【今回のまとめ】
1.米国市場は経済成長と企業収益に対する懸念で下げている
2.米国の第4四半期GDPの中身は、みかけほど悪くない
3.会社側業績見通しの下方修正の続出はドル高が原因
4.逆に欧州輸出企業の環境は好転している
5.売上高や利益の成長を買うならバイオがいちばん
悪いニュースで下げた先週の米国市場
先週の米国株式市場はダウ工業株価平均指数が-2.83%、S&P500指数が-2.77%、ナスダック総合指数が-2.57%と冴えない展開でした。
市場が下げた主な理由は二つあって、ひとつは先週発表された2014年第4四半期GDP速報値が+2.6%とコンセンサス予想+3.0%を下回ったことによります。もうひとつは第4四半期の決算発表シーズンがいまピークを迎えているのですが、ドル高を理由に今後の見通しを下方修正する企業が続出していることによります。
GDPの中身は悪くない
まず第4四半期のGDPですが、確かに数字自体は第3四半期の+5.0%から+2.6%へ減速しました。

しかし項目別のGDP成長への貢献を見ると、下のグラフのようになっています。(このグラフは成長への寄与を、パーセンテージ・ポイントで分解したものですから、青を合計すると、ほぼ+5.0%に、橙色を合計すると+2.6%になります)

このグラフを見てわかることとして、まず消費はぜんぜん弱くなっていません。むしろ一層好調だと言えます。むしろ大きく後退したのは貿易と政府部門でした。
貿易では折からのドル高により輸出成長率が第3四半期に比べて-0.24パーセンテージ・ポイント減りました。また輸入増が-1.55パーセンテージ・ポイントGDP成長率の足を引っ張りました。
政府部門は全部で-1.2パーセンテージ・ポイント減少していますが、その大部分は防衛関連費用の削減だと言われています。
つまり「米国経済は減速した」と言うけれど、その中身を見ると景気の先行きを懸念させる内容ではないことがわかると思います。
企業による業績見通しの下方修正について
次に決算発表に絡めて、今後の業績見通しの下方修正をする企業が相次いでいることについて説明します。まず今回の決算発表シーズン(2014年12月期)では会社側ガイダンス(=つまり業績見通し)を引き上げた企業と引き下げた企業の差は-8.6%でした。これは過去5年で最悪でした。

セクター別で言えば消費安定セクターの企業の実に38%がガイダンスを下方修正しました。これは伝統的にこのセクターの企業は海外売上比率が高いことが影響しています。言い換えればこのところのドル高の影響が、いまアメリカ企業を直撃しているのです。
業績見通しの下方修正はもちろん株価にとってネガティブ要因です。しかしこのところのドル高のしわ寄せが、今回の決算発表に特に集中している観は否めません。企業は必要であれば為替ヘッジを利用することが出来るので必要性を感じた企業は、対策を講じるでしょう。つまり今後も継続的にドル高がガイダンス切り下げを招くかと言えば、それはかならずしもそう言い切れないと思うのです。
ユーロ安で欧州輸出企業は恩恵をこうむる
逆の見方をすれば最近のユーロ安はドイツを中心とする欧州の輸出型企業にとっては歓迎すべき展開です。先ごろ発表された欧州中央銀行による量的緩和政策も、すぐには効力を発揮しないと思いますが、いずれ欧州経済にとって支援材料になると思います。
つまり今は世界的に悲観論が蔓延しているけれど、実際はそれほど悪くないということです。
何を買えば良い?
さて、投資戦略ですが、いまとりわけ売上高成長の面で躍進著しいのは米国のバイオテクノロジー株です。
ギリアド・サイエンシズ(ティッカーシンボル:GILD)、バイオジェン・アイデック(ティッカーシンボル:BIIB)、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(ティッカーシンボル:REGN)などは、いずれも売上高、利益ともに急激に伸びています。
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| ※ 本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。 |




































