これから米国の利上げがあるかどうかで気をもむ人が多いようだが、投資銀行家としても有名なぐっちーさんは、利上げで米国株が下落するなら、その時こそが長期投資の買いチャンスと言う。その理由とは?
【米国株がスゴイ理由1】
消費が活発な世代の人口が今後20年間も増加!
20~34歳の人口だけでも7100万人を超える
世界的に見て、長期的に成長する可能性が高いのは米国です。このことは、人口推移の予測を見れば明らかです。日本は現在の人口1億2500万人から、20年後の2035年には1億1000万人にまで減少する一方、米国は3億2000万人から、3億6000万人まで増加する予測です。しかも、15~64歳の人口で見ても、日本や中国、欧州などは減少しますが、米国は今後数十年は増加すると見られています。さらに、最も消費が活発な20~34歳までの人口も、2035年までに現在の6500万人から7100万人まで増加する見通しです。
インド以外の主要新興国も生産年齢人口が減少に転じる見込みの中、消費に積極的な若い世代の人口が今後、20年間は増加する米国への投資は最も有望です。米国の利上げやドル高の影響で、経済指標や企業業績が心配されていますが、長期で見れば小さい話。
世界的な規模で高齢化が進む中、米国は1970年代から移民法の改正などで高齢化対策をしていたのです。今になって日本も高齢化対策が議論されていますが、米国では約40年前から対策をしてきたことで、長期的な経済成長のための土台ができています。また、米国のGDPの約7割は国内の個人消費が占めているため、人口の増加は特にプラスに働くのです。
【米国株がスゴイ理由2】
株主重視の経営で60年以上の連続増配も!
安定成長の企業にも大きな投資の魅力あり
米国株は株主重視という点でもスゴイ。米国企業は自社株買いや配当の増額などで利益を株主へしっかり還元します。また、ある程度株価が高くなると分割がよく行なわれます。例えば、100ドルの株価で分割を行ない、50ドルの株価にしたとすると、経営陣は、数年で分割前の株価まで戻すことを自らの義務として経営を行ないます。
さらに25年以上連続増配している上場企業は100社を超え、50年以上増配している企業もあります。ブランド力があるP&Gやジョンソン&ジョンソンなどの日用品を販売する株を買っておけば安定成長により、配当だけでもかなりの利益になる可能性は高いのです。
【米国株がスゴイ理由3】
世界トップの企業が多く公平なルールが存在!
強い産業が複数の都市に分散しているのも強み
日本のように東京集中ではなく、金融ならニューヨーク、IT関連ならサンフランシスコ、ソフトウェアはシアトル、エンターテイメントならハリウッドがあるロサンゼルスと分散しています。シアトルなんて、マイクロソフトが会社を始めるまでは、貧困で大変だったのに、たまたまビル・ゲイツの出身地だったおかげで、いまや多くのソフトウェア会社が集積する一流の都市になっているのです。
こういった今後も世界を牽引すると見られている分野でそれぞれの都市がナンバーワンになっており、すぐれた人材が集まっている。今後、最も注目されている分野であるAI(人工知能)などの分野でも、一流の研究者は米国の大学にいます。大学に所属している教授が、グーグルやフェイスブックなどの研究所で多額の資金を使い、最先端のAI技術を実用化させる研究などを行なっているのです。
さらに、世界各地から優秀な人材が集まってくる理由として、米国は法律などルールがフェアに作られている点も大きい。違法移民の子どもでも、米国で生まれれば、米国籍を選択することも可能です。そういった公平に作られている制度が、高度な技術を持った人材をどんどん呼び込んでいるのです。フェアなルール作りをするという信条は、米国が世界的な覇権を握っている大きな要因にもなっています。経済成長しているからと言って、中国が米国に代わり、世界のルールメーカーになることはあり得ない。少なくとも今後数十年は、米国が世界の覇権を握る立場から脱落するとは考えられません。
【米国株がスゴイ理由4】
エネルギー自給が可能になりコストが低下!
多大な軍事費の低減分も国内産業に転用へ
9年前までは、エネルギーの輸入量は増加していましたが、現状はわずか10%程度です。米国では12年頃にシェールガスの商業化に成功したことから、エネルギーの自給率が06年の70%から14年には90%まで高まっており、数年後にはエネルギー輸出国になる見込みです。エネルギー価格の低下は、化学製品をはじめ、原材料のコストが低下することになり、国内産業の活発化を促します。
加えて、これまではエネルギー確保の観点から、米国は中東での影響力を維持する必要がありました。これは、多大な軍事コストの負担となっていましたが、現在のシリア内戦への姿勢などを見ても、米国が中東でさらなる軍事展開をする可能性は小さい。軍事費が米国内の産業用に転用されることで、内需が活発化する可能性もあります。
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