【今回のまとめ】
1.先週の米国株式市場はイラク情勢を嫌気して下げた
2.冴えないブラジル株の中でもペトロブラスは特に投資家から嫌われている
3.政府の身勝手で拙い政策のせいでペトロブラスは酷い目に遭った
4.ペトロブラスは長期事業計画を大幅に練り直した
5.ペトロブラス株は割安に放置されている
先週の米国株式市場
先週の米国株式市場は、イラク情勢を嫌気して軟調でした。ダウ工業株価平均指数は-0.88%、S&P500指数は-0.68%、ナスダック総合指数は-0.25%でした。
ワールドカップでブラジルのペトロブラスが注目されている
先週からブラジルでワールドカップが始まっています。ブラジルの株式市場は3年前にルセフ大統領がルラ前大統領を引き継いで以来、いいとこなしの展開が続いています。
その一因は中国経済の減速で鉄鉱石などの素材の輸出が鈍化したことにあります。しかしルセフ政権の復古調とも言える拙い経済運営こそが、ブラジル経済が活力を失った真の原因だという厳しい指摘もあります。
政府はペトロブラスに対し権力を濫用
一連の失策の中でも海外投資家を特に落胆させたのはペトロブラス(ブラジル石油公社、ティッカーシンボル:PBR)の再国有化です。
同社は2009年にリオデジャネイロ沖でルラ油田という巨大な油田を発見しました。しかし「これ以外にもリオデジャネイロ沖には沢山石油が眠っている」と考えたブラジル政府は急に欲が出て、海外企業を入札から締め出し、ペトロブラスに独占的に大深水油田の開発を任せる、国内企業優先政策を打ち出しました。
さらに50%以下までさがっていた政府の持ち株比率を再び50%以上に引き上げ、実質的に同社を再国有化しました。このため資本政策などの重要な決定は、政府の言うなりになってしまったのです。これは企業統治(コーポレート・ガバナンス)の面からすれば大きな後退でした。
しかもブラジル政府はペトロブラスがオフショア油田開発のためのオイルリグその他の資材を調達する際、国内企業を優先しろという通達を出しました。それは世界最先端の技術が要求される大深水油田の開発で、ペトロブラスが妥協を強いられたことを意味します。
またブラジル政府はオフショア油田の生産に際して石油会社が政府に払う税金を引き上げました。これはペトロブラスの社債に投資していた海外の機関投資家から不評を買いました。
長期ベア相場を経験したペトロブラス
このように愚策に次ぐ愚策の連発で、海外投資家はすっかりペトロブラスに冷めてしまいました。
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