先週末から今週にかけて、日経平均株価は乱高下しました。12月4日(金)の安値は1万9444.54円、7日の高値は1万9811.51円です。欧州に泣いて、米国で笑った格好です。
先週末4日の日経平均株価の終値は前日比435.42円安の19504.48円でした。これは、一言で言えば「ドラギ・ショック」でした。ECB(欧州中央銀行)の追加金融緩和の内容が失望され、前日の欧米株式市場が大幅下落したことが嫌気されたからです。しかし、週明け7日の日経平均株価は前日比193.67円高の1万9698.15円と、反発しました。11月の雇用統計発表を受け、前週末4日のNYダウが急反発し、前日比369.96ドル高の17847.63ドルとなったことが好感されたためです。
米国経済は順調だが、日本株は調整色が強い状況が続く
ちなみに、11月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比21万1000人増と、市場予想の20万人増を上回りました。それまでも、15~16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げは確実な情勢でした。しかし、今回の力強い雇用統計発表を受け、「利上げをしても米経済は大丈夫」というムードが強まりました。
ただし、当面の日本株は調整色が強い状況が続きそうです。その理由として、今週末に先物・オプションのメジャーSQを控えていることと、来週15~16日にFOMCが予定されているから、多くの投資家は積極的に動き難いと観測されるからです。
11月27日時点の裁定買い残(期近・期先合計)は9週連続で増加し、金額ベースでは3兆5983億円と、6月5日時点の3兆7640億円以来半年ぶりの高水準に積み上がっています。経験則上、これ以上の積み上げ余地は限定的です。これはSQ週の今週以降、解消方向に向うとみてよさそうです。この解消売り圧力が日経平均株価現物指数の押し下げ要因となる見通しです。
一方、FOMCに関しては、利上げ実施はほぼ確実ですが、市場の関心は2回目以降の利上げのピッチです。緩慢なのか、急激なのか? 正直、今までのハト派的なスタンスのイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が急にタカ派に転じるとは思えないので、「緩慢になるはず」と、市場は信じているでしょう。しかしまあ、そうはいっても、声明文とその後のイエレン議長の記者会見を見極めたいというムードが続くでしょう。
FOMC後は外国人投資家が休みに。「小型材料株」中心の相場になる
なお、SQ、FOMCというイベントが終了したら、外国人投資家は続々とクリスマス休暇に入る見通しです。その結果、東京株式市場の流動性は低下しますので、国内機関投資家も開店休業となり、投資主体の中心は、個人と証券自己ということになりそうです。
個人と証券自己は、師走相場の「掉尾の一振」(とうびのひとふり:年末の大納会にむけて株価が上昇すること)への期待を抱き、大納会まで積極的に戦い続けるのでしょう。
つまり、FOMC通過後の東京株式市場は大納会までは、外国人不在の「ドメドメの餅つき相場」になるでしょうから、物色の中心は小型材料株ということになりそうです。具体的な物色テーマは、「自動運転」、「育児・子育て」「介護・介護ロボット」「人工知能」「有機EL」「LED」「民泊」「インバウンド」「リチウムイオン電池」「フィンテック」などです。
「ピグモン」を脱して「お上」にすがりつけ!
ところで、今年も残すところ1カ月弱ですが、私の周りの専業投資家は、今年については、けっこう苦戦していました。最大の要因はやはり、夏場から秋にかけての「チャイナ・ショック」に巻き込まれ、投資元本を著しく毀損したことです。
また、それまで苦戦した投資家の明暗を分けるイベントがありました。それが、11月4日の郵政3社の上場です。対面営業の証券会社と付き合いのある大口の個人には数億円分の大量の郵政の新規公開株が渡った例もあると観測されているようですが、そうでなくとも、初値から積極参加した投資家と、参戦を見送った投資家との差が、11月以降のパフォーマンスにくっきり出たように感じます。
「チャイナ・ショック」を上手く切り抜けた投資家や、先物売り、プット・オプション買い、コール・オプション売り、日経レバレッジ型ETFや個別銘柄の空売りなどで、「チャイナ・ショック」でガッポリ儲けた少数の投資家は別として、多くの投資家は傷つきました。つまり、大怪我を負い、その結果リスク恐怖症になっていた投資家が、11月4日時点でも多かったように感じます。このように、リスク恐怖症になって、手が縮こまってしまっている状態を、私は、ウルトラマンに登場した怪獣になぞらえて「ピグモン」と呼んでいます。
「ピグモン」を打破し、積極果敢に郵政株に参加した投資家は、その負ったリスクの成果として、それなりの報酬を得ました。そして、その報酬を得た結果、マインド及び手の内が改善し、リスク許容度が増し、次のトレードが上手くいくようになり、正の循環に入った投資家が多いように感じます。逆に、あのイベントに参加できなかった「ピグモン」は、リスク許容度が低いまま、師走を迎え、負の循環から抜け出せない投資家が多いような気がします。
当コラムは、既に大金をゲットしていたり、無理して株式投資でお金を稼ぎたいとは思っていない、または、リスクが大嫌いな読者を想定していません。小さな種銭で、大きなリスクをとってもいいから、株式投資で成り上るきっかけを作り、なる早で、「億り人」になりたいという願望を抱いている読者を想定しています。
ですから、当然、ある時期には、立ち直れないくらいのダメージを受ける場面もあるでしょう。しかし、ボコボコにされ、やられっぱなしで、「ピグモン」になっていても、ヤラレは取り返せませんし、ましてや、成り上れません。だからといって、むやみやたらに、反撃に出ても、さらに傷口を広げるだけです。
だからこそ、あなたは「お上」にすがるべきです。
郵政上場は政府保有株放出でした。2014年10月の株価底入れは黒田バズーカ第2弾とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革でした。これからも補正予算策定や、バズーカ第3弾などなど、政府・日銀が、様々な景気浮揚策、デフレ脱却策、株式市場活性化策を打ち出してくるはずです。そのようなタイミングでは、思い切って、それまでのヤラレを取り返すべく、市場に参加するべきだと思います。
成り上がるためには、国策に乗る! それが一番の近道だと思います。
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