「お宝銘柄」発掘術!

「バイオプラスチック」関連銘柄の中でも業績好調な19社を紹介! コンビニが植物由来素材の包装を採用するなど、拡大する“脱プラスチック”の流れに乗れ!

2019年6月27日公開(2022年3月29日更新)
村瀬 智一
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 先日、コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンが、今年7月中をめどに、おにぎり全品の包装を植物由来の原料を配合したバイオマスプラスチック素材に切り替えることが報じられました。

 セブン-イレブンは、今年4月、今秋をめどに店舗で提供する「セブンカフェ」で生分解性素材のストローの導入することを発表したほか、今月17日には、大阪市を中心とした一部店舗で弁当などの購入客に対して配布するスプーンとフォークを植物由来素材を30%配合したものに切り替える導入試験を開始しました。

 こうした「脱プラスチック」の動きは、セブン-イレブンに限らず、ファミリーマートやローソンなど他のコンビニ各社にも広がっています。

 これまでもプラスチック素材による海洋汚染が世界的な問題として取り上げられていましたが、コンビニ各社がこういった対策を強化することにより、これまで以上に「脱プラスチック」に注目が集まると考えられます。実際、足元では「セブンカフェ」で提供する生分解性素材のストローを共同開発するカネカ(4118)の株価が一時上昇する局面も見られました。

これまで「脱プラスチック」に関して日本は出遅れていたが、
今後は否応なく対応が進む見通し

 プラスチック使用削減の動きについて、欧州連合(EU)は2018年にストローなど10品目でプラスチックの使用を禁じる法案を採択しました。そして、2030年までにすべての容器・包装の再利用を可能にする方針を掲げています。

 さらに、プラスチック容器など有害廃棄物の国境を越えた移動を規制する「バーゼル条約」の改正により、2021年から廃プラスチック(廃プラ)の輸出が難しくなります。

 一方、日本は廃プラの回収や再利用が先行したため、プラスチック使用削減については積極的ではありませんでした。そのため現時点で日本企業は脱プラスチックへの対応を迫られる格好であり、大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議でも議題となる予定です。

 こうした脱プラスチックの流れの中で、「バイオプラスチック」を手掛ける企業に対して市場の関心が高まっています。「バイオプラスチック」は、植物などの再生可能資源を原料とした「バイオマスプラスチック」と、微生物などの働きにより分解される「生分解性プラスチック」の総称で、環境負荷の高い従来のプラスチックの代替として期待されています。

 そこで今回は「バイオプラスチック」関連銘柄を発掘しました。

日本バイオマス協会の会員企業の中から、
増収・増益で株価が堅調に推移している上場企業をピックアップ!

 「バイオプラスチック」の関連銘柄は、大きく分けて、「バイオプラスチック製品を導入する企業」と、「バイオプラスチック素材や製品を開発している企業」の2つに分かれます。

 前者は、プラスチック使用削減への意識が高まり、商品を選択する際に脱プラスチック製品を選ぶ消費者が増えることで、「バイオプラスチック」を導入した製品の販売増が期待できます。しかし、基本的には「バイオプラスチック」を導入する企業よりも、素材・製品を開発する企業のほうがより直接的にメリットを享受すると考えられます。そのため、今回は「バイオプラスチック」の素材や製品を開発している企業をピックアップしました。

 関連銘柄の具体的な探し方ですが、まず、日本バイオマス協会(JBPA)の会員リストをベースにしました。JBPAの公式サイトを見ると、JBPA正会員が25社、JBPA賛助会員が21社、JBPAマーク会員が178社載っていました。その中から上場企業を抽出し、「バイオプラスチック」を生産・販売している企業をリストアップしました。

