日経平均株価は18日の1万9990.55円を目先底にして、強い動きになっています。
実際、23日前場の日経平均株価は大幅続伸、前日比330.49円(1.62%)高の2万0758.68円でした。日経平均株価は2000年4月12日のITバブル時高値2万0833.21円を射程圏内に捉えました。足元の日経平均株価の上昇は、日米欧の重要・懸案イベントを無事及び一応通過した結果、イベントリスクが大幅に低下したことが主因です。
日米ともに金融緩和状態の継続が評価される
6月16~17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、委員の政策金利見通しが全体として低下したため、利上げのペースが想定よりも鈍くなるとの見方が強まりました。つまり、金融政策に緩和的な「ハト派」の側面が強まったと受け止められています。この金融緩和状態継続がポジティブに受け止められています。
また、日銀は19日開いた金融政策決定会合で、2016年1月から会合の開催回数を年14回からFOMCと同じ年8回に減らす代わりに、年2回公表してきた経済・物価情勢の展望(展望リポート)を年4回に増やすことを決めました。そして、賛成多数で大規模な金融緩和の継続を決めました。これも米国同様、緩和長期化が素直に評価されました。
そして、日本時間23日午前の段階でのギリシャ問題に関しては、ギリシャ政府が財政改革案を提出し、欧州連合(EU)などの財政支援を巡る交渉が進展するとの期待感が高まっています。具体的には、EUは22日、緊急のユーロ圏首脳会議を開き、24日中に財務相レベルで最終合意を目指す方針で一致。25日に始まるEU首脳会議で支援の枠組みを正式に決める構えだそうです。
「きものの日」導入にむけて政府が動き出した
このような状況下、東京株式市場では、短期資金は「着物」と「インバウンド」のテーマ株への流入を加速させました。
実は既に5月25日に以下の報道がありました。
“経済産業省が、職員に和装出勤を促す「きものの日」の導入を検討していることが24日、分かった。国内和装産業の振興を図るため、スーツの代わりに着物で出勤できる雰囲気をつくるのが狙い。和装文化を学ぶセミナーや、イベントも開催し、着物を日常生活に取り込むことを目指す。”
しかし、市場で人気に火がついたのは、6月16日に、経済産業省が「和装振興研究会-報告書」を公表した直後でした。経済産業省は、本年1月30日に有識者、若手経営者及びユーザーから構成される「和装振興研究会(製造産業局長主催の研究会)」を設置しました。その「和装振興研究会報告書」を取りまとめ公表したのです。
これを受け動意付いたのが、日本和装HD(2499)、ヤマノホールディングス(7571)、京都きもの友禅(7615)、ツカモトコーポレーション(8025)、さが美(8201)など着物関連株です。
例えば、さが美の6月16日終値は95円、出来高は41万株でした。これが翌17日終値は前日比14円高の109円と急騰し、出来高は1340.5万株に膨れました。そして、連日の大商いが続き、23日前場の9時40分は前日比80円高(ストップ高)の324円を付けました。経済産業省公表の報告書を受けて、17日始値97円で買った投資家は、当日を含むわずか5営業日で、さが美への投資資金を約3.3倍にした計算になります。
さが美の場合もそうですが、「何らかの材料(できれば、今回のように政府発の国策に沿った材料)が出現し、株価が急騰すると同時に、商いを急激に膨らませたら、多くの場合それは、「買いサイン」点灯です。(笑)
引き続き好調な「インバウンド関連」で注目の4銘柄
一方、6月17日、日本政府観光局(JNTO)が訪日外客数(2015年5月推計値)を発表しました。5月の訪日外客数は、前年同月比49.6%増の164.2万人で、これまで5月として過去最高だった2014年の109.7万人を54.5万人上回りました。5月までの累計も750万人を突破し、引き続き好調なペースで推移しています。
JNTOは、継続的な訪日旅行プロモーションの展開に加え、かねてからの円安傾向、航空路線の拡大、また近年の査証免除や要件緩和、昨年10 月からの消費税免税制度の拡充など、環境、政策が合致したことが増加の要因と分析しています。また、6月以降は多くの市場で夏休みシーズンに入り、訪日旅行市場の繁忙期を迎えることから、一層の訪日外客数の増加が期待されるとしています。
この関連では、ぐるなび(2440)が象徴的でした。6月18日、ぐるなびは、東急(9005)、東京地下鉄株式会社と、訪日外国人向け観光情報サービスを共同構築するための具体的な協議に入ることで基本合意に至った公表しました。これを受け、翌19日の同社株価は前日比173円高の2077円となりました。
また、アクリーティブ(8423)も22日終値は前日比97円高の775円となりました。そして、ラオックス(8202)も20日に409円の年初来高値を付け、23日9時5分には419円を付け年初来高値を更新しています。インバウンド関連銘柄は総じて堅調です。
ちなみに、6月22日の第22回産業競争力会議の配布資料によれば、「観光資源等のポテンシャルを活かし、世界の多くの人々を地域に呼び込む社会」を掲げています。2030年には訪日外国人旅行者数3000万人を超えることを目指すそうです。なお、2014年は1341万人 、2012年は836万人でした。
これからの観光立国は、今まで以上に、「稼ぐこと」、「地方創生」を念頭に推進していくこととし、「2000万人が訪れる年に、外国人観光客による旅行消費額4兆円を目指す」、「2000万人が訪れる年に、日本全国で40万人の新たな雇用を生み出す」、「地方の免税店数を約6600店(2015年4月)から、2017年に12000店規模、2020年に20000店規模へと増加させる」ことを目標にしています。
よって、インバウンド関連物色は、国策銘柄物色として、息の長いスケールの大きな相場に育つ見通しです。
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