ゴールデンウィーク10連休中の外部環境は、途中までは良好でしたが、最終段階で「暗転」してしまいました。具体的にいうと、5月3日のシカゴ日経平均先物6月物は2万2475円と、4月26日の大取終値を225円上回っていました。それが、6日のシカゴ日経平均先物6月物は一時2万1915円まで下落する場面がありました。ただし、6日終値は下げ渋り、2万2205円でした。
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5月3日までのシカゴ日経平均先物高の主因は、やはり米国株高でした。3日のNYダウは3日ぶりに反発して前日比197.16ドル、ナスダック総合株価指数は4日ぶりに反発して同127.224ポイント高の8163.996ポイントと、4月29日以来、4日ぶりに最高値を更新したのです。
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4月雇用統計により好調だった米国株は、
トランプ大統領のツイートにより大幅反落へ
米国株高の背景は、5月3日発表の4月雇用統計が好感された結果です。非農業部門の雇用者数が前月比26万3000人増と市場予想を大幅に上回り、失業率も3.6%と49年ぶりの水準に低下しました。しかしながら、その一方で、平均時給の前年同月比伸び率は3.2%と前月と同じで、市場予想の3.3%を下回り、インフレ圧力が鈍いことが確認できました。このため、FRBによる利上げが一段と遠のき、これが好感されたのです。また、債券が買われ、10年物国債利回りは前日比0.02%低下し2.52%で終えました。この長期金利低下は、とりわけ米ハイテク株高要因でした。
しかしながら、トランプ大統領が5月5日正午過ぎに突然投稿したツイートが、事態を急変させました。
「中国との貿易交渉は継続しているが、遅すぎる」、「現在10%の関税をかけている2000億ドル分の製品の関税は10日金曜日に25%に引き上げる」と呟きました。「さらに現在は非課税の3250億ドル分の追加商品にも、すぐに25%の関税を課す」とも。これに関しては、「ライトハイザーUSTR代表が北京で協議した際、中国側が外国企業への技術移転強要を是正する法整備の約束を撤回し、その報告を受けたトランプ氏が激怒したため」だと、一部で報じられています。
これを受け、5月6日の上海総合指数は大幅反落し、前営業日の4月30日比171.8749ポイント(5.58%)安の2906.4640ポイントと、3000ポイントの心理的節目を下回り2月22日以来の安値を付けました。
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ですが、中国外務省の担当者が5月6日、「中国の交渉団は貿易協議のために米国に行く準備を進めている」と語ったことで、貿易交渉が継続されることへの期待が高まり、6日の米国株は反落したものの急速に下げ渋りました。ダウの終値は前週末比66.47ドル安の2万6438.48ドルでしたが、下げ幅は一時471ドル安となる場面がありました。
この5月6日のダウの下げ渋りで、10連休明け7日の東京株式市場も、それほど悪くないスタートを切れるかなと思いきや、米国で通常取引終了後にライトハイザーUSTR代表が、「(交渉が不調の場合)10日の午前12時1分に対中関税を引き上げる」と述べため、再び、楽観ムードが後退してしましました。
スケジュール的には、5月9、10両日に中国の劉鶴副首相が率いる交渉団が訪米し、米中は協議を続けるようです。このため、今週一杯はこの協議の行方を見極めたいとのムードが強い状況が続くでしょう。
個人投資家好みの小型材料株の需給が良好!
大型株から逃げてきた短期資金の受け皿に
なお、10連休前に買いポジションを相当整理し、現金余力がたっぷりある個人投資家は多いと観測されます。このため、個人投資家好みの銘柄群に関しては、連休前に売られたため、現在の需給は良好だと思います。
結果、日経平均株価に代表される大型株が、米中貿易交渉などの外部要因で軟調だとしても、むしろ、新興市場銘柄などの小型材料株は短期資金の受け皿になる可能性があります。そして、想定通り「大型株安・小型株高」になるならば、多くのアクティブ個人(信用取引を積極的に活用し、短期売買を好む個人投資家)の相場の体感温度は高い状況が維持されるでしょう。
逆に、日経平均株価への寄与度の大きい値嵩株に関しては、当面注意が必要です。今後、外部環境が悪化するケースでは、ヘッジファンドなどからの先物の売り仕掛けが加速し、指数の下落が加速する見通しです。その際には、指数寄与度の大きい値嵩株が主導する形で日経平均株価が下落する可能性が高いからです。
よって、当面は、ヘッジファンドなどの先物売買の影響を受け難い銘柄群での売買を推奨します。
今後の日経平均株価は米中貿易協議の結果次第だが、
2万円を大きく割り込むような急落リスクは低い
今後については、米中貿易協議がいったん物別れになるケースが一番怖いですね。年初からの日米株式市場は、この協議が上手く着地するとの期待も上昇要因のひとつでした。これが期待外れになると、梯子を外される可能性も否定できません。
ただし、年初からのもう一つの上昇要因であるFRBのハト化は継続しています。このため、昨年10月から12月のような急落は想定していませんし、下値も12月のように日経平均株価が2万円を大きく割り込むようなこともないでしょう。
テクニカル的には昨年12月26日の安値が1万8948.58円です。その後の高値が4月24日の2万2362.92円でした。上げ幅は3414.34円です。この半値押しが2万0655.75円、61.8%押しが2万0252.86円です。そうこう考えると、日経平均株価の下値は最大で2万円程度と考えておけばよさそうです。
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また、仮に物別れになったとしても、先述のFRBのハト化という買い材料がありますので、昨年10月~12月のような「投げが投げを呼ぶ」ような展開は回避されるとみています。
まあ、いずれにせよ、米中貿易協議の結果が出てから、本格的に株を買うかどうかを決めればよいでしょう。
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