やはりというべきか、残念ながらというべきか、シルバーウィーク(19~23日)明けの東京株式市場は軟調に推移しています。
連休明けでも、米金融政策への不透明感、中国先行き景気懸念が燻り続けていることに加え、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題が欧州を中心とする景気を押し下げるとの警戒感が強まったことが株式相場軟調の理由です。
米利上げは9月見送りも不透明感が強く、
中国経済の減速が顕著になってきた
まず、米金融政策については、FRBは16日~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見送りを決め、その後の声明で「世界経済や金融市場の動向」が米経済活動やインフレを抑制すると指摘しました。これを受け、市場では米利上げは来年に持ち越されるとの見方が増えました。
しかし24日、イエレンFRB議長は米マサチューセッツ州で講演し、「私自身を含む大勢の参加者」が現時点で年内の利上げを支持していると明言しました。これらFOMCや議長発言を踏まえ、現時点では、市場の大方の予想は「12月利上げ」のようです。しかしながら、時期を巡っては、正直予想がつかず、メチャクチャ不透明感が強いと言わざるを得ません。
次に、中国景気については、23日発表の中国の9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.0と、8月確報値を0.3ポイント下回り、6年半ぶりの低水準となりました。好不況の判断の境目となる50を7カ月連続で下回りました。足元の景気減速は顕著です。
ちなみに中国の経済成長率に関しては、日本経済研究センターが15年4~6月の中国の実質GDP成長率が、中国政府の発表の7.0%を大幅に下回る4.8%~6.5%の範囲内にとどまっていた可能性が高いとの試算結果をまとめています。この当局による統計数値操作疑惑も、市場を疑心暗鬼にさせています。
以上のことから、東京株式市場においては、連休明けの今でも、あなたは、ドラゴンクエストシリーズでの作戦コマンドである「いのちだいじに」を選択するべきです。そして、とにかく、種銭を減らさないことに腐心するべきだと思います。
こんな悪環境の中で物色される
国策関連とインバウンド関連の銘柄
ですが、こんなメチャクチャな悪環境の中でも、物色される銘柄群があることも事実です。そして、その中心は国策関連銘柄とインバウンド関連です。
国策関連では、「新3本の矢」と「TPP(環太平洋経済連携協定)」関連ですね。安倍首相は24日、党本部で記者会見し「アベノミクスは第2ステージに移る」と経済最優先の政権運営を進める考えを表明しました。2020年に向けた経済成長の推進力となる新たな3本の矢として、
(1)希望を生み出す強い経済
(2)夢を紡ぐ子育て支援
(3)安心につながる社会保障
の3項目を掲げました。
この中で、特に、「子育て支援」や「介護離職ゼロ」を目指した社会保障の充実に関連した銘柄群に短期資金が集まりそうです。また、TPP交渉に参加する12カ国は、米アトランタで30日から開く閣僚会合に向け調整を本格化させているそうです。安倍首相はこの協議を「最後の閣僚会合としたい」と述べ、大筋合意への決意を表明しています。このため、目先は同関連銘柄群にも資金流入が見込めるでしょう。ただし、現時点では、合意できるかは微妙な情勢です。
一方、インバウンドに関しては、10月1日~7日は、中国の国慶節(10月1日)の休日で7連休ですので、カレンダー的に注目されやすい物色テーマだと思います。人民元安については、習近平国家主席は22日午前(日本時間23日未明)、8月に切り下げた人民元について「相場が下がり続ける根拠はない。輸出刺激のための切り下げはしない」と述べており、過度な人民元安でインバウンド消費に悪影響が及ぶ懸念が弱まったことも追い風です。
ちなみに、今年8月の訪日外客数は、前年同月比63.8%増の181.7万人で、これまで8月として過去最高だった2014年(111万人)を70.8万人上回りました。そして、9月は、韓国での秋夕(旧盆休暇)による連休(9/26~9/29)、マレーシアのスクールホリデー(9/19~9/27)と祝日(9/16、9/24)、インドの祝日(9/5、9/25)に伴う3連休、ベトナムの国慶記念日(9/2)と、アジア地域では休日が多く、旅行しやすい日の並びとなっています。さらに10月には中国で国慶節もあることから、日本政府観光局(JNTO)として、引き続き訪日プロモーションを推進し、需要喚起を図っていくそうです。
短期テーマ株を売買してもよいが、
基本的なスタンスは「猿相場を待て」
まあ、このようなテーマ株に関しては、短期物色対象として弄るのはありだと思います。ただし、「飛び乗り、飛び降り」が基本だと思いますよ。
今、株式市場全体からは資金が流出しています。例えば、サウジアラビア通貨庁(SAMA)が原油安に伴う同国の赤字拡大に対処するため、海外の資産運用会社に委託していた資金(約8.44兆円)を引き揚げていると、英紙フィナンシャル・タイムズが関係者へのインタビューを基に伝えています。今後、パフォーマンス悪化を嫌気した投資家による、株式ファンドの解約売りも相当出てくる可能性があります。とりわけ、海外ファンドの日本株の換金売り加速には注意が必要でしょう。
「無理して日本株を買う時期ではない。」それが私の結論です。しかし、どうしてもやりたいのであれば、前述のテーマ株の短期売買で、小銭を稼ぐのもありでしょう。
考えたくありませんが、もしかしたら、ここから日経平均株価が急落して、1万5000円台、1万4000円台に突入するかもしれないと危惧しています。そのきっかけは、やはり海外要因の悪化です。米株急落、強烈な円高が、そのトリガーになる見通しです。もちろん、そうはならないかもしれませんが、その可能性が高いと思うからこそ、「今は無理して株を買う時期ではない」と思っています。
現在は、むしろ、日本株は「戻りは売り、下がれば売り」の「積極的に売る時期」と認識しています。ただし、相場に24時間張り付けず、リスク管理が徹底できない投資家に、個別株の空売りや、先物ショート、プット・オプションの買いなど、非常にリスクが高いので、「それはやめとけ」と言っておきたいですね。
だからこそ、「ナイフが地面に落ちて刺さった後に来る、猿相場(株を買えば猿でも儲かる相場)を待ちましょう!」と言っているのです(笑)。なお、仮に、ナイアガラが来なくても、安心して株を買える局面はいずれ来るでしょう。それまでは「休むも相場」だと思いますよ。
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