【今回のまとめ】
1.米国株式市場は調整した
2.ポルトガルの大手銀を巡る不安が出たが、影響は限定的
3.米国は決算発表シーズンへ
4.JPモルガンのダイモンCEOのカンファレンスコールが注目されている
5.グーグルはYouTubeのマネタイゼーションの進捗に注目
米国株式市場は調整局面
先週の米国株式市場は、ダウ工業株価平均指数が-0.7%、S&P500指数が-0.9%、ナスダック総合指数が-1.6%と調整局面を迎えました。
ポルトガルの大手銀行を巡る不安
このように市場が調整した一因は、ポルトガルの大手銀行のグループ企業間での取引に投資家が懸念を抱いたためです。
バンコ・エスピリト・サントはポルトガルを代表するコングロマリット、ESIの中核銀行です。ESIは建設業をはじめ、いろいろなビジネスに手を染めています。
ギリシャ危機に端を発する欧州経済危機に直面してESIも資本市場へのアクセスを閉ざされたのですが、その際、バンコ・エスピリト・サントの傘下の投信会社がESIの短期証券を一手に引き受けることで面倒を見ました。
これは「法律をやぶったわけではない」と説明されていますが、一般投資家から預かった資金を動員して、全力でグループ企業を支えに行った行為は、利益相反の疑いをかけられても仕方ありません。
ポルトガルの資本市場は欧州市場全体から見れば極めて小さいので、今回の事件が欧州市場全体に波及する可能性は低いです。
米国は決算発表シーズンに突入
一方、米国は先週から決算発表シーズンに入っています。当面は、個別企業の決算が相場全体の地合いを左右すると予想されます。
既にウエルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)が第2四半期の決算を発表しており、まずまずの内容でした。一株当たり利益(EPS)は、予想$1.01に対し、結果$1.01、売上高は予想207.6億ドルに対し、結果211億ドルでした。融資成長は順調で、預金もしっかり増加しました。さらに焦げ付き比率の改善が見られました。
ウエルズファーゴの株価は、そういうしっかりした業績を一足先に織り込んできたので、この好決算に対する株価の反応は小さかったのです。
今週のスケジュール
今週の主な決算発表は以下のとおりです。

このうちゴールドマンサックスについては債券・為替・コモディティのトレーディング環境が厳しいことを受け、投資家の期待は低いです。その反面、M&Aや株式の引受のビジネスは好調です。
JPモルガンについてはジェイミー・ダイモンCEOが喉頭癌であると発表されました。米国の金融界の重鎮である彼の病気にはウォール街全体が驚かされました。決算カンファレンスコールには出席する予定だと言われていますが、治療の見通しや彼が治療に専念している間の経営の引き継ぎなどに関して質問が出ると思われます。
インテルは既に今回の決算が良くなるということを告知済みです。企業向けのパソコンの出荷が好調なのがその原因です。企業によるパソコン買い替え需要がどれだけ長続きするかがカンファレンスコールの焦点になると思います。
グーグルは前回の決算がスッキリしない内容だったので、今回、ちゃんとした決算が出せるかどうかが注目されます。また動画サイトYouTubeのマネタイゼーション(=売上にむすびつけること)の進捗状況が気になるところです。
IBMはこのところずっと売上高が市場予想に届かない状況を続けています。従って今回の決算でもこのジリ貧の展開に改善が見られるかどうかが見どころとなります。
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