2020年11月に新規上場した「IPO株」の中で、アナリストが「強気」と診断する「アララ(4015)」と「クリーマ(4017)」をチェック!
発売中のダイヤモンド・ザイ2021年2月号には、連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」を掲載!「IPO」とは、企業が上場して、市場に株式を公開すること。IPO株は公開価格と比較して、初値が大幅に上昇する場合が多いほか、上場してからも値動きがダイナミックで、短期間のうちに急騰することも少なくない。ただし、上場直後に盛り上がった後、すぐさま失速してしまう銘柄もあるため、“玉石混交”な側面もある。
この連載では、直近で新規上場したIPO株にスポットを当て、IPO株の専門家であるフィスコの小林大純さんが、今後の投資判断を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価。今回は2020年11月に新規上場したIPO株の中から、今後さらなる成長の可能性を秘めた注目の2銘柄をピックアップして解説する。「成長株」投資に興味がある人は、ぜひ参考にしてほしい!
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2020年11月に新規上場したのは全部で5銘柄!
1銘柄を除き、残りはすべて初値が公開価格より上昇!
2020年11月に上場した5銘柄中、ネットワークセキュリティ企業のバリオセキュア(4494)のみ、初値が公開価格を下回った。これは、売出し規模が大きく、今後の成長性に対する懸念があったからだ。ほかの4銘柄を見ると、ソフトウエア開発のMITホールディングス(4016)の初値が公開価格の5倍になるなど、好調に推移している。
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しかし、フィスコの小林大純さんは「10月までのIPO市場に比べると、投資家からの資金流入が減った」と指摘する。
「株式市場の不透明要因だった米国の大統領選挙が終わり、新型コロナウイルスのワクチン開発が進展しました。このため、資金が景気敏感株に向かっています。個人投資家の売買動向を見ると、日本電産(6594)や東京エレクトロン(8035)、エムスリー(2413)などの大型成長株が、売買代金の上位を占めていました。短期トレーダーの資金が、こういった大型株に向かったことから、新興株市場は軟調な展開と見られます」(小林さん)
IPO株も10月までのように、PER200~300倍を超えるほど人気化することはなかった。この流れはしばらく続き、今後は株価が調整する可能性がある。しかし、「そこが買いチャンス」だと小林さんは見る。
「12月は新規上場が26社も予定されているため、直近に上場した株から資金が流出するでしょう。ですが、新年になれば、有望な銘柄は買い戻されるはずです」(小林さん)
2020年11月の【IPO株】5銘柄の投資判断とは? |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (12/4) |
予想PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
19日 | ◆アララ(4015・東M) | |||||
1400円 | 3080円 (+120%) |
2602円 | 71.8倍 (37.95倍) |
5000円 (1500円) |
強気 | |
【分析コメント】電子マネーやデータセキュリティ、AR事業などを展開する。ベンチャーキャピタルの保有株が多く、当面は上値の重い展開が続くだろう。ただ、足元の業績の伸びは大きく、株価調整したことで見直し買いが増えそう。 | ||||||
25日 | ◆MITホールディングス(4016・東J) | |||||
690円 | 3590円 (+420%) |
2012円 | 49.5倍 (11.35倍) |
3000円 (1200円) |
中立 | |
【分析コメント】ソフトウェアを開発・運営する。売出し規模が4億円弱という小型案件だったため、初値上昇率が5.2倍と急騰した。現在の株価には過熱感がある。3DCADや電子書籍といったソリューション事業には成長余地がある。 | ||||||
26日 | ◆ジオコード(7357・東J) | |||||
1250円 | 3025円 (+142%) |
2653円 | 62.4倍 (19.80倍) |
3300円 (1300円) |
中立 | |
【分析コメント】WEBマーケティングを展開。上場2日目に公開価格の約2.4倍で初値を付け、その後ストップ高水準まで上昇。そのため、株価には過熱感がある。ただ、今期はコロナ禍で減収も、来期は2割超の増収が期待できる。 | ||||||
27日 | ◆クリーマ(4017・東M) | |||||
3570円 | 4850円 (+36%) |
5350円 | 164.5倍 (118.89倍) |
6000円 (3000円) |
強気 | |
【分析コメント】ハンドメイド市場「Creema」を運営する。売出し規模が比較的大きかったため、初値上昇率は36%に。当面は公開価格の1.5倍の5300円が上値メドだが、業績成長への期待から上値余地は大きい。 | ||||||
30 日 |
◆バリオセキュア(4494・東2) | |||||
2250円 | 2150円 (-4%) |
1995円 | 15.2倍 (2.02倍) |
3300円 (1800円) |
中立 | |
【分析コメント】ネットワークセキュリティ企業。売出し規模が大きく、東証2部への再上場案件とあって公開価格割れ。セキュリティ機器・サービス関連企業としてはPERなどに割安感があるが、今後は業績成長が加速できるかがカギ。 | ||||||
株価に過熱感がなく、今期の増収率も高い株を狙え!
注目は業績の伸びが大きい「アララ」と「クリーマ」!
ここからは、11月に新規上場した5銘柄の中で、小林さんが特に評価する2銘柄を詳しく紹介していこう。
まずは、キャッシュレスサービスを柱にデータセキュリティ事業なども展開するアララ(4015)だ。
アララの主力であるキャッシュレス事業は、今期52%増収予想で、上場前から高成長企業として注目度が高かった。初値は公開価格の2.2倍になったが、ベンチャーキャピタルのロックアップ(※新規上場銘柄の大口株主は上場後一定期間を過ぎるか、または株価が一定額に達するまで、市場で自分の持ち株を売却してはならないというルール)解除もあり、上場後の株価は軟調だ。
とはいえ、見通しは暗くない。キャッシュレスサービスは決済金額に応じた手数料が収益源だが、おもな顧客が地域密着のスーパーマーケットで、景気の影響を受けにくく、安定的な収益が期待できる。決済金額の増加で収益性も高まっており、高PERでも買われやすい。一時は100倍超だったPERは70倍台になり、上値余地もあるだろう。
続いては、ハンドメイド作家による1000万点以上の商品が集まる、ハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営元のクリーマ(4017)だ。
クリーマは売上金に対する売買手数料のほか、広告費などがおもな収入源。2020年3~8月期は流通総額が2.8倍と、急成長している。同じ時期の新規会員数も、前年同期比で2倍になった。ただ、売出し規模が約65億円と比較的大きかったことから、初値上昇率は36%に。このため、株価に過熱感がない。
2020年3~8月期は、コロナ禍による「巣ごもり消費」が成長の原動力になったと見られ、通期予想は「巣ごもり消費」がある程度落ち着く前提の下に算出されている。ただ、下期は広告宣伝を強化する方針で、業績は上ブレする可能性もあるだろう。
クリーマは日本だけでなく中国語圏でもサービスを展開しており、流通総額の拡大とともに、ますます収益性が高まりそうだ。上場による認知度向上で、さらなる飛躍が期待できる。
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■「IPO株が当たらない!」という人は、まずこちらの記事へ!
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |