ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。今回は、シンガポールの住宅事情について紹介していきたいと思います。
シンガポールでは、持ち家率が約9割に上ります。日本の持ち家率は約6割なので、かなり持ち家の割合が高いですよね。
シンガポールで持ち家率が高い理由のひとつは、政府が「HDB」という団地のようなマンションを購入する人に対して、補助をしているからです。条件にもよりますが、一部屋あたり300万円前後の補助を受けることができ、住宅購入の頭金に充当できます。

また、HDBの場合は、購入価格自体がHDB以外の物件価格よりも低価格に設定されている、というメリットもあります。エリアや、その時々の需給動向などによっても大幅に変動しますが、今のところはファミリータイプの物件で、日本円にして2000万~3000万円台から買えます。
ただ、HDBを購入するにあたっては、シンガポール人であることなどの条件を満たさなければならず、外国人は原則購入できません。が、賃貸は可能です。現状、シンガポール人の約8割がHDBに住んでいると言われていますが、外国人も一定数賃貸でHDBに住んでいます。
外国人向けのコンドミニアムは充実の設備
ただし家賃は、安いところでも月額20万円以上
一方、外国人が多く住んでいるのは、コンドミニアムというタイプの住宅です。リゾートホテルのような高級感あふれる外観で、セキュリティも整っており、プールやジム、バーベキューピットなどの豪華な施設が完備されていることも多いです。
家具付きの物件も多くあるために、駐在で数年間住むだけの人は、そうしたタイプの住宅を選ぶこともできます。部屋タイプはさまざまですが、2〜3ベッドルーム(2〜3LDK)が人気で、バス・トイレも2つずつ付いている場合が多いです。なかには、メイドさん専用の部屋やバス・トイレが付いている場合もあります。
ちなみに、こちらの物件は広い部屋が多く、70平米以下の物件は非常に少ないために、単身で滞在する場合は、ルームシェアをする人も多いようです。
コンドミニアムの場合、どんなに安くても月々の家賃に20万円以上かかるのが一般的で、日本人が多く住むエリアだと40万円前後かかることも多いです。先ほどのHDBの場合も、場所にもよりますが賃貸で月30万円前後かかることは珍しくなく、おかげでシンガポールは家賃がとても高い、という印象を強く受けています。
豪華なコンドミニアムにも弊害が……
侵入してくるアリ問題、転落への不安もつきまとう
シンガポールの住宅の多くは、床が大理石でリッチな雰囲気なのですが、子供が転倒すると大けがにつながったり、お皿を落とすと木っ端みじんに割れてしまったり……というデメリットもあります。
また、高額な家賃のわりには作りが悪いのか、アリがたくさん出ます。アリよけを至るところに置いていても、食べ物を放置しようものなら、(放置した時間が数時間であっても)あっという間にアリでいっぱいになってしまうこともあります。
家賃が月額100万円のコンドミニアムであっても、アリが出ることは少なくないようで、シンガポールで生活をする上では、アリとのお付き合いは避けがたいようです。こちらに来た当初は、それが本当に耐えられなくて、「こんなところに住みたくない」と日々思っていたのですが、今ではすっかり慣れてしまいました。
また、シンガポールの高層の建物では、窓の外に手すりがないものも多く、そのために窓ガラスを拭いている最中、転落してしまう事故が相次いだ時期もあったとのこと。小さい子供がいる母親としては心配になってしまいます。
蚊の発生を防止する努力を怠ると
高額の罰金や禁固刑を科せられるので要注意
ただ、こちらでは蚊に刺されるとデング熱にかかるリスクがあるので、低層階に住む場合は要注意です。10階以上など、高層階の住宅だと、蚊に悩まされるリスクも少ないようなので、転落の不安はあるものの健康面では安心です。
なお、シンガポールでは政府の役人が一般の住宅に抜き打ち検査に来て、プランターなど蚊が発生しやすいものを家の中に置いていないか、質問してくることもあります。
シンガポールは罰則が多い国として有名ですが、蚊の発生を防止しなかった場合、初犯1万ドル(約80万円)以下の罰金、または6カ月以下の禁固、もしくはその両方――という重い罰を受けなければならないリスクもあります。
多くの集合住宅では、定期的に除草剤のようなものをかけて蚊の防止に努めています。
(※編集部注:ちなみにザイ・オンライン編集部のM部員が過去3回シンガポールを訪れた際には、街中はもちろん、公園や動物園などの草木が生い茂っている場所でも、ほとんど蚊には遭遇せず。政府の対策が功を奏しているのを感じた)
