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確定拠出年金を使えば、サラリーマンも節税しながら
老後資金を上乗せできる! 会社員でも専業主婦でも
誰でも加入可能になる確定拠出年金の活用法を伝授!

【第28回】 2016年9月13日公開(2017年12月7日更新)
風呂内亜矢
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 2017年から、「確定拠出年金」の制度が一部変更になります。確定拠出年金とは、“加入者自身が運用し、その結果次第で将来の年金額が変動するタイプの年金”です。

 国民年金、厚生年金などの公的年金、あるいはその他の企業年金(各企業が独自に用意している年金。厚生年金基金など)のように、将来もらえる年金額がある程度決まっているものは、「確定給付年金」と呼ばれています。確定拠出年金は単独で加入するわけではなく、公的年金に上乗せするイメージです。

 つまり、確定拠出年金は老後資金の備えを手厚くするための手段の一つと言えます。老後資金が不安な人、今から老後資金に少しずつ備えていきたいという人は、確定拠出年金に注目してみるといいでしょう。

 なお、確定拠出年金は、「DC」と呼ばれたり、「401k」と呼ばれたりすることもありますが、どれも意味は同じです。今回は「DC」と表記して話を進めたいと思います。

「確定拠出年金(DC)」には税金優遇という大きなメリットあり!
最大の注意点は、60歳以降まで引き出しができないこと

 DCの2017年からの変更点を紹介する前に、そもそもDCについてよく知らない方のため、そのおもな特徴を挙げてみます。

【DCのおもな特徴】
(1)20~60歳までの、国民年金・厚生年金加入者が加入できる
(2)運用益を受け取れるのは60歳以降(中途解約不可。掛け金の減額は可)
(3)定期預金、保険、投資信託といった商品の中から、自分で好きなものを選択して運用
(4)拠出するとき、運用しているとき、受け取るときの3段階で税金優遇


 順に解説していきましょう。

 まずは(1)ですが、DCは公的年金に上乗せして加入するものなので、すでに年金を受け取る年代になっている人は加入できません。

 次は(2)について。DCはあくまで「年金」なので、例えば40歳くらいの人が「マイホームの頭金が足りないから、DCを解約したい」などと思っても、引き出すことは不可能です。DCの受け取りが可能になるのは、原則60歳以降です。

 この点は、DCを始める前に最も注意しておかなければならない点です。いくら老後資金が不安でも、無理をしてDCに資金をつぎ込んでしまうと、手元の資金が心許なくなり、いざというときに困る……ということになりかねないからです。

 逆に言うと、だからこそ強制的に貯金する効果が高く、浪費グセがあって貯金が苦手な人には役立つわけですが、いずれにせよ無理に掛け金を増やしすぎないように注意しましょう。

 続いて(3)。DCは自分で運用する年金ですが、どんな金融商品で運用するかといえば、大体「定期預金」「保険」「投資信託」などとなっています。もちろん、それぞれ一種類ずつではなく、いくつもの種類があります。それらを自分の好きなように組み合わせて運用をしていきます。

 例えば、長い時間をかけてハイリスク・ハイリターンな運用を目指すのであれば、株式を組み入れた投資信託を中心に資産を組み合わせるのがスタンダードです。そうではなく、できる限りリスクを抑えていきたいのであれば、資産の大部分は定期預金、あるいは国内債券型の投資信託などに振り分けておくことになるでしょう。

上は2016年9月8日に発表された「楽天証券」のDC取り扱い投資信託のラインアップ。他社で取り扱いのない、セゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」などが含まれているのが特徴。
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 DCで選択できる商品のラインアップは、金融機関(銀行や証券会社)によって大幅に異なります(DCに適した金融機関選びについては後ほど解説します)。

 そして、DCの最大の魅力と言われているのは、(4)にあるように税金の優遇が受けられることです。DCに加入すると、毎月一定金額を積み立てていく形になりますが、このときの掛け金は、一定の限度額の範囲内であれば非課税となります。

 例えば、自営業者の人が年間80万円をDCの掛け金として支払うと、その80万円は丸ごと所得控除の対象となります。つまり、80万円分少なく所得を申告できるため、所得税を減らせるわけです。

 運用の利益についても、通常であれば2割以上を税金で差し引かれるところですが、やはり非課税となります。60歳以降にDCの運用益を受け取るときには税金がかかるものの、控除枠