人間の代わりにデスクワークなどの業務を行う「RPA」は、
企業にとって今後ますます重要に!
今回は、最近注目を集めている「RPA関連銘柄」を取り上げたいと思います。
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、ルールエンジン(組織のビジネスルールの運用を自動化するソフトウエア)やAI(人工知能)などのソフトウエアを利用して、デスクワークなどのホワイトカラー業務を自動化・効率化する仕組みのことです。具体的には、経理業務や人事業務、データ分析、顧客対応などの業務がRPAによる自動化に向いていると考えられています。
RPAは、業務内容によっては人間の何倍もの速度で仕事をこなすことができて、しかも人間とは違って1日24時間の稼働が可能です。例えば、人間の3倍の速度でパソコン操作を行えるRPAが1日24時間可動すれば、そのRPAは、1日8時間勤務の人間と比べて9倍(3倍の速度×3倍の時間)の生産性があると言えます。
データ入力のような定型業務を膨大に行っている現場では、それらを自動で行えるRPAは、人件費削減や生産性向上にとって欠かせないものとなるでしょう。人手不足や働き方改革が騒がれる中、RPAを導入する企業は今後ますます増えてくると考えられます。
「クラウド」と「サブスクリプション」によって、
RPA導入のハードルが低下し、普及が加速!
日本企業のIT設備投資は世界に比べて相当遅れており、新たな設備投資を行うよりも、従来の老朽化したシステムの保守に費用をかける企業が多いのが現状です。そんなIT設備投資が遅れている日本だからこそ、効率化を促すRPAの需要は大きいと見られています。
企業のRPA導入を阻む大きな理由のひとつが“コスト”です。新たにRPAを利用したくても、本格的に導入するには専門知識を持つエンジニアが時間をかけてサーバーを構築する必要があるため、高額なコストがかかるのが従来の課題でした。
しかし最近では、ソフトウエアのクラウド化とサブスクリプション(定額課金)方式の普及により、コスト面の問題はかなり改善されてきました。
RPAのソフトウエアを自社のサーバー上で運用するのではなく、クラウド上に置かれたソフトウエアを利用することで、大金をかけてサーバーを構築する必要がなくなりました。さらに、ソフトウエアを購入するのではなく、サブスクリプション方式で定額の利用料を支払う形にすることで、高額な初期投資を抑えることができるようになったのです。
その結果、大手企業から中小企業、地方自治体まで、企業規模の大小に関わらず、RPAの導入は今後ますます進んでいくと思われます。
株価の方向性やテクニカル面も考慮して、
注目すべき「RPA関連銘柄」を5社紹介!
日本でRPAを手掛けている企業は、100社近くあります。その中から注目すべき企業をピックアップするため、業務内容に加え、株価の方向性をチェックしてテクニカル面である程度まで銘柄を絞りました。さらに、信用取引による需給面も重要となるので、信用倍率(買い残高÷売り残高)が低い銘柄に絞りました。ファンダメンタル面としては、最低でも増収増益、もしくは黒字転換でV字回復した企業を選びました。
こうした要素を検討して浮かび上がってきた「RPA関連銘柄」として、注目しておきたい5銘柄を紹介します。
デジタル・インフォメーション・テクノロジー(3916)
デジタル・インフォメーション・テクノロジー(3916)は、独立系のシステム開発会社です。RPAテクノロジーズ(6572)やMinoriソリューションズ(3822)などと業務提携しており、業務自動化プラットフォーム「xoBot(ゾボット)」とのサービス連携により、顧客ニーズを取り込んでいます。
今期は2ケタ増収増益の見込みです。テクニカル的には、足元での上値抵抗ラインとなっていた1900円のもち合いを上に抜けてきましたので、需給状況は大きく改善しています。
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インフォコム(4348)
インフォコムは、医療・企業・公共機関向けにシステム構築やパッケージ製品を提供するITサービスと、一般消費者向けに電子コミック配信を手掛ける企業です。また、AI/IoTをはじめとする新規技術の研究も実施しています。RPA関連事業としては、国内ERPとして導入実績が増えている「GRANDIT」にRAPを活用することで、周辺で発生する様々な業務をソフトウェアロボットが代行できるようにしています。
インフォコム(4348)の今期業績については、2ケタ増収増益の見込みです。株価を見ると、4月の安値を底値としたリバウンドが継続しており、昨年12月高値に接近しています。心理的には「二点天井(ダブルトップ)」が意識されやすいですが、これを上に抜けてくると、テクニカル的に4月までの下落幅を倍返しするトレンドの形成が期待できます。
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パーソルホールディングス(2181)
パーソルホールディングスは、総合人材サービス企業であり、人材派遣サービスの「テンプスタッフ」、転職サービスの「doda」、アルバイト求人情報サービスの「an」などを運営しています。
RPA関連では、グループ会社のパーソルプロセス&テクノロジーが、RPA導入支援サービスを提供し、人事や経理、営業事務などのバックオフィス業務の効率化を支援しています。
業績的には増収増益基調が継続しており、今期の売上高は1兆円の大台を計画しています。一方、株価は4月以降、強いリバウンドが続いています。長期のチャートを見ても、昨年4月の高値から続いていた下落トレンドラインを上に突破しており、トレンドが好転しています。
⇒パーソナルホールディングス(2181)の最新株価はこちら!