シンガポールの国土の大半は国有地
外国人が一戸建てを購入できるエリアはわずか
最後に土地つき一戸建てについてですが、シンガポールでは一戸建ての住宅はとても少ないです。国土の8割が国有地で、シンガポール人の場合も住宅購入時の土地所有権はなく、長期の借り受け契約となります。

外国人の場合は「セントーサ・コープ」というエリアでのみ一戸建ての購入ができますが、10億円前後することもザラです。セントーサ・コープの周りを歩いたことがあるのですが、自家用クルーザーが停留していたり、高級ワインがずらりと並んでいるお店があったりと、超富裕層が住む別世界でした。
このように、物価の高いシンガポールでもなかでも、一際高いのが住居費なのです。駐在の場合、多くの会社が家賃の何割かを負担してくれる場合が多いですが、そうでない場合はルームシェアなどで家賃負担を減らす工夫が必要になります。
家賃が高いこともあって、シンガポール人や欧米人の多くは共働きです。やはり、この家賃は2馬力でないとなかなか支払えるものではないからです。
シンガポール人の友達が「老後のために1億5000万円が必要だ」と言っていたのですが、決して大げさではなく、これだけ物価が高ければそうなるのだなと思いました。リタイア後の海外移住先としてシンガポールを選ぶのは、よほどの富裕層でない限り厳しいかもしれません。
※クレジットカードの専門家2人が選んだ、2023年の最強カードは?
⇒【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】
「おすすめクレジットカード」を2人の専門家が選出!
全8部門の“2023年の最優秀カード”を詳しく解説!
【2023年6月1日時点・最新情報】
|
||||
還元率 | 年会費 (税込) |
ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
カード フェイス |
◆楽天カード |
||||
1.0~3.0% | 永年無料 | VISA JCB Master AMEX |
楽天Edy (楽天Edyへの チャージ分は 還元率0.5%) |
![]() |
【楽天カードのおすすめポイント】 楽天市場や楽天ブックス、楽天トラベルを利用している人はもちろん、楽天ユーザー以外にもおすすめの「年会費無料&高還元」クレジットカードの代表格。通常還元率は1.0%だが、楽天市場や楽天ブックスでは最低でも還元率が3.0%以上に! また、「楽天ポイントカード」や電子マネーの「楽天Edy」との併用で、楽天グループ以外でも還元率は1.5~2.0%以上になる! ゴールドカードの「楽天プレミアムカード」も格安の年会費で「プライオリティ・パス」がゲットできてコスパ最強! |
||||
【関連記事】 ◆【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】「おすすめクレジットカード」を2人の専門家が選出!全8部門の“2023年の最優秀カード”を詳しく解説!(最優秀メインカード部門) ◆「楽天ポイント」が改悪続きでも“最強のポイント”である理由を専門家が解説!「楽天カード」などだけでなく、無料でポイントを獲得できるサービスが魅力! ◆「楽天カード」よりも「楽天プレミアムカード」のほうが得をする“損益分岐点”が判明! 楽天市場で年36万円を利用しない限り、年会費無料の「楽天カード」で十分! |
||||
◆三井住友カード(NL) |
||||
0.5~5.0% | 永年無料 | VISA Master |
iD |
![]() |
【三井住友カード(NL)のおすすめポイント】 2021年2月に申し込み受付が始まった「三井住友カード」の新しいクレジットカードで、券面にカード番号が記載されていない「ナンバーレス(NL)」なのが特徴(カード番号はアプリで確認可能)。通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルド、サイゼリヤ、バーミヤンなどで「Visaのタッチ決済」または「Mastercardコンタクトレス」で支払うと、還元率5%に大幅アップ(※)するので、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドなどを日常的に利用する人におすすめ! さらに、獲得できる「Vポイント」は、dポイント、Pontaポイント、楽天ポイント、Tポイント、ANAマイルなどに交換できるほか、「1ポイント=1円」としてカード利用額に充当できるなど、ポイントの汎用性が高いのも魅力! ※ 一部店舗では還元率5.0%とならない場合あり。また、一部店舗および一定金額を超える支払いでは「Visaのタッチ決済」および「Mastercardコンタクトレス」が利用不可の場合あり。 |
