店比較を使用するのが良いと思います。
既存店売上比較を、さらに細かく、地域別で見たのが下のチャートです。
2018年第1四半期は、欧州を除いてどこも良い感じで伸びています。欧州の既存店売上比較が冴えなかった理由は、ユーロ高でパリなど欧州大陸への観光客の客足が遠のいたことが原因です。
2016年から2017年にかけて同社の業績が低迷した理由は、同社が消費者の関心を喚起するような魅力的な製品を出せなかったことに加え、ニューヨークの五番街本店がトランプ・タワーのすぐ隣にある関係で、大統領選挙中、そしてトランプが大統領になった後、デモ行進が繰り広げられてゆっくりとショッピングを楽しめる雰囲気ではなかったことにも起因しています。
ティファニーは値引きを行わないブランド戦略により
グロスマージンが安定的に推移
ティファニーの商品セグメントは、下のパイチャートのようになっています。
デザイナー・ジュエリーというのは、著名なデザイナーの名前を冠したコレクションを指します。
同社の売上構成は、世界の地域によってかなり差があります。たとえば、日本は婚約指輪やデザイナー・ジュエリーの比率が高いです。
同社は高級感が大切なので、むやみに値引きしません。したがって、グロスマージン(粗利)は安定的に推移しています。
ティファニーは、新しいCEOの下で
新機軸の「若返り作戦」を開始!
ここ数年、ティファニーの業績は悪かったです。
この責任を取るカタチで、前CEOフレデリック・クメナルが2017年2月に解任され、長年同社のCEOを務めてきたマイケル・コワルスキーが、暫定CEOに返り咲きました。そして去年の10月からアレサンドロ・ボグリオロがCEOに就任しました。ボグリオロは、「ディーゼル」や「ブルガリ」などのブランドで要職を歴任したキャリアを持ちます。
ボグリオロは、ティファニー・ブランドの若返り作戦を開始しており、女優エル・ファニングを起用し、「夢を信じよう(Believe In Dreams)」というキャンペーンを開始しています。それに加えて、新しいジュエリー・コレクション「ペーパー・フラワーズ」を北米で売り出しています。これはゆくゆく世界で売り出す見込みです。
このような若返り作戦は、バーバリーのマーケティング戦略を彷彿(ほうふつ)とさせるものがあります。
これらの試みに対する消費者の反応は、いまのところ良好です。
【今週のまとめ】
ティファニーの若返り作戦は
バーバリーのように成功するのか、要注目!
ティファニーの業績は、ここ数年低迷していました。しかし、ここへきて同社の業績は改善基調で、既存店売上比較も上向いています。去年までの業績が悪かったので、向こう数四半期は前年比較でプラス成長を達成することは容易です。
ティファニーは保守的なブランド・イメージを守るため、これまでどちらかといえば「お堅い」マーケティング戦略ばかり採ってきました。しかし新しいCEOは、若々しいマーケティングへと舵を切っています。思い切った若返り戦略で成功したバーバリーの例もあるので、ティファニーの動向が注目されます。
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