英国ではすでに普及している「デビットカード」による
「キャッシュアウト=現金の引き出し」が日本でも導入される!?
金融庁が発表した打開策とは、「J-Debitカード」による「キャッシュアウト」の解禁です。「キャッシュアウト」とは、日本ではまだあまりなじみのない言葉かもしれませんが、“デビットカードを使って、加盟店の店頭で現金(キャッシュ)を引き出すこと”です。
つまり、「キャッシュアウト」が解禁されれば、小売店などのレジをATM代わりにして、お金を受け取れるようになるわけです(※ただし、日本で「キャッシュアウト」を行う場合は、直接レジからお金を引き出すのではなく、たとえば2万円の買い物をしたときに、3万円を口座から引き落とすようにし、買った商品と一緒に差額の1万円をお釣りのような形で受け取る……という形になる予定です)。
現状の日本では考えられないようなサービスですが、英国などではもうずいぶん前から「デビットカード」で「キャッシュアウト」するのが一般的になっています。英国の場合、クレジットカードよりも「デビットカード」のほうが利用者が多いと言われるくらいです。
たしかに、「J-Debitカード」による「キャッシュアウト」ができれば、町中の色々な場所でお金を引き出せるわけですから、近所に銀行やコンビニがないときでも便利です。ただ、日本ではさまざまな規制の関係などで、何度も議題には上がっていたものの、長らく導入は見送られてきました。
それが、ここへ来て「2017年からの導入を目指す」と発表されたのですから、驚きです。それほど世間的には話題になっていませんが、これは「J-Debitカード」にとって大きなニュースです。
それにしても、なぜ今頃になって「キャッシュアウト」解禁を目指すことになったのでしょうか。理由はいくつか考えられます。まず一つは、当初の「J-Debitカード」の旗振り役だった「ゆうちょ銀行」が、2015年11月に上場したことです。
上場したからには、一民間企業としてより利益を追求していかなければなりません。そこで、泣かず飛ばずの「J-Debitカード」のテコ入れのため、「ゆうちょ銀行」が「キャッシュアウト」解禁を働きかけた可能性は高いでしょう。
さらに、もう片方の旗振り役だった「みずほ銀行」による、ライバル「三菱UFJ銀行」への対抗心も見え隠れしています。「三菱UFJ銀行」は、「ブランドデビット」である「VISAデビットカード」を導入し、順調に利用者数を増やしています。「みずほ銀行」としては、ここで対抗策を打たなければ「デビットカード」の分野で完全に「三菱UFJ銀行」に敗北してしまうでしょう。
世界的に見ても、欧米で「デビットカード」が着々と普及し、中国でも「銀聯カード」という「デビットカード」が普及。「銀聯カード」については、日本でも利用できる店舗がどんどん増えてきています。
となると、日本でも「デビットカード」が普及する可能性はあり、この辺りで手を打たなければ、日本は「ブランドデビットカード」の天下となってしまい、「J-Debitカード」はますます普及が遅れてしまいます。そこで、「みずほ銀行」と「ゆうちょ銀行」は、「ブランドデビットカード」ではまだ着手されていない、「キャッシュアウト」に注目したのではないかと思われます。
ATM不足の過疎化した地域でもキャッシュアウトが貢献?
反面で“なりすまし詐欺”などの懸念事項も山積み
また、「J-Debitカード」による「キャッシュアウト」を規制していた側の金融庁が懐柔させられたのは、別の要因があるはずです。これは私の予想ですが、金融庁は高齢化・過疎化が進む地域への対応策として、「キャッシュアウト」は有効だと考えているのかもしれません。
過疎化した地域では銀行やATMも少ないので、現金を引き出すのが困難という問題があります。しかし、「キャッシュアウト」ができるようになると、地元の店が「J-Debitカード」の読み取り用の機械を保有するようになれば、スーパーなどで現金を引き出せるようになります。地域住民が便利になるだけでなく、店側は「ついで買い」による売上アップも期待できるので、両者ともメリットがあります。
ですが、「キャッシュアウト」にはデメリットもあります。まず、加盟店は、レジに多額の現金を入れておかなければならないので、防犯上のリスクが増すのは避けられません。また、「キャッシュアウト」は高齢者にも便利なサービスですが、中にはシステムを理解できない人もいるでしょう。
そこにつけ込んで、犯罪者が高齢者をだまして「デビットカード」を取り上げ、暗証番号を聞き出すことで、なりすまし被害が発生するリスクはかなり高いと言えます。この辺りの問題がどうクリアされるのか、現時点ではまだまだ不透明です。
それでも、「キャッシュアウト」が解禁されれば便利になるのは事実。今のところ、「キャッシュアウト」では手数料ゼロで現金を出せる予定なので、ATMのように手数料がかからないというメリットもあります。
ですから、「キャッシュアウト」解禁後は「J-Debitカード」をもっと使っていくべきでしょう。とはいえ、海外でも使える「ブランドデビットカード」も捨てがたく、さらに還元率や付帯サービスが魅力的な「クレジットカード」もあるので、これらをうまく使い分ける時代になっていくのかもしれません。
(取材・構成/元山夏香)
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ソニー銀行 | ||||
コンビニATM出金手数料(税抜) | 振込手数料 (税抜) |
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セブン- イレブン |
ローソン | ファミリーマート (E-net) |
ミニストップ (イオン銀行) |
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24時間365日 何回でも無料 |
月4回まで無料、 5回目以降は100円 |
24時間365日 何回でも無料 |
同行あて:無料 他行あて:月1回無料、 2回目以降200円 |
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楽天銀行 | ||||
コンビニATM出金手数料 | 振込手数料 | |||
セブン- イレブン |
ローソン | ファミリー マート (E-net) |
ミニストップ (イオン銀行) |
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月0~7回まで無料 (以降200円) ※預金残高などで変化 |
月0~7回まで無料 (以降250円) ※預金残高などで変化 |
月0~7回まで無料 (以降200円) ※預金残高などで変化 |
同行あて:無料 他行あて:152~238円 (ゆうちょ銀行あては一律95円) |
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【2024年4月1日時点・最新情報】
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還元率 | 年会費 (税込) |
ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
カード フェイス |
◆楽天カード |
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1.0~3.0% | 永年無料 | VISA JCB Master AMEX |
楽天Edy (楽天Edyへの チャージ分は 還元率0.5%) |
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◆三井住友カード(NL) |
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0.5~7.0% | 永年無料 | VISA Master |
iD | |
【三井住友カード(NL)のおすすめポイント】 券面にカード番号が記載されていない「ナンバーレス(NL)」なのが特徴(カード番号はアプリで確認可能)。通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、Apple PayやGoogle Payに「三井住友カード(NL)」を登録して「Visaのタッチ決済」または「Mastercardタッチ決済」を利用すれば、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルド、サイゼリヤ、バーミヤンなど、対象のコンビニや飲食店では還元率7%に大幅アップ(※)する! さらに、獲得できる「Vポイント」は、dポイント、Pontaポイント、楽天ポイント、Tポイント、ANAマイルなどに交換できるほか、「1ポイント=1円」としてカード利用額に充当できるなど、ポイントの汎用性が高いのも魅力! ※ 一部店舗および一定金額を超える支払いでは指定の決済方法を利用できない場合、または指定のポイント還元にならない場合あり。iD、カードの差し込み、磁気取引による決済は7.0%還元の対象外。 |
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【関連記事】 ◆「三井住友カード(NL)」は年会費無料+高還元+最短10秒発行の“三拍子”が揃ったおすすめカード!「対象コンビニ&飲食店で最大7%還元」特典は利用価値あり! ◆「三井住友カード(NL)」は、年会費無料&対象コンビニで最大還元率7%のお得なクレジットカード! カード情報を記載していないのでセキュリティも抜群! |
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◆三井住友カード ゴールド(NL) |
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0.5~7.0% |
5500円 (ただし、年100万円以上の 利用で次年度から永年無料) |
VISA Master |
iD | |
【三井住友カード ゴールド(NL)のおすすめポイント】 2021年7月1日に発行が始まった、券面にカード番号が記載されていない“ナンバーレス(NL)”のゴールドカード。年会費5500円(税込)だが、年間100万円を利用すると(※1)、次年度から年会費が“永年無料”になるうえに、1万ポイントが「継続特典」としてもらえるのが大きな魅力! さらに、通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、Apple PayやGoogle Payに「三井住友カード(NL)」を登録して「Visaのタッチ決済」または「Mastercardタッチ決済」を利用すれば、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルド、サイゼリヤ、バーミヤンなど、対象のコンビニや飲食店では還元率7%に大幅アップ(※2)するなど、ポイントも貯まりやすくてお得! ※1 対象取引などの詳細は、三井住友カードの公式サイトでご確認ください。※2 一部店舗および一定金額を超える支払いでは指定の決済方法を利用できない場合、または指定のポイント還元にならない場合あり。iD、カードの差し込み、磁気取引による決済は7.0%還元の対象外。 |
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【関連記事】 ◆「三井住友カード ゴールド(NL)」は、年100万円以上を使うと年会費が“永年無料”に! コンビニで7%還元、空港ラウンジや旅行保険などの特典も付帯してお得! ◆三井住友カード ゴールド(NL)のメリット・デメリットを解説! 同じく“実質”年会費が無料の「エポスゴールドカード」と付帯サービスなどを比較して魅力を解剖! |
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還元率 | 年会費 (税込) |
ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
カード フェイス |
◆JCB CARD W(ダブル) |
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1.0~10.5% (※) |
永年無料 | JCB | QUICPay | |
【JCB CARD W(ダブル)のおすすめポイント】 39歳以下の人だけが申し込める、年会費無料のうえに通常還元率1%のお得な高還元クレジットカード!(40歳以降も継続して保有可能)さらに「ORIGINAL SERIESパートナー加盟店」の「ポイントアップ登録(無料)」をすれば、Amazonやセブン-イレブンなどでは還元率2%、スターバックスでは「スターバックスカード」へのチャージで還元率5.5%、「Starbucks eGift」の購入で還元率10.5%に! ※貯まったOki Dokiポイントを「JCB PREMO」に交換した場合の還元率。 |
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【関連記事】 ◆「JCB CARD W」は「楽天カード」などとほぼ同じ、年会費無料+還元率1~10.5%のJCBの入門カード!Amazonやスタバをよく利用する20~30代は注目! ◆「JCB CARD W」は、年会費無料で還元率1%以上のお得な高還元クレジットカード!「JCB CARD W」のメリット・デメリットを他のカードと比較して検証! ◆JCB CARD W(ダブル)のメリットを解説!「年会費無料」「常に還元率1.0%以上」「ポイントの使い勝手が良い」と三拍子そろった高還元クレジットカード! |
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◆au PAY カード |
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1.0~2.0% |
初年度無料 次年度以降も 条件次第で無料(※) |
VISA Master |
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【au PAY カードのおすすめポイント】 通常還元率1.0%でPontaポイントが貯まり、マツモトキヨシやかっぱ寿司などの「au PAY ポイントアップ店」では還元率1.5~2.0%以上に達する、auユーザー以外も得するクレジットカード! しかも、初年度は年会費無料、2年目以降は年会費1375円(税込)だが、年に1回でもカード決済、もしくは携帯電話などのauのサービスを利用していれば次年度以降の年会費も無料に! ※ 2年目以降1375円。ただし、年一回でも利用した場合、もしくは「au ID」に「au PAY カード」を紐付けて、携帯電話などのauサービスを利用している場合は次年度無料。 |
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【関連記事】 ◆「auカブコム証券+au PAY カード」で積立投資すると1%分のPontaポイントが貯まる! つみたてNISAも対象なので、これから投資を始める人にもおすすめ! |
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◆セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード Digital |
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0.5~2.0% (※1) |
初年度無料 次年度以降も 条件次第で無料(※2) |
AMEX | Suica | |
【セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード Digitalのおすすめポイント】 通常還元率は0.5%だが、QUICPay決済を利用した場合は還元率2%に大幅アップ!(※3)セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンといったコンビニはもちろん、マツモトキヨシやツルハグループなどのドラッグストア、ビックカメラやヨドバシカメラといった家電量販店など、QUICPayを利用できる店舗ではいつでもどこでも還元率2%になるので非常にお得! 貯まるポイントは、有効期限のない「永久不滅ポイント」なので、ポイントの失効を気にする必要がないのもメリット! ※1 通常1000円(税込)につき1ポイント貯まる永久不滅ポイントを 「1ポイント=最大5円相当」 の商品に交換した場合の還元率。交換する商品によっては、1ポイントの価値が5円未満になる場合あり。※2 2年目以降1100円。ただし、年一回でもクレジットカードの利用があれば次年度以降も無料。※3 年間合計30万円までの利用分が対象。以降は還元率0.5%。 |
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