||||
【関連記事】 ◆「三井住友カード(NL)」は年会費無料+高還元+最短翌日発行の“三拍子”が揃ったおすすめカード!「対象コンビニ&飲食店で最大5%還元」特典は利用価値あり! ◆「三井住友カード(NL)」は、年会費無料&対象コンビニで最大還元率5%のお得なクレジットカード! カード情報を記載していないのでセキュリティも抜群! |
||||
◆ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カード |
||||
1.0~1.5% (※1) |
1万6500円 | AMEX | - |
![]() |
【ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カードのおすすめポイント】 2021年3月から発行が始まった、高級ホテル「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」との提携カード。ヒルトンの上級会員資格「ヒルトン・オナーズ・ゴールドステータス」が無条件で付帯し、レイトチェックアウトや部屋のアップグレード(最高でエグゼクティブ)、朝食無料サービスなどを利用できるのが最大の魅力! さらに、年間150万円以上を利用すると「ウィークエンド無料宿泊特典(金・土・日のみ利用可)」がもらえて、ヒルトンやコンラッドなどの1泊3万円以上するような高級ホテルに無料で宿泊できる! また、通常100円につき2ポイント、ヒルトン系列では100円につき3ポイントの「ヒルトン・オナーズ・ボーナスポイント」を獲得でき、貯めたポイントでヒルトン系列のホテルに宿泊することも可能! ※1 ヒルトン系列ホテルの宿泊にポイントを利用した場合。1ポイント=0.5円換算。 |
||||
【関連記事】 ◆ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カード登場! ヒルトンホテルで朝食無料になる「ゴールド」会員になれるほか、カード利用で無料宿泊も可能に! ◆「ヒルトン・オナーズ・アメックス」のメリットを解説!1泊9万円強の高級ホテルへの無料宿泊特典や朝食無料サービスなど、高額な年会費以上にお得な特典が付帯 ◆【アメリカン・エキスプレス・カードを一覧で比較】アメックスが発行する13枚のカードの年会費や特典、還元率を比較して、自分にピッタリの1枚を探そう!(ヒルトン・オナーズ アメックスの解説へ) |
||||
還元率 | 年会費 (税込) |
ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
カード フェイス |
◆三井住友カード ゴールド(NL) |
||||
0.5~5.0% |
5500円 (ただし、年100万円以上の 利用で次年度から永年無料) |
VISA Master |
iD |
![]() |
【三井住友カード ゴールド(NL)のおすすめポイント】 2021年7月1日に発行が始まった、券面にカード番号が記載されていない“ナンバーレス(NL)”のゴールドカード。年会費5500円(税込)だが、年間100万円を利用すると(※1)、次年度から年会費が“永年無料”になるうえに、1万ポイントが「継続特典」としてもらえるのが大きな魅力! さらに、通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドなどで「Visaのタッチ決済」または「Mastercardコンタクトレス」で支払うと還元率5%に大幅アップ(※2)するなど、ポイントも貯まりやすくてお得! ※1 対象取引などの詳細は、三井住友カードの公式サイトでご確認ください。※2 一部店舗では還元率5.0%とならない場合あり。また、一部店舗および一定金額を超える支払いでは「Visaのタッチ決済」および「Mastercardコンタクトレス」が利用不可の場合あり。 |
||||
【関連記事】 ◆「三井住友カード ゴールド(NL)」は、年100万円以上を使うと年会費が“永年無料”に! コンビニで5%還元、空港ラウンジや旅行保険などの特典も付帯してお得! ◆三井住友カード ゴールド(NL)のメリット・デメリットを解説! 同じく“実質”年会費が無料の「エポスゴールドカード」と付帯サービスなどを比較して魅力を解剖! |
||||
◆JCB CARD W(ダブル) |
||||
1.0~5.5% (※) |
永年無料 | JCB | QUICPay |
![]() |
【JCB CARD W(ダブル)のおすすめポイント】 39歳以下の人だけが申し込める、年会費無料のうえに通常還元率1%のお得な高還元クレジットカード!(40歳以降も継続して保有可能)さらに「ORIGINAL SERIESパートナー加盟店」の「ポイントアップ登録(無料)」をすれば、Amazonやセブン-イレブンなどでは還元率2%、「スターバックスカード」へのチャージで還元率5.5%に! ※貯まったOki Dokiポイントを「JCB PREMO」または「nanacoポイント」に交換した場合の還元率。 |
||||
【関連記事】 ◆「JCB CARD W」は「楽天カード」などとほぼ同じ、年会費無料+還元率1~3%のJCBの入門用カード!Amazonやスタバをよく利用する20~30代は注目! ◆「JCB CARD W」は、年会費無料で還元率1%以上のお得な高還元クレジットカード!「JCB CARD W」のメリット・デメリットを他のカードと比較して検証! ◆JCB CARD W(ダブル)のメリットを解説!「年会費無料」「常に還元率1.0%以上」「ポイントの使い勝手が良い」と三拍子そろった高還元クレジットカード! |
||||
◆au PAY カード |
||||
1.0~2.0% |
初年度無料 次年度以降も 条件次第で無料(※) |
VISA Master |
- |
![]() |
【au PAY カードのおすすめポイント】 通常還元率1.0%でPontaポイントが貯まり、マツモトキヨシやかっぱ寿司などの「au PAY ポイントアップ店」では還元率1.5~2.0%以上に達する、auユーザー以外も得するクレジットカード! さらに、スマホ決済の「au PAY」へのチャージでも1.0%分のポイントが貯まり、「au PAY(コード払い)」の利用時に0.5%分のポイントが貯まるので、合計還元率1.5%でPontaポイントを2重取りできる! しかも、初年度は年会費無料、2年目以降は年会費1375円(税込)だが、年に1回でもカード決済、もしくは携帯電話などのauのサービスを利用していれば次年度以降の年会費も無料に! ※ 2年目以降1375円。ただし、年一回でも利用した場合、もしくは「au ID」に「au PAY カード」を紐付けて、携帯電話などのauサービスを利用している場合は次年度無料。 |
||||
【関連記事】 ◆「auカブコム証券+au PAY カード」で積立投資すると最大5%のPontaポイントが貯まる! つみたてNISAも対象なので、これから投資を始める人にもおすすめ! ◆「au PAY カード」を使って、auカブコム証券で投資信託の積立投資をしてみた! 積立金額の1~5%分のPontaポイントが付与されるタイミングなどを検証! |
||||
◆セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード Digital |
||||
0.5~2.0% | 初年度無料 次年度以降も 条件次第で無料(※1) |
AMEX | Suica |
![]() |
【セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード Digitalのおすすめポイント】 通常還元率は0.5%だが、QUICPay決済を利用した場合は還元率2%に大幅アップ!(※2)セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンといったコンビニはもちろん、マツモトキヨシやツルハグループなどのドラッグストア、ビックカメラやヨドバシカメラといった家電量販店など、QUICPayを利用できる店舗ではいつでもどこでも還元率2%になるので非常にお得! 貯まるポイントは、有効期限のない「永久不滅ポイント」なので、ポイントの失効を気にする必要がないのもメリット! ※1 2年目以降1100円。ただし、年一回でもクレジットカードの利用があれば次年度以降も無料。※2 年間合計30万円までの利用分が対象。以降は還元率0.5%。 |
||||
【関連記事】 ◆「セゾンパール・アメックス・カード Digital」は、QUICPayで2%還元と超お得! 最短5分で発行できる「SAISON CARD Digital」の申し込み方法も解説! ◆還元率が高い、おすすめのクレジットカードを紹介!クイックペイを利用すれば還元率2%になる「セゾンパール」など、年会費が実質無料で注目の3枚をチェック |
||||