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原油を売ったのは誰だ!?
「OPECの米シェールガスつぶし」説は本当か?
原油価格急落の真相と関連投資商品をまとめて紹介!

2015年2月17日公開(2022年3月29日更新)
久保田正伸
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原油価格急落の原因として、まことしやかに流れる「OPECによる米国シェールオイルつぶし」説は本当か。実は真の売り手がいたことが、ネット証券各社が提供するレポートからわかってきた。そして、原油関連銘柄やETF、原油急落に関連して投資のチャンスが来ている金融商品についても紹介する(各レポートの出所、レポート番号は、記事最後の【図表6】にまとめた)。

原油下落の原因はシェールオイルつぶしではない!?

 昨年7月頃から始まった原油急落の原因として、メディアでまことしやかに流れている情報が、OPECによる「米国シェールオイル産業つぶし」説だ。その他、原油価格下落の原因を以下にまとめた(SBI証券「レポート4」、カブドットコム証券「レポート7」より)。

(1)新興国、欧州の景気鈍化による需要減退
(2)低燃費車の普及による原油需要停滞
(3)米国の量的緩和縮小から、投機資金への資金流入減少
(4)中東産油国が減産の意向見せず
(5)米国のシェールオイル生産量増
(6)地政学的問題の膠着

 ところが、昨今のレポートの中で、もっとも納得できそうな原油急落の原因は、OPECの米国シェールオイルつぶし説には否定的だ。

 WTI原油価格は、昨年1月には1バレル90ドル台だったが、6月には107ドル近辺まで上昇して年間の高値をつけた。「この間、米国の原油生産量は増加の一途をたどっていた。供給増を完全に無視した価格の上昇だった」(マネックス証券、レポート11)。

 もしも原油価格が、需給バランスで動くなら、もっと前から原油価格は下げていたはず。原油急落の直接的な要因は、値動きのチャートにヒントがあった。

 「価格の動きに着目して売りが売りを呼ぶ状態というのは実需主導というよりも明らかに投機的な動き」(レポート11)。

 「昨年央以降の原油下落は、過剰に積み上がった投機筋の買い残高の投げ売りとも言える売却が主導する展開となったため、ほぼ一本調子かつ急ピッチな下落になったとみられる」(SMBC日興證券、レポート1)

原油先物を売ったのは誰か?

 ここに原油価格と逆相関を描くチャートがある【図表1】。NY原油とドルインデックスだ。その点については、2つのレポートが指摘している(マネックス証券「レポート11」、楽天証券「レポート17」)。

【図表1】原油価格と米ドル円の相対チャート(1年)。逆相関の関係が見られる

 昨年、投機筋の「原油売り」が始まった時期と、ドルの上昇トレンドが始まった時期が符合しており、「ドル高トレンドが鮮明になるにつれて原油の下落トレンドが加速している。ほぼ逆相関を描いている」(レポート11)。

 実際に、原油価格を売り崩した投機筋がCTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー:商品先物投資顧問業者)を含むマクロ系ヘッジファンドだという。投機筋は「ドル高は国際商品市況にとって下落要因」というセオリー(定石)を利用し、米ドル買い・原油売りのペア・トレードをしかけた。「過去3年、CTAのパフォーマンスはぼろぼろだったが、「これで息を吹き返したファンドは多い」(レポート11)という。

 この原油とドルの逆相関を見て、「少々行き過ぎた発想かもしれないが……」と前置きしつつ、ひとつの可能性を示唆した次のレポートが興味深い(楽天証券、レポート14)。

 「米国はドル高によって意図的に原油安を起こしているのではないか?」というシナリオだ。OPECの動向や新興国需要について米国はどうすることもできない。ただ、「ドル高は米国の金融政策いかんで、ある程度操作できる」。ドル建て商品においてドルが強含めば、原油は下落する。

 原油価格の下落は、米国側の視点では、次のように見えている。

・米国自身のエネルギーコスト削減
・ロシア、親ロシア国家の牽制
・敵対するテロ国家の収益削減
・日・欧の景気回復基調が米国の景気向上を支援
・ガソリン価格下落で個人消費好転

 原油安は、米国内のシェールオイル産業縮小という面はあるにしろ、実は米国にとって「いいこと尽くし」の現象。だとすれば「米国が意図した原油安」説が真実味を帯びてくる。

原油価格の安値メドと反発のタイミング

 原油価格は最近1月30日頃から反発したが、本当に下げ止まったと言える段階ではないだろう。今後の反転時期や価格のメドについてのレポート上での言及を【図表2】にまとめた。

【図表2】原油価格の今後に関する予想

掲載ネット証券 レポート番号 需給・投機筋に注目した予想 米国景気に注目した予想 価格に関する予想
SMBC日興証券 3 足元の反発で60ドル処のフシを明確に上抜くなら、44.45ドル(15/1/28)で底入れした可能性。失速なら2月中に40.8ドル処までで下げ止まり
SBI証券 4 需給調整の効果が表れるのは2015年後半(商社系リサーチ機関)。もうしばらく原油価格下落への備え必要
カブドットコム証券 7 反転材料は、米国のシェールオイル減産。年央あたりから、米国の原油生産量の減少が確認されるとともに、緩やかに原油相場は持ち直すと予想
7 原油相場は底ばい圏の動きが予想される。米国を中心に世界経済のファンダメンタルズが良好なことが確認されるとともに原油相場の下げに歯止めがかかる
東海東京証券 9 早期のOPEC減産はあり得ないと見るのが妥当。従って、今回の低原油価格は長期化する可能性 今後1~2年を大胆予測すると40ドル/バレル~70ドル/バレル
マネックス証券 11 シェールオイル掘削用ドリルの数(リグカウント)は、「原油価格が横ばいで安定していた時期の水準に戻り、目先、調整一巡感が台頭
楽天証券 14 居心地のよいドル高=原油安で、実質GDP成長率4%だった2000年(当時の原油価格は40ドル)の環境を模索
16 投機筋のポジションを見ると反転が近い
17 「意図したドル高→原油安」の構図はもうしばらく継続。反発は米国の利上げ時期が決定あるいは実施される時期
18 生産効率の悪いリグの稼動が停止し、シェールオイルの生産が全体的に筋肉質な体質になるには、もう一段の原油価格の下落が必要

※レポート番号は、【図表6】に掲載されたレポート番号と符合しています

  予想のポイントは2つ。ひとつは原油の需給や投機筋のポジション。もうひとつは、米国や世界の景気だ。

 最近では、米国のシェールオイル掘削用ドリルの数(リグカウント)に注目し、「目先、調整一巡感が台頭」とする見方がある(マネックス証券、レポート11)。一方で、「生産効率の悪いリグの稼動が停止し、シェールオイルの生産が全体的に筋肉質な体質になるには、もう一段の原油価格の下落が必要」(楽天証券、レポート18)という見解もある。少なくとも上昇に転じるのはまだ先の話だろう。

 前述の米国主導によるドル高・原油安シナリオでは、原油価格の将来予想も示している(楽天証券、レポート17)。

 「原油安が米国に幾重ものメリットをもたらしているとする仮説が正しければ(中略)意図したドル高→原油安の構図はもうしばらく継続する」。そして、原油価格反発のタイミングは「米国の利上げ時期が決定あるいは実施される時期」としている。米国で利上げに踏み切れるほど景気回復が確認された頃には、原油安の必要性も薄れている(参考:「ネット証券各社の2015年相場シナリオとは?日本株に吹く追い風、警戒情報、投資テーマ、今年の銘柄までを一挙紹介!」では、利上げ時期は「今年の年央」予想が多い)。

 なお、テクニカル分析によれば、足元の反発で「60ドル処のフシを明確に上抜くようなら、44.45ドル(15/1/28)で底入れした可能性が高まる」。ただし、60ドル付近を超えらずに失速すると、もう一段の駄目押しに向かい「2月中に40.8ドル処までで下げ止まり」という見方がある(SMBC日興証券、レポート3)。

 「底入れ」や「下げ止まり」と言っても、必ずしも上がらずに、しばらく低迷という展開かもしれない。実際に投資を行うなら、よくタイミングを見計らう必要があるだろう。

原油安がプラスになるセクターと銘柄

 ここからは、個人投資家目線で、具体的に投資に役立つセクターや銘柄について掲載したレポートを紹介しよう。

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