闇株新聞[2018年]

【緊急提言!】今すぐ日本政府主導で仏政府が画策するルノーと日産の合併を阻止せよ!名門・日産自動車がフランスの餌食になるのを防げ!

2015年11月13日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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日本株や為替、世界経済に潜む闇を白日の下にさらけ出し、明快かつ独特な視点で切り込む刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」。今回は、主筆より緊急提言! フランス政府がルノーへの経営関与を強め日産自動車を合併させようとしている件。日本の第3位の自動車メーカーがフランスの損失補てんの生贄(いけにえ)にされようとしている! どうしてこうなったのか!? 日本には何ができるのか!? もう時間がない!

 本誌はかねてから「このままでは日産自動車が親会社であるルノーに食い尽くされて残骸になる」と警告を発してきましたが、事態が急変し、このままでは日産自動車はフランス政府に丸ごと食われて残骸すらも残らない恐れが出てきました。

 「何をそんなに慌てているのだ?」と思われるかもしれませんが、日本が誇る自動車産業の第3位の会社が他国に奪われようとしているのです。関連の裾野も広く経済に与える影響は深刻です。意味のない感情論や単なる「けしからん」でものを言っているのではありません。

フランス政府はなぜ突然ルノー株を買い増したのか

 ロイター通信は11月4日「フランスのマクロン経済産業相が、政府の影響力を強く残す形でのルノーと日産自動車の合併(経営統合)を画策しており、これをカルロス・ゴーン氏(ルノーと日産自動車のCEOを兼ねる)が拒否している」と伝えました。

 伏線は本年4月30日に開催されたルノーの株主総会の直前にありました。それまで発行済み株数の15%を保有していたフランス政府が突然19.7%まで買い増し、株主総会で「フロランジュ法」の適用を承認させてしまったのです。

 フロランジュ法とは2014年に制定された国内産業への政府の関与を強化する法律で「2年以上株式を継続保有する株主の議決権を2倍にする」規定があります。これにより来年のルノーにおけるフランス政府の議決権は約28%にもなり、実質的にルノーに対して拒否権を確保したことになりました。

 11月6日にはルノーの臨時取締役会が改めて日産自動車との合併を拒否したようですが、その後に出されたコメントはフランス政府の意向を一部受け入れるととれる内容でした。本誌の分析では「経営における政府の関与を強める」ことは拒否するものの「日産自動車との合併は受け入れる」方針のようです。

ルノー経営陣は日産自動車を”生贄”にしようとしている

  現在、ルノーは日産自動車の株式を議決権ベースで43.4%確保しています。同じく日産自動車もルノーの株式を15%保有していますが、これに議決権はありません。フランスの会社法では、親会社が40%以上を保有する子会社の株式には議決権が付かない規定になっているからです。

 そこで、もしもルノーが日産自動車の保有比率を40%以下まで落とせば、日産自動車には議決権が発生します。さらに日産自動車はルノーの株式を2年以上保有しているので「フロランジュ法」により議決権を2倍にできます。つまり日産自動車として合併を拒否できるわけです。

 これをすればルノーはフランス政府と真正面から対立することになりますが、ルノー取締役会にその意向はありません。彼らは日産との合併は仰せの通りに受け入れて、その代わりに政府の関与を強める件では譲歩してもらう作戦に舵を切りました。

日産自動車の資産は全てフランスに召し上げられる

 フランス政府が画策している合併とは、日本でよく見られる「共同持ち株会社を設立してその下にルノーと日産自動車がぶら下がる」形態の経営統合ではありません。日産自動車を飲み込む文字通りの合併で、本社はフランスに移転、株主は保有株を強制的にルノー株と交換させられてしまいます。

 日産自動車は「ルノー日本支社」になり、意志決定は全てルノーがフランス政府の意向を忖度しながら行うことになるでしょう。日産自動車の稼ぎ出す純利益(2015年4~9月期は3256億円)も、召し上げられてしまいます。

 NISSANのブランドは残るかもしれませんが企業としては消滅し、過去の蓄積を含めた有形無形の資産はすべて外国企業に取り込まれてしまうのです。それでも日本政府は、日本人は、呑気に構えているのでしょうか!?

 フランス政府がこのタイミングでルノーに日産自動車を合併させる方針を出してきた理由は、フランス経済が想定以上に低迷していることや、フォルクスワーゲン不正のダメージが欧州自動車業界全体に及ぶこと、ルノー自身も「何か特別な問題を抱えている」可能性もあります。

 フランス政府が本腰をあげて乗り出してきている以上は、日本としても政府が出ていかないことには勝負になりません。「政府が民間企業の意思決定には関与しない」などとキレイごとを言っている場合ではないのです。

 本誌はこれまではルノーの経営状況に満足していないフランス政府と「カルロス・ゴーン解任」で手を握り、日産自動車がルノーをTOBで傘下に入れてフランス側に経済的メリットを与えるアイデアを考えていました。しかし、ルノー経営陣がフランス政府と"条件交渉"を始めた今となっては手遅れです。

残された時間と打てる手段はもう限られている!

 それでは、日本が日産自動車を守りたい場合、どうすればよいのでしょう?

 合併は日産自動車の株主総会で承認される必要があります。株主総会での合併承認は特別決議なので、出席株主(議決権行使書の郵送も含む)の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

 逆に言えば、出席株主の3分の1以上が反対すれば否決できます。ただし、日産自動車の株主総会はいつもルノーを入れて8割以上の株主が出席していますから、3分の1の反対票を集めるのは並大抵ではありません。

 それでも日本として合併を食い止めたいなら、機関投資家を含めて反対キャンペーンを打ち、公的資金を使ってでも来年3月までに日産自動車株を買い進め、6月の定時株主総会で何とか3割の「反対票」を集める必要があります。

 日本政府と国民が一致団結して初めて、日産自動車がフランスおよびフランス企業に食い潰される事態を回避できる望みが出てくるというレベルです。逆にそこまでしなければ絶対に阻止できません。事態はそこまで進んでいます。

 読者の皆さんはいかがお考えでしょう。『闇株新聞プレミアム』ではこの問題について今後も継続的に取り上げ、さらに深く掘り下げて議論してまいります。皆さんのご意見をお寄せください。

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