【今回のまとめ】
1.米国市場は大幅安した
2.GDPは良かった
3.雇用統計もサプライズなし
4.FRBは今後インフレの兆候を監視する
5.政策金利の方向が変わるときは売り
米国株式市場は大幅安
先週の米国株式市場は大幅安しました。ダウ工業株価平均指数は-2.75%、S&P500指数は-2.69%、ナスダック総合指数が-2.18%でした。
GDPが良かったので、引締め観測が台頭
急落の背景には先週発表された第2四半期GDPが+4.0%と強かったことがあります。

第1四半期のGDPも、これまでの-2.9%から-2.1%に上方修正されました。
雇用統計もしっかり
先週金曜日に発表された7月の非農業部門雇用者数は20.9万人でした。これはコンセンサス予想よりわずかに低い数字でした。それでも5カ月連続して20万人を上回ったことで、アメリカ経済が安定的に雇用を生み出せるようになっていることが印象付けられました。

失業率は6.2%でした。

このため投資家の間には「アメリカ経済は思いのほか強いぞ」という新しい認識が生まれています。
FRBは、もうデフレ・リスクを心配していない
先週の連邦公開市場委員会(FOMC)では声明文の中からデフレ・リスクという表現が一掃されました。このことは米国連邦準備制度理事会(FRB)が、もはやデフレ・リスクを心配しておらず、逆に今後、インフレが加速する可能性に対して目を光らせ始めたことを示唆しています。
次にFRBがやるべき仕事
去年5月にバーナンキ前議長が「債券買入れプログラムを縮小しはじめる」とシグナルしました。それ以来、FRBの金利政策は、債券買入れプログラムの縮小だけにフォーカスしてきました。
この作業は、当初の予定より早く、今年の10月に終了する予定です。
するとFRBが次にやらないといけないことは、中央銀行の在庫となっている4.1兆ドルの債券類の今後の処分方法に関して、その基本方針を示すことです。下は世界の主要中央銀行の資産を示していますが、米国のFRBは水色です。どんどん資産が増えていますが、その多くが、いま問題にしている量的緩和政策で買い込んだ債券類です。

もちろん、FRBが保有している債券を全部抱えたままにしておいても、償還が来たものから徐々にキャッシュに変わります。従って、極めてゆっくりしたペースでFRBは在庫を減らしてゆくことが出来るのです。
ただ、それは現在のような物価が安定した状態が、ずっと続くという理想のシナリオの場合だけにあてはまることで、運悪く物価が上昇しはじめれば、FRBはインフレ退治のために政策金利であるフェデラルファンズ・レートを引き上げはじめないといけません。
順番としては、フェデラルファンズ・レート引き上げに着手する前に、在庫になっている債券類の処分に関する基本方針を市場に対して示す必要があります。
幸い、今はアメリカの消費者物価指数が2.1%で推移しており、これはFRBが目標としている2%にほぼ一致しています。つまり慌てる必要は、一切ないのです。
でも今後は雇用ではなく物価の動向に、より注意を払う必要があります。
FRBは夏に大方針を発表することが多い
近年、FRBは夏に大方針を発表することが多かったです。もっとピンポイントで言えば、例年8月にワイオミング州で開催されるジャクソンホール・シンポジウムの前後に大方針が打ち出されるのが通例でした。
すでに債券買入れプログラムの縮小の完了が視野に入っているので、FRBは次の一手を市場に示す必要があります。
政策金利のベクトルが変わるときは、相場は荒れる
その次の一手とは、在庫にしている債券類を、今後、処分するのか、しないのか? という問題に加えて、一体、いつ頃からフェデラルファンズ・レートの引き上げに着手するのか? という問題です。
過去、アメリカの株式市場は政策金利のベクトル(方向)が変わるとき、ギクシャクした展開になりました。
今回の場合、リーマンショック以降、FRBは緩和に次ぐ緩和を繰り返してきました。つまり政策金利のベクトルは「下」だったのです。しかし今日議論してきたことは、それが「上」になるのは何時か? という話です。
利上げは「しんどい」が、最悪シナリオではない
政策金利を緩和から引締めに転じるということは、つまりそれだけ景気が良いことを意味します。
それはこれまで金融相場のストーリーに乗っかって投資してきたのを、業績相場のストーリーに乗っかる投資に置換することに他なりません。
この気持ちの入れ替えは、しんどい作業であることにはちがいありませんが、「喉元過ぎれば」という類の、一過性のものです。
本当に怖いのは、インフレの息の根を止めるために、利上げに次ぐ利上げを繰り返し、とうとう経済の息の根まで止めてしまうシナリオです。最近では2007年夏に利下げに転じたエピソードが思い出されます。

言い換えると、政策金利が「下から上」に変わるとき(=それは今です)は、ようやく景気が立ち直っているときなので、居心地の悪さは一時的だということです。これとは対照的に、政策金利が「上から下」を向き始めた2007年夏の例などでは、大惨事になることもあるということです。
市場参加者のセンチメントを見ると、リーマンショック以降、かれこれ5年半も「FRBに、おんぶにダッコ」という状態に慣れきってしまった投資家は、まだまだ緊張感が足りません。
下は投資家の強気(ブル)と弱気(ベア)の状況をグラフ化したものです。

強気が多いほど、慢心している投資家が多いので危険だという風に解釈します。
呑気な投資家が多すぎるので、先週の下げで「もう調整は完了。再び買い乗せ出来る」と安心するのは、すこし虫が良すぎる気がします。
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