シンガポールの国債の格付けは最高レベルの「AAA」、
一方で日本の国債の格付けは4段階も低い「A+」の理由は?
ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。
今回は、シンガポールと日本の国債の「格付け」と、その格付けが付けられるに至った背景について解説したいと思います。
「S&Pグローバル・レーティング」(2018年6月30日現在)によると、日本の国債の格付け(長期ソブリン格付け)は「A+(エープラス)」ですが、シンガポールの国債の格付けは「AAA(トリプルエー)」でした。S&Pグローバル・レーティングの格付けの最上ランクは「AAA」で、次が「AA+」、さらに「AA」「AA-」と続き、「A+」はその次のランクにあたります。つまり、日本の国債はシンガポールの国債よりも4段階も評価が低い、ということになります。
なお、シンガポールのほかに「AAA」なのはスイス、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、リヒテンシュタイン、ルクセンブルクなどで、米国は「AA+」でした。
なぜ、これほどシンガポール国債の格付けは高いのでしょうか。その答えは、シンガポールという国の貸借対照表(バランスシート)を見るとわかります。シンガポールの財政は、それなりに負債は大きいものの、資産が負債を大きく上回っているので、純資産がある状態なのです。
対する日本はといえば、平成30年度の「一般会計予算」の「歳出」を見ると、「社会保障費」が33.7%と、非常に大きな割合を占めています。さらに、「一般歳出(国債費、地方交付税交付金等を除いた政策経費)」で見ると、社会保障費の割合は実に56%ほどにも及びます。急激な高齢化によって、社会保障費は毎年3兆程度ずつ増大し続けています。
また、「歳出」の4分の3が借金返済、社会保障、地方交付税交付金に当てられており、これらは削ることが難しい支出と言えます。しかも、「歳入」の34.5%が借金になっており、プライマリーバランス(財政収支)も赤字の状態が続いています。要するに、純資産のあるシンガポールとは大違いで、今の日本は「財政が健全」とはとても言えない状態なのです。
国債が日本の国内で消費されなくなったとき、財政は窮地に陥る
今の日本は、日銀による異次元の金融緩和によって金利が低く抑えられており、「歳出」からの公債の利払い費用は、およそ9兆円程度で済んでいます。S&Pが日本国債の格付けを「A+」とし、見通しを「安定的」と評価したのは、このためでしょう。
しかし、日銀が保有する日本国債の残高は438.4兆円(2017年12月22日)と、日本政府が発行する国債のうち、実に43.2%を保有していることになります。2017年から日銀は国債の買い取り量を減らし始めており、徐々に出口戦略に向かいつつあります。
出口戦略に向かい始めたのは、将来的に金利が引き上げられて、公債の利払い費用が増大する見通しとなっているからです。マイナス金利を維持し続けると、預金金利はマイナスではないので、金融機関の経営が厳しくなります。そのため、長期金利目標については引き上げる方向性が示されており、実際に2018年7月31日の日銀金融政策決定会合を受けて、10年債利回りや一部の金融機関で、10年固定の住宅ローン金利が引き上げられました。
ちなみに、家計が保有する金融資産は、2017年12月末で過去最高の1880兆円に達しており、国債が国内で消費されている間は、問題が表面化することはないようにも思えます。しかし、今後の日本では少子高齢化・人口の減少が進み、社会保障費は増大。一方で家計の金融資産は減少していく見通しです。毎年30兆〜40兆円ずつ新しい国債を発行し続けていけば、約20年後には国内で消化する余地がなくなってしまう、との試算も出されています。
今後、さらなる国債が発行され、それが国内で消費しきれなくなった場合、海外投資家に国債を購入してもらうために、金利を上げて売り出すことになるかもしれません。そうなると、いまは9兆円ほどで済んでいる利払いが大幅に増え、財政はますます苦しくなってしまいます。
「財政破綻はありえない」という楽観論は、長期では通用しない?
一方で、「国には政府資産もあるから、日本は財政破綻しない」という楽観論もあります。しかし、個人的にはこういった楽観論には懐疑的です。日本政府の貸借対照表を見ると、「政府資産」は約673兆円(ここにはすぐに換金できない資産も含まれています)。国債、借入金、政府短期証券の累積残高である「政府債務」は約1222兆円で、「政府純債務」は549兆円になります。
政府純債務に加えて、将来支払うことを約束している社会保障給付がありますが、これは貸借対照表には記載されていません。資産や負債が貸借対照表に記載されないことを「オフバランス」と呼びますが、実はオフバランスの年金純債務(国民年金、厚生年金のぶん)だけでも、約700兆円(厚生労働省データ)に達しています。
データを羅列してしまいましたが、政府の抱えている債務は、国家の破綻につながりかねないほど膨大だ、ということが分かるのではないかと思います。資産のほとんどを「円」の銀行預金や保険などにしている人は、間接的に日本国債を大量に保有しているのと同じです。
また、低金利で預金金利がほぼゼロに関わらず、物価が1%でも上がるような状況になると、実質的に銀行預金の金利はマイナスになってしまいます。そのため、よく「預金にはインフレリスクがある」と言われるわけですが、リスク分散のために、株式や他の通貨への分散投資を考えてもよいのではないでしょうか。
「シンガポールドル=世界で最も安全な通貨」と断言するプロも!
海外の金融商品に投資するにあたっては、シンガポールの金融商品も対象になり得るでしょう。日本の一部金融機関を通じても、シンガポールの株を買ったり、シンガポールドル建ての外貨預金をしたりすることは可能です。
現地の金融機関で口座を開き、投資信託や債券などを購入することもできます(※ただし、やや難易度は高いです)。方法はどうあれ、シンガポールドル建ての金融商品に投資する場合は、為替リスクが伴います。そのため、一気にまとめて投資するのではなく、タイミングを分散したいところ。また、外貨を持つ場合は、よく旅行や出張などで訪れる国の通貨を選択するのも手です。
シンガポールに駐在している外国人でも、シンガポールにいる間に保険や投資信託を購入する人は多いです。その際、よく聞く悩みが「金融商品を米ドル建てで買うか、シンガポールドル建てで買うか」というもの(※シンガポールでは、どちらかを選択できる金融商品が多いです)。
難しい二者択一ですが、シンガポールにいるプロの金融アドバイザーと話をしていると、「シンガポールドルは世界で最も安定した通貨の一つだから、シンガポールドル建てで資産を作ることをおすすめする」という人は多いです。
日本や米国は、国の規模は大きいですが、前述のように負債も非常に大きいという側面があります。その点、シンガポールは小国ながら財務が健全で、安定感は抜群です。そのため、シンガポールドルが世界一安定しているというのも、大げさな話ではないのです。
といっても、いつどこで何が起こるかは、誰にも正確には予測できません。よって、海外の資産に投資する際には、どこかに偏りすぎずに分散投資していくことをおすすめします。
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