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NECネッツエスアイ(1973)
NECネッツエスアイはNECグループのコミュニケーション・システムインテグレーターです。働き方改革関連分野やホテルなどのサービス業向けネットワーク構築などを中心に、企業ネットワークおよびキャリアネットワーク分野が好調です。
RPA関連の事業としては、AI inside社の文書読取ツール「DX Suite」とRPAを組み合わせたサービスの販売を開始しおり、紙文書のデータ読取と入力の自動化を実現しています。
業績については、増収増益基調が継続中です。株価は、緩やかな上昇が続いています。短期的には下値支持線となる75日移動平均線まで調整しており、反転のタイミングとして意識されています。
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SCSK(9719)
SCSKは、コンサルティングやシステム開発、ITインフラ構築、さらにはITハード・ソフト販売など、ビジネスに求められる多くのITサービスを提供しています。
PC操作を自動化するWinActor」は、ユーザーが行った端末操作を記録し、それを元に自動操作を行うRPAツールです。データベースとの連携やExcel操作、メール作成など、豊富な機能に対応しています。
株価は、今年に入って順調なリバウンドが継続中です。2016年以降、5500円の上値抵抗線に抑えられていますが、今後、ここを突破することが期待されます。
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米国でRPA関連銘柄として注目のマイクロソフトと提携する
2つの国内企業も見逃せない!
また、RPA関連銘柄を語る上で重要となるのがマイクロソフト(MSFT)です。米国では、マイクロソフトがRPAの関連銘柄として挙げられています。
近年のマイクロソフトは、基本ソフト「ウィンドウズ」の販売鈍化を背景に、他分野への進出を図っており、その一環としてクラウドコンピューティングプラットフォームの「Microsoft Azure」に注力しています。マイクロソフトは自社ではRPAを提供していませんが、他社と連携することで「Microsoft Azure」をプラットフォームとしたRPAサービスが次々に誕生しています。
そのひとつがソフトバンクグループ(9984)で、現在、マイクロソフトとの戦略的協業関係を強化しています。最近では、ソフトバンクグループ傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する米国大手RPAベンダーのオートメーション・エニウェアが、自社製品のRPAプラットフォームとして「Microsoft Azure」と連携しています。ソフトバンクグループとマイクロソフトの各種製品が連携することにより、RPAとAIを組み合わせたデジタルワークフォース(デジタル労働力)の活用がますます広がるでしょう。
ソフトバンクグループは、今期計画を発表していないため、前出の「おすすめ銘柄」の中には入れませんでしたが、マイクロソフトとの連携を考えるとRPA関連銘柄として要チェックです。
また、RPAホールディングス(9572)も、子会社のRPAテクノロジーズがRPA・AI分野でマイクロソフトと協業しています。今期大幅増収・増益を見込んでいるものの、現在の株価の方向性が弱いので「おすすめ銘柄」からは除きましたが、今後の値動きを注目しておきたい銘柄です。
以上、今回は「RPA関連銘柄」を紹介しました。人材不足や働き方改革が話題となる中、労働生産性の向上やコスト削減が期待できる「RPA」は、見逃せない投資テーマであることは間違いないので、注目しておきましょう。
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