注目を集めたウーバーのIPOだが、
初日から公募割れというふがいない展開に!
先週金曜日(5月10日)、ウーバー(ティッカーシンボル:UBER)がニューヨーク証券取引所に新規株式公開(IPO)されました。
値決めは45ドルで行われたものの、上場初値は42ドルと、いきなり公募価格割れで取引が開始されました。結局、その後も一度も公募価格の45ドルに達することが出来ず、大引けは41.57ドルでした。
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もともとこのディールは、「場合によっては1200億ドルくらいの時価評価で値決めされるかも」と噂されていました。ところが、上場日の引けの時点での時価総額は671億ドルに過ぎません。つまり、期待とは裏腹に、「ふがいない!」としか形容のしようがないデビューだったのです。
このように上場初日にして公募価格を割り込むようなディールは「ブロークン・ディール(ぶっ壊れたIPO)」と呼ばれ、しばらくの間ダラダラ売りが続くのが普通です。
したがって、ウーバーに関しては、短期的には未だ下値リスクの方が大きいと思います。
ウーバーのIPOは、モルガン・スタンレーらしくない
後々まで汚点を残すディールに
ウーバーのIPOの最終的な倍率は、4倍でした。普通、安全確実に上場に持ち込むためには少なくとも10倍くらいのオーバー・サブスクリプション(=需要超過)がなければいけません。したがって、ウーバーは普通ならIPO見送りになっても仕方ないほど人気が無かったのです。
それでも主幹事のモルガン・スタンレーは、IPOを強行しました。これは「ウォール街の王者」モルスタらしくない、後々まで汚点を残すディールでした。
ウーバーのIPO失敗の原因は、
先行して上場したリフトの不調にある!?
ウーバーのIPOに人気が出なかった理由として、ライバルのリフト(ティッカーシンボル:LYFT)が、上場初日、寄付いた直後から一本調子に株価を下げたことを指摘する向きがあります。
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しかしリフトの場合、当初の価格レンジを一度切り上げただけでなく、さらにその上限近くで値決めされ、上場初値はそこから更にプレミアムで寄付きました。つまり、実際に取引が開始されるまではすべてが順調だったのです。
また、そもそもリフトの時価総額はウーバーの5分の1に過ぎず、「自分よりずっと小さいライバル企業のディールがこけたから、自分たちのディールもダメでした」というのは、リーダー企業の言い草としては「情けない!」の一語に尽きます。
むしろ指摘されるべきことは、リフトのIPOの後で提出されたウーバーの上場書類を見ると「ウーバーの経営内容が前評判ほど良くなかった」という点こそ投資家の気持ちが急速に冷めた主因のように思います。
ウーバーとリフトの経営内容を比較すると
事業規模の小さいリフトの方が高評価
今のリフトとウーバーを比べた場合、なるほど事業規模ではウーバーの方が大きいのですが、経営の内容としてはリフトの方が一枚上だと思います。
下の二つのチャートをじっくりと比較してください。
上のそれぞれのチャートで、利益(EPS)は本業に関係ない一時益・特別損を含んでいます。だから業績の比較のためには不適切なので無視しても良いでしょう。それよりも、「雑音」が含まれていない売上高(黄色)ならびに営業キャッシュフロー(グレー)を見比べるのが一番です。
株価が異なるので数字の絶対値では比較できないのですが、売上高の成長の度合いを比較すると、リフトの方が遥かに急成長しています。実際、去年のリフトの売上高成長率は+103%、一方のウーバーは+45%でした。つまり、ウーバーはリフトの半分くらいのスピードでしか成長してないのです。
次に、賃走毎の粗利益のチャートをお見せします。
つまり、リフトの方が儲かる構造になっているということです。
半年〜1年の中期的なスパンでみた場合、
ウーバーとリフトはどちらの方が有望か?
さて、今後半年から1年の株価についてですが、私ならリフトの方が良いと思っています。
第一の理由はリフトの成長率の方が高いから、第二の理由はリフトの方が早く営業キャッシュフロー・ベースで黒字転換しそうだからです。さらに最後の理由として、リフトはすでにIPO後初の決算発表を無難にこなしていることを挙げます
リフトとウーバーは、過去1年の売上高に対して約7倍程度の時価総額対売上高比(PSR)で取引されています。これは、IPOされたばかりの若い企業としてはリーズナブルなバリュエーションです。だから「バリュエーションが割高すぎるから、これらの株は到底買えない!」という主張には正当性はありません。
むしろ「今後、いつ利益が出せるの?」という業績こそが株価の手がかりになるはずです。
リフトの第1四半期決算では、
売上高成長率が前年同期比で+95%に!
リフトの第1四半期決算は、EPSが予想-10.88ドルに対し-9.02ドル、売上高は予想7.39億ドルに対し7.76億ドル、売上高成長率は前年同期比+95.4%でした。
アクティブ・ライダー数は、前年比+46%の2050万人でした。アクティブ・ライダー当たり売上高は、前年同期比+34%の37.86ドルでした。また、2018年第4四半期と比べたアクティブ・ライダー数は+10%でした。
リフトは、2019年が赤字のピークであり今後赤字幅は小さくなる、と発言しました。コア・ビジネスは力強く、またコスト・レバレッジが上手く効き始めています。
コントリビューション・マージン(貢献利益)は1500ベーシスポイント改善し、50%に達しました。EBITDAマージンは3200ベーシスポイント改善し、28%に達しました。
他社との競合・値引き合戦は緩和しており、一番の競合であるウーバーも、より理性的な競争戦略に転じてきています。
リフトにおけるコストのコントロールは、とても上手く行っています。第2四半期のセールス&マーケティング費用比率は28%に下がる見込みです。ちなみに、去年の第2四半期は35%でした。
またリフトは、アルファベット傘下のウェイモー(Waymo)とパートナーシップを提携しました。アリゾナ州フェニックスで、ウェイモーの自動運転車によるリフトのサービスを試験的に開始します。
リフトは、自社にて自動運転車システムを開発するとともに、今回のウェイモーのような外部企業とのパートナーシップも進めてゆく考えです。
リフトの第2四半期売上高は、予想7.82億ドルに対し新ガイダンス8.0億〜8.1億ドルが提示されています。修正EBITDAは、-2.8億〜-2.7億ドルが提示されました。2018年第四半期に値上げを実施した関係で、前年比較は苦しいです。
2019年度の売上高は、予想32.5億ドルに対し新ガイダンス32.75億〜33億ドルが提示されました。修正EBITDAは、-11.75億〜-11.5億ドルが提示されました。
【今週のまとめ】
ライドシェアリング銘柄は、当面、軟調な展開になるものの
保有するならリフトがおすすめ
ウーバーのIPOは、とんでもない失敗に終わりました。ウーバーは「自分たちのIPOが上手く行かなかったのは、リフトのせいだ!」としていますが、投資家はもっとしっかりと両社の財務諸表を見比べ、「やっぱりリフトのほうがいいね」ということを承知していると思います。ウーバーがパスされたのはそのためです。
目先は、今後もウーバー株に投げが出ると思います。その関係でリフト株も軟調な展開でしょう。
しかし、両方ともの株式が上場された今、これからは業績だけが重要になるはずです。その点、リフトは一足先にIPO後初の決算発表を無事こなしており、安心感があります。ライドシェアリングの株は、リフト一択でじゅうぶんだと思います。
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