証券取引等監視委員会が11月25日、相場操縦の疑いで村上世彰・元村上ファンド代表らの関係先を強制調査しました。経済の闇に独特の視点で切り込む金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」は、第一報をどう見たか!?
強制「捜」査でなく強制「調」査なのはなぜ!?
25日午後遅く、テレビ局等報道機関が一斉に報じた「第一報」は、さっぱり要領を得ません。調査の詳細やその背後に隠れている意図(必ずあります)はおいおいわかってくるはずです。
報道が出始めた時間から考えると、本日早朝から取り掛かっていたであろう強制調査が終了する頃になって初めて、証券取引等監視員会が各報道機関に発表した(あるいはそっと囁いた)ようで、こういう事例につきものの事前リークはなかったようです。
各報道機関も突然に発表された(あるいは囁かれた)ものの基本的に意味がよく理解できず、各社揃ってさっぱり要領を得ない報道になっています。
「強制調査」は証券取引等監視委員会の特別調査課の権限です。もし、こういう事例でありがちな東京地検特捜部とのタッグであれば「強制捜査」となります。
つまり、今回は東京地検特捜部は乗り出していないことがわかります。
この件では東京地検特捜部が動いていない
東京地検特捜部が出てくると事前に各報道機関にリークするため、捜査員が強制捜査に入るところには必ずテレビカメラが待ち構えており、その映像がテレビニュースで繰り返し放送されます。
また、彼らは事前にもう少し丁寧な説明をしますから、各報道機関の解説も当局の意向が入った(本件なら村上氏らが極悪犯罪人であるような)ものになるはずです。
今回はそうではありません。NHKの19時のニュースでも調査員が資料を押収して引き上げるところ(のようです)が辛うじてカメラに収められていましたが、やはりニュースの解説がさっぱり要領を得ず、事前に何も知らされていなかったと感じます。
これは証券取引等監視委員会の特別調査課が、東京地検特捜部を出し抜いて「独自」で動いた可能性があるような気がしますが、これ以上の推測は控えます。
特別調査課が出てきたからには刑事事件で有罪か
証券取引等監視委員会はどの部署も調査権限があるはずなのに、何で出てきたところが「特別調査課」だったかというと、今回の強制調査が刑事事件化を目的としているからです。
どこもそのように報道していませんが、令状を携えて強制調査する権限があるのは特別調査課だけです。同じような相場操縦を調査する「取引調査課」や粉飾決算などを調査する「開示調査課」には令状が交付されず、あくまでも任意調査しかできません。
令状を携えて強制的に何でもかんでもひっくり返していくのが「特別調査課」で、強制調査権や令状がなくても「あるような顔をして」何でもかんでもひっくり返していくのが「取引調査課」や「開示検査課」です。
株式は”ある程度まとめて”売買すると犯罪になる!?
ところで肝心の村上世彰らにかけられた相場操縦容疑ですが、報道では「複数の銘柄の株式を市場で大量に売るなどして株価を意図的に下げた疑い」があるのだとされています。
つい先日、加藤暠氏が新日本理化の「すっ天井」を買ってしまったことで相場操縦容疑で逮捕されたばかりです。
報道が正しいとすれば、今回は村上世彰氏が持ち株を(借株かもしれませんが)市場で大量に売って相場が下がってしまったので相場操縦容疑がかけられたことになります。
ということは、株式は「ある程度まとめて」買っても売っても犯罪になることになります。
もの言う株主の行動は当局の姿勢とも矛盾はしないが…
本紙は、村上氏らの「もの言う株主」としての行動には全く賛同していませんが、最近の当局のコンプライアンス重視の姿勢には「株主への配分を増やすように」指導しているようでもあり、村上氏らの行動とは矛盾していないことになってしまいます。
それでは相場操縦だったら「問題あり」なのか?ですが、村上氏らの投資行動は容認できないとしても、この相場操縦が報道されている通りなら「えっ!?」と言いたくなる容疑です。
金融商品取引法が当局によってどんどん拡大解釈され、誰でもいつでも逮捕できる「万能の武器」に仕立て上げられていく状況に恐怖を感じます。
本紙はこれからも当事件の闇に深く切り込み、既存の報道機関とは異なる目線・異なる角度から真実に迫ってまいります。この連載でお読みいただけるのは闇の入り口までですが、もっと奥深くまでのぞいてみたいという方は、ぜひ金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」においでください。
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