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「デビットカード」のメリット増加で普及なるか?スーパーなどのレジがATM代わりに使える「キャッシュアウト(預金引き出し)」解禁の意味

【第22回】 2015年12月25日公開(2024年4月2日更新)
岩田昭男
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英国ではすでに普及している「デビットカード」による
「キャッシュアウト=現金の引き出し」が日本でも導入される!?

 金融庁が発表した打開策とは、「J-Debitカード」による「キャッシュアウト」の解禁です。「キャッシュアウト」とは、日本ではまだあまりなじみのない言葉かもしれませんが、“デビットカードを使って、加盟店の店頭で現金(キャッシュ)を引き出すこと”です。

 つまり、「キャッシュアウト」が解禁されれば、小売店などのレジをATM代わりにして、お金を受け取れるようになるわけです(※ただし、日本で「キャッシュアウト」を行う場合は、直接レジからお金を引き出すのではなく、たとえば2万円の買い物をしたときに、3万円を口座から引き落とすようにし、買った商品と一緒に差額の1万円をお釣りのような形で受け取る……という形になる予定です)。

 現状の日本では考えられないようなサービスですが、英国などではもうずいぶん前から「デビットカード」で「キャッシュアウト」するのが一般的になっています。英国の場合、クレジットカードよりも「デビットカード」のほうが利用者が多いと言われるくらいです。

 たしかに、「J-Debitカード」による「キャッシュアウト」ができれば、町中の色々な場所でお金を引き出せるわけですから、近所に銀行やコンビニがないときでも便利です。ただ、日本ではさまざまな規制の関係などで、何度も議題には上がっていたものの、長らく導入は見送られてきました。

 それが、ここへ来て「2017年からの導入を目指す」と発表されたのですから、驚きです。それほど世間的には話題になっていませんが、これは「J-Debitカード」にとって大きなニュースです。

 それにしても、なぜ今頃になって「キャッシュアウト」解禁を目指すことになったのでしょうか。理由はいくつか考えられます。まず一つは、当初の「J-Debitカード」の旗振り役だった「ゆうちょ銀行」が、2015年11月に上場したことです。

 上場したからには、一民間企業としてより利益を追求していかなければなりません。そこで、泣かず飛ばずの「J-Debitカード」のテコ入れのため、「ゆうちょ銀行」が「キャッシュアウト」解禁を働きかけた可能性は高いでしょう。

 さらに、もう片方の旗振り役だった「みずほ銀行」による、ライバル「三菱UFJ銀行」への対抗心も見え隠れしています。「三菱UFJ銀行」は、「ブランドデビット」である「VISAデビットカード」を導入し、順調に利用者数を増やしています。「みずほ銀行」としては、ここで対抗策を打たなければ「デビットカード」の分野で完全に「三菱UFJ銀行」に敗北してしまうでしょう。

 世界的に見ても、欧米で「デビットカード」が着々と普及し、中国でも「銀聯カード」という「デビットカード」が普及。「銀聯カード」については、日本でも利用できる店舗がどんどん増えてきています。

 となると、日本でも「デビットカード」が普及する可能性はあり、この辺りで手を打たなければ、日本は「ブランドデビットカード」の天下となってしまい、「J-Debitカード」はますます普及が遅れてしまいます。そこで、「みずほ銀行」と「ゆうちょ銀行」は、「ブランドデビットカード」ではまだ着手されていない、「キャッシュアウト」に注目したのではないかと思われます。

ATM不足の過疎化した地域でもキャッシュアウトが貢献?
反面で“なりすまし詐欺”などの懸念事項も山積み

 また、「J-Debitカード」による「キャッシュアウト」を規制していた側の金融庁が懐柔させられたのは、別の要因があるはずです。これは私の予想ですが、金融庁は高齢化・過疎化が進む地域への対応策として、「キャッシュアウト」は有効だと考えているのかもしれません。

 過疎化した地域では銀行やATMも少ないので、現金を引き出すのが困難という問題があります。しかし、「キャッシュアウト」ができるようになると、地元の店が「J-Debitカード」の読み取り用の機械を保有するようになれば、スーパーなどで現金を引き出せるようになります。地域住民が便利になるだけでなく、店側は「ついで買い」による売上アップも期待できるので、両者ともメリットがあります。

 ですが、「キャッシュアウト」にはデメリットもあります。まず、加盟店は、レジに多額の現金を入れておかなければならないので、防犯上のリスクが増すのは避けられません。また、「キャッシュアウト」は高齢者にも便利なサービスですが、中にはシステムを理解できない人もいるでしょう。

 そこにつけ込んで、犯罪者が高齢者をだまして「デビットカード」を取り上げ、暗証番号を聞き出すことで、なりすまし被害が発生するリスクはかなり高いと言えます。この辺りの問題がどうクリアされるのか、現時点ではまだまだ不透明です。

 それでも、「キャッシュアウト」が解禁されれば便利になるのは事実。今のところ、「キャッシュアウト」では手数料ゼロで現金を出せる予定なので、ATMのように手数料がかからないというメリットもあります。

 ですから、「キャッシュアウト」解禁後は「J-Debitカード」をもっと使っていくべきでしょう。とはいえ、海外でも使える「ブランドデビットカード」も捨てがたく、さらに還元率や付帯サービスが魅力的な「クレジットカード」もあるので、これらをうまく使い分ける時代になっていくのかもしれません。

(取材・構成/元山夏香)

■「デビットカード」が発行可能な主なネット銀行はこちら!

 ソニー銀行
コンビニATM出金手数料(税抜) 振込手数料
(税抜)
セブン-
イレブン
ローソン ファミリーマート
(E-net)
ミニストップ
(イオン銀行)
24時間365日
何回でも無料
月4回まで無料
5回目以降は100円
24時間365日
何回でも無料
 同行あて:無料
 他行あて:月1回無料
 2回目以降200円
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 楽天銀行
コンビニATM出金手数料 振込手数料
セブン-
イレブン
ローソン ファミリー
マート

(E-net)
ミニストップ
(イオン銀行)
月0~7回まで無料
(以降200円)
※預金残高などで変化
月0~7回まで無料
(以降250円)
※預金残高などで変化
月0~7回まで無料
(以降200円)
※預金残高などで変化
 同行あて:無料
 他行あて:152~238円
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還元率 年会費
(税込)
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カード
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 ◆三井住友カード(NL)

0.5~7.0% 永年無料 VISA
Master
iD
三井住友カード(NL)の公式サイトはこちら
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 ◆楽天カード

1.0~3.0% 永年無料 VISA
JCB
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楽天Edy
(楽天Edyへの
チャージ分は
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 ◆イオンカードセレクト

0.5~1.0%

永年無料 VISA
JCB
Master
WAON
モバイルSuica
SMART ICOCA

モバイルSuicaと
SMART ICOCAへの
チャージ分は還元率0.25%)
イオンカードセレクトのカードフェイス
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還元率 年会費
(税込)
ブランド 電子マネー対応
(ポイント付与対象)
カード
フェイス

 ◆三井住友カード ゴールド(NL)

0.5~7.0%

5500円
(ただし、年100万円以上の
利用で次年度から永年無料
VISA
Master
iD
三井住友カード ゴールド(NL)のカードフェイス
【三井住友カード ゴールド(NL)のおすすめポイント】
券面にカード番号が記載されていない“ナンバーレス(NL)”のゴールドカード。年会費5500円(税込)だが、年間100万円を利用すると(※1)、次年度から年会費が“永年無料”になるうえに、1万ポイントが「継続特典」としてもらえるのが大きな魅力! さらに、通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、Apple PayやGoogle Payに「三井住友カード ゴールド(NL)」を登録して「Visaのタッチ決済」または「Mastercardタッチ決済」を利用すれば、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルド、サイゼリヤ、バーミヤンなど、対象のコンビニや飲食店では還元率7%に大幅アップ(※2)するなど、ポイントも貯まりやすくてお得!
※1 対象取引などの詳細は、三井住友カードの公式サイトでご確認ください。※2 一部店舗および一定金額を超える支払いでは指定の決済方法を利用できない場合、または指定のポイント還元にならない場合あり。iD、カードの差し込み、磁気取引による決済は7.0%還元の対象外。Google PayではMastercardタッチ決済は利用不可。
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1.0~10.5%
(※)
永年無料 JCB QUICPay
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【JCB CARD W(ダブル)のおすすめポイント】
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 ◆アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カード

0.3~1.5%
(※1)
3万9600円 AMEX
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【アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カードのおすすめポイント】
日本で最初に発行されたゴールドカード「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」の後継カードだけに、ステータス&付帯サービスは最高レベルで、カードが金属製という特別感もあって、一般的なゴールドカードとはケタ違い。たとえば、年間200万円(税込)以上を利用してカードを継続保有すると、国内40カ所以上の高級ホテルに無料宿泊できる「フリー・ステイ・ギフト」は、もはや一般的なプラチナカードすら凌駕するレベルの特典だ。さらに、高級レストランを2人以上で利用すると1人分が無料になる「ゴールドダイニング by 招待日和」や、世界1400カ所以上の空港ラウンジを年2回まで無料で利用できる「プライオリティ・パス」最高補償額1億円の「海外旅行傷害保険」が付帯するなど、もはや「ゴールドカード」の枠組みを大きく飛び越えている。また、家族カードは2人目まで年会費無料でお得(3人目以降は年1万9800円・税込)。
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