株式市場は、引き続き米中交渉を巡る報道などに影響されやすい状況が続いています。そのため、底堅さが意識されているものの、日経平均株価は2万3200~2万3500円辺りでのレンジ相場が継続し、出来高もなかなか膨れない状況です。
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一方、中小型株への物色が賑わいを見せており、マザーズ指数はこれまで上値を抑えられていた52週移動線を突破、ジャスダック指数は年初来高値を更新する強い動きを見せています。
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そんな状況の中、米中貿易交渉を巡る不透明感から全体としては買いづらいながらも、テーマ株の物色が盛んになってきました。足元では、以前に取り上げた「教育ICT」関連や「マイナンバー」関連といった“国策銘柄”が連日賑わいを見せています。
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そこで今回は、国家プロジェクトである「リニア中央新幹線」の関連銘柄に注目してみました。
正確に言えば、リニア中央新幹線は、JR東海(東海旅客鉄道:9022)が自己資金で行うプロジェクトです。しかしそれは、国からの公的資金を待っていては建設の展望がいつまでも開けない状況に対する打開策であり、財政投融資を活用した長期借入でリスク低減を図っているわけですから、実質的には国家プロジェクトと考えても差し支えないでしょう。
10月17日に「リニア中央新幹線」の工事実施計画が認可!
全区間の86%を占める「トンネル工事」の関連銘柄が狙い目に
リニア中央新幹線は、1973年に政府が基本計画を決定した後、JR東海が旧国鉄時代に地質調査を開始したときから始まり、2019年4月に環境影響評価書(環境アセスメント)を提出するまで、長年に渡って着工に向けた準備が進められてきました。
そして2019年10月17日、国土交通省が東京(品川)~名古屋間のリニア中央新幹線の工事実施計画を認可したことで、いよいよ総事業費5兆円を超える巨大プロジェクトが動き始めました。これが開通すると、リニアモーターカーが時速500キロメートルという革新的なスピードで走り、品川~名古屋間(286キロメートル)の所要時間は現在の約1時間30分から半分以下の40分程度に短縮されます。
営業区間のうち86%がトンネルで、その一部は、地権者への事前補償が原則的に必要とされない大深度地下(「地下40mより深い範囲」または「支持地盤の上面から10mより深い範囲」)を通ります。
約20年後には、東海道新幹線と並んで、東京・名古屋・大阪の三大都市を結ぶ計画であり、その第一歩となる品川~名古屋は2027年の開業を目指しています。
2027年開業のため投資テーマとして注目を浴びるにはまだ早いように感じられるかもしれませんが、11月26日にJR東海が岐阜県瑞浪市でリニア中央新幹線の日吉トンネルの工事状況を公開するなど、早くも話題にはなってきています。
今後、関連する企業の業績にも大きく影響を与えることが予想されるので、長期的なスタンスで考えた「業績成長銘柄」として、今から注目しておきたいところです。
「リニア中央新幹線」の関連銘柄は、過去に「超電導」といったテーマから電線株などが買われたこともありました。しかし今回は、大きなメリットを享受する企業を考えた結果、前述のとおり、全区間の86%以上を占めるトンネル工事に関連する企業に注目しました。さらに、トンネル関連として、掘削機械や工事機械などを手掛けている銘柄も取り上げました。
【古河機械金属(5715)】
山岳トンネル掘削に多くの実績を持つ
古河機械金属(5715)は、銅山で培われた機械技術を背景とした産業機械のほか、ロックドリル、ユニック、金属、電子材料、化成品、不動産などを展開しています。今回のテーマで注目されるロックドリルは、岩盤掘削やコンクリート破砕に使用する機械です。中でも、道路や鉄道の山岳トンネル掘削に多くの実績を持つ掘削機器「トンネルドリルジャンボ」の需要が見込まれます。
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【ショーボンドホールディングス(1414)】
インフラ構造物の総合メンテナンス事業を展開
ショーボンドホールディングス(1414)は、インフラ構造物の総合メンテナンス事業を展開しています。注目されるのは、「トンネルはく落対策」と「壁高欄補修」の分野になります。また、ショーボンドホールディングスが得意とする「PVM工法」は、PVMシートと呼ばれる炭素繊維シートを接着剤でコンクリートに接着、一体化することで、コンクリートの補修・補強を行う工法です。コンクリートにひび割れが発生した場合、ひび割れが白く浮き出てくることで目視確認ができる効果もあります。
⇒ショーボンドホールディングス(1414)の最新の株価はこちら!
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【熊谷組(1861)】
「トンネルの熊さん」の異名を持つゼネコン準大手
熊谷組(1861)は、トンネル工事を得意とすることから「トンネルの熊さん」の異名を持つゼネコン準大手です。昨年には、JIMテクノロジーと共同で、山岳トンネルの完全機械化技術「新KM21TM」を開発。「新KM21TM」は、長距離・大深度・大断面のトンネルを効率的に施工することが可能で、1台の機械であらゆる地盤の変化に対応できる新しいトンネル工法です。
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【NCホールディングス(6236)】
大型コンベアのトップメーカーを傘下に持つ
NCホールディングスは、大型コンベアのトップメーカーである日本コンベヤを傘下に収める持株会社です。コンベアはトンネル工事で発生する大量の土砂を地上まで搬送するのに欠かせない装置ですが、日本コンベヤは、アジアをはじめとした海外約30カ国以上に納入実績があります。リニア中央新幹線の工事では、全体の86%がトンネルや大深度地下であることから、大型コンベアの需要が期待できます。
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【新明和工業(7224)】
ダンプトラックの需要が高まる可能性も!
新明和工業(7224)は、ダンプ車などの特装車を手掛けており、ダンプトラックや塵芥車(じんかいしゃ) では国内トップシェアを誇ります。「リニア中央新幹線」は国内に前例のない大規模トンネルとなりますので、工事で発生した土砂の運搬のためのダンプトラックの需要も大きいでしょう。また、土砂搬出車両の増加に対応するため、貨物列車で運搬する動きもあります。新明和工業では列車輸送用コンテナも手掛けているので、そちらの需要も期待されます。
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国土交通相が「リニア中央新幹線」の工事実施計画を認可したことにより、ようやく巨大プロジェクトが動き出します。今後、関連する企業は少しずつ業績変化が期待できるので、長期的な目線での注目銘柄になるでしょう。
なお、工事が進捗する中で、新たな関連銘柄が出てくる可能性は十分あるので、その都度紹介して行きたいと思います。
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