「インシュアテック」によって保険業界に起こる変化とは?
AIやビッグデータの活用で保険サービスが新時代に突入か
今回は「保険業界の最新トレンド」についてお話しします。金融の世界では、いつの時代も次々と新商品が開発されていますが、保険業界も例外ではありません。
最近の保険業界でよく耳にするのは、「インシュアテック(インステック)」という言葉です。インシュアテックは「フィンテック」の成り立ち同様に、「Insurance(保険)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語。具体的には、AIやビッグデータの活用によって、保険の商品開発やサービス内容を高度化する取り組みを指しています。
この「インシュアテック」によって、保険業界にこれからどのようなことが起こるのか(あるいは、すでに起こっているのか)といえば、以下のとおりです。
●従来にはなかった、自由度の高い新商品が設定できる
●これまで以上に、契約者にフィットするサービスを提供できる
●契約に関する複雑な手続きを簡略化できる
より良い保険商品とサービスが選択できるようになり、なおかつ手続きが簡略化できるのであれば、利用者にとってこれほどありがたいことはありません。
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「医療ビッグデータ」を解析することで
持病や既往症のある人も保険に加入しやすくなる⁉
すでに、多くの保険会社がインシュアテックに着手しています。
たとえば、死亡保障の保険や医療保険の分野では、医療ビッグデータの解析によって、リスクを細分化する試みが進められています。
保険会社には、これまでに蓄積されている膨大な契約者情報があります。それを基として、「生活習慣と病気の関連性」や、「健康診断の結果と病気の因果関係」などを解析することにより、実際に人がどのような過程を経て病気になるのか、緻密なデータが取れるようになっています。
従来は、特定の持病や既往症があると、「契約条件を満たしていない」と判定され、一律で保険に加入できなくなる(もしくは保険料が割高になる)のが一般的でした。
しかし、同じ病気にかかった経験があっても、人それぞれ条件は異なっており、病気の度合いも、経過した年数も、個人差があるでしょう。
ビッグデータ解析は、この個人差を洗い出してリスクを細分化することを可能にしました。特定の持病があっても、適切な治療を受け、きちんと健康維持の努力を続けていれば、「リスクが低い」と判定されて、保険に加入できる可能性が高まったのです。
続々登場している「健康増進型保険」のメリットは、
健康的な生活をすれば「保険料の割引」が受けられること!
毎日よく歩く人、定期的に運動する人、まめに健康診断を受けている人など、健康増進や病気予防に意欲的な人にインセンティブを与える、「健康増進型保険」も登場しています。この場合のインセンティブとは、「保険料の割引」です。
たとえば、2018年3月に第一生命が販売をスタートさせた「ジャスト」(終身保険に、定期保険や医療保険など、さまざまな保険を組み合わせるタイプの保険)の場合、年齢にもよりますが、健康診断書を提出するだけで約1割引、その健康診断の結果が一定条件を満たすと約2割引など、保険料が割引になる商品設計になっています。

また、2017年10月にネオファースト生命から発売された「ネオde健康エール」(特定生活習慣病入院一時給付保険)は、実年齢ではなく、体格(BMI)や血液検査の結果などから算出する「健康年齢」に応じて、保険料が設定されます。
実年齢が40歳の男性の場合、健康年齢も40歳であれば、保険料は「月額1782円」ですが、健康年齢が35歳なら「月額1514円」となります。逆に、健康年齢が実年齢よりも高い45歳なら「月額2162円」となります(※保険契約の型はⅠ型、入院一時給付金100万円、保険期間・保険料払い込み期間3年、月払いの場合)。
話題になっている住友生命の「Vitality」は
健康への取り組みで保険料が最大3割引に!
2018年7月に住友生命から出た「Vitality」も話題です。「Vitality」は保険の商品名ではなく、すでに住友生命が販売している「1up」(終身保険)と、「ドクターGO」(医療保険)に加入する際に付帯できる特約の名前です。正式には「Vitality健康プログラム(健康増進乗率適用特約)」です。
「Vitality健康プログラム」は月額864円の利用料がかかりますが、ウォーキングなどの運動を継続したり、健康診断を受けたりといった健康への取り組みを行うことで、保険料が1年で2%ずつ、最大で30%割引になります。
これまで、特に健康管理を心掛けてこなかった人も、このようなインセンティブが与えられるとなれば、やる気がわいてくるのではないでしょうか。
国民の健康意識の向上によって、膨大な医療費や介護費を圧縮させられるのではないか――といった期待もあり、政府は健康増進に関わる試みを後押ししています。こうした背景もあって、今後もさまざまな健康増進型保険が登場することが予想されます。
ただし、いくら健康管理に取り組んで割引を受けても、元々の保険料が高い商品だと、健康増進型ではないシンプルな生命保険や医療保険のほうが、結局は割安という可能性も考えられます。健康管理に自信があると、無条件に健康増進型を選びたくなってしまいそうですが、事前にさまざまな保険を比較検討することが大切です。
「インシュアテック」によって自動車保険にも変化が!
安全運転すれば「テレマティクス保険」で保険料が割引に!
なお、自動車保険の業界においても、リスクの細分化は進んでいます。
従来は、運転歴や運転免許証の色、交通違反の点数などで「等級」が決まっていましたが、最近では「テレマティクス」によりリスクレベルを判定して保険料を定める「テレマティクス保険」が増えています。
テレマティクスとは、自動車にカーナビなどの通信システムを搭載し、リアルタイムな情報サービスを提供する技術を指します。このテレマティクスを応用して、「運転者の特性」と「事故の引き起こしやすさ」の因果関係を解析し、安全運転をする人の保険料を割り引くシステムにしているのがテレマティクス保険です。
具体的には、安全運転をして保険に加入すると保険料が最大20%割引となる、損保ジャパン日本興亜のカーナビアプリ「ポータブルスマイリングリード」。保険加入後、計測器を搭載し、計測結果の点数に応じて保険料の最大約20%がキャッシュバックされるソニー損保の「やさしい運転キャッシュバック型」などが挙げられます。
さて、ここまでインシュアテックの先駆けとも言える商品やサービスを紹介してきました。
こうしたリスク細分化の流れは、日ごろから健康管理を意識したり、安全運転を心がけたりする意識の高い契約者にとっては、悪い話ではありません。しかし、不健康な生活を送っている人、運転が苦手な人などにとっては、これまでよりも保険料が高くついてしまう可能性があります。
自分のため、そして節約のために、本腰を入れて生活習慣の見直すことも検討してみるといいかもしれません。
(取材/麻宮しま)
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