 さらに、いくら「バイオプラスチック」の関連銘柄といっても、業績面で減収・減益や赤字の銘柄や株価のトレンドが弱い銘柄は買いづらいので、以下の条件で絞り込みました。

1)今期増収・営業増益を計画
2)直近の株価が25日移動平均線を上回って推移

 これらの条件により、最終的に次の19銘柄を発掘しました。

■業績好調で要注目の「バイオプラスチック」関連銘柄

(2019年6月25日時点)
銘柄名(コード) 関連事業 最新株価
積水化成品工業(4228) 植物系のでんぷんから作られる植物由来プラスチック
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第一工業製薬(4461) 第一工業製薬,ポリ乳酸の耐熱性・耐衝撃性を高める改質剤
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リケンテクノス(4220) バイオマスコンパウンド
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東レ(3402) バイオマス由来のグリーンイノベーション製品
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コニカミノルタ(4902) 再生PC/ABSとバイオマスプラスチックを使用した複写機
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三洋化成工業(4471) 三洋化成工業,非生物由来で患者の血液凝固能に依存しない新しいタイプの外科用止血材
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カネカ(4118) 生分解性プラスチック『カネカ生分解性ポリマーPHBH ® 』
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理研ビタミン(4526) 塩化ビニール用バイオ可塑剤『バイオサイザー』
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東洋紡(3101) カーボンニュートラルな高機能バイオプラスチック
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三菱ケミカルホールディングス(4188) 植物由来のイソソルバイドが主原料のバイオエンジニアリングプラスチック
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三井化学(4183) 植物原料のポリプロピレン(PP)の商用生産に向けた動き
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エフピコ(7947) エコトレー、プラスチック資源のリサイクル
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日産化学(4021) バイオプラスチック用結晶核剤『エコプロモートシリーズ』
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クレハ(4023) 生分解性を有し、加水分解が早いという特徴を持つ樹脂『Kuredux』
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東洋製罐グループホールディングス(5901) 原料としてサトウキビ由来のポリエチレンを30%使用した環境負荷低減キャップ
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アキレス(5142) バイオマス原料のひまし油を使用しながら通常のウレタンフォーム並みの品質
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日精樹脂工業(6293) 樹脂材料ポリ乳酸(PLA)を100%使った耐熱容器を製造装置
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東芝テック(6588) バイオマスプラスチック商品(バイオマス度25%以上)を複合機本体の一部に採用
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タキロンシーアイ(4215) バイオプラスチックプレート製品
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 規模感で見ると、「バイオプラスチック」関連銘柄の中核となるのは、カネカでしょう。カネカは決算説明会において、生分解性プラスチックの生産能力を、2019年12月までに年間約5000トンに増強するほか、数年後には現状の100倍となる年10万トンに増やす方針を明らかにしています。前述のセブン-イレブンとの共同開発以外に、資生堂(4911)とも生分解性化粧品容器の共同開発を開始しています。

 また、東大発ベンチャー「CO2資源化研究所」は、世界で初めてCO2からの乳酸生成の技術確立に成功したと発表しました。生分解性プラスチック「CO2ポリ乳酸」の早期工業化へ向け注力するとのことです。「CO2資源化研究所」自体は非上場企業ですが、社長の湯川氏が三菱化学でリサーチフェローに就任した経歴を持っていることもあり、間接的に三菱ケミカルホールディングス(4188)へ関心が集まりそうです。

 さらに、ポリ乳酸の耐熱性・耐衝撃性を高める改質剤を手掛けている第一工業製薬(4461)への期待値も高まります。

世界的な「ESG投資」の流れからも、
「バイオプラスチック」は今後ますます重要な投資テーマに!

 以前の記事でも取り上げましたが、企業の環境や社会への配慮を評価基準とする「ESG投資」の考え方が世界中で広がっており、現在、ESG投資の運用残高は世界で30兆円とも言われています。
【※ESG投資について取り上げた過去記事はこちら】
⇒「新元号」と「ESG投資」で盛り上がる銘柄を発掘! 平成の次に来る「新時代」に株価の上昇が期待できる2つの注目の投資テーマ&具体的なおすすめ銘柄を紹介

 そうした世界的な流れからも、脱プラスチックへの遅れは日本企業の評価を下げることにつながるため、「バイオプラスチック」導入の流れは、今後ますます加速することが期待できます。

 「バイオプラスチック」は一時の流行りではなく長期的に取り組めるテーマだと考えられますので、今回取り上げた19銘柄の中から、自分の資金を預けるに足ると思える企業をぜひ見つけ出してください。

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