【今回のまとめ】
1.先週の米国市場は堅調だった
2.決算発表シーズンは懸念されたほど悪くなかった
3.原油価格下落でエネルギー・セクターが収益の足を引っ張った
4.逆にアップルの好決算が全体を押し上げた
5.真の優等生はバイオだ
6.ガソリン安と雇用安定で、消費者は気分を良くしている
先週の米国市場
先週の米国市場はダウ工業株価平均指数が+3.8%、S&P500指数が+3%、ナスダック総合指数が+2.4%と堅調でした。
決算発表シーズン
決算発表シーズンは、3分の2ほど終わっています。これまでに72%の企業がEPS(一株当たり利益)で予想を上回っています。過去4四半期の平均は69%だったので、今回の決算シーズンもフタを開けてみれば、心配されたほど悪いサプライズは出なかったと言えるでしょう。
ここまでの第4四半期決算発表で、S&P500採用企業の利益成長率は+6.4%、売上高成長率は+1.8%でした。

+6.4%という数字は、過去2年間の平均である+6.86%より少し低いけれど、それほど悪くはありません。
エネルギー・セクターが足を引っ張った
ただS&P500の利益を構成する中身を見ると、ドラマチックな変化がありました。まず最近の原油安の影響で、エネルギー・セクターからの貢献は-21.2%でした。これが大きく足を引っ張ったわけです。エネルギー・セクターを除外したS&P500指数の利益成長率は+9.9%でした。
逆にアップルが全体を押し上げた
もうひとつ平均値を歪めている大きな要因があります。それはアップル(ティッカーシンボル:AAPL)です。アップルの12月期決算はEPSが+48%、売上高が+30%でした。なにせ今期だけで8.9兆円もの売上高を上げている会社ですので、アップルを含めるか、含めないかで、全体の平均が大きく変わってきてしまうのです。
ちなみにアップルを除外したS&P500の利益成長率は+4.4%に落ちます。そして売上成長率は+1.2%になります。
真の優等生はバイオ
実は第4四半期で最も利益成長率が高かったのはハイテク・セクターではありません。ヘルスケアが利益成長率で+22.5%、売上高成長率+11.5%で首位です。これは多くの大型バイオテクノロジー企業が予想を上回る利益を出したことが原因です。
なかでもギリアド・サイエンシズ(ティッカーシンボル:GILD)はC型肝炎治療薬ハーボニの貢献で、EPS成長率+342%、売上高成長率+134%と大型株としては驚異的な成長を示しました。
なお原油価格は現在も50ドル付近をウロウロしていますが、価格低迷が続けば2015年第1四半期、ならびに第2四半期の収益にも悪影響を及ぼすだろうと市場関係者は見ています。その関係で、上のグラフにあるようにそれらの2つの四半期の予想数字はそれぞれ+1.4%と+0.7%というように極めて低くなっています。
既に石油株はかなり下がっていますので、このことは株式市場には織り込み済みだと思います。
ガソリン安と雇用安定で、消費者は気分を良くしている
原油価格の下落はガソリン価格の下落につながります。現在の全米平均レギュラー・ガソリン価格は2ドル16セントです。

アメリカ人は通勤にクルマを使うので、ガソリン価格の下落は消費者の財布により多くのキャッシュが残ることを意味します。
アメリカの小売店はこの恩恵をこうむっています。2014年のクリスマス商戦期間の既存店売上比較は+3.6%でした。

アメリカの消費者が自信を取り戻しているもうひとつの理由は、雇用市場の堅調です。先週発表された1月の非農業部門雇用者数は25万7000人と予想を上回りました。

また2月の雇用統計の発表に際して、例年、過去の数値が大幅に改訂されますが、今回も改訂により、実際には去年の雇用者数はこれまで報告されていたよりかなり多かったことが判明しました。

これらを総合すると原油価格が下がったからと言って米国経済の先行きに悲観的になる必要は余りないことがわかります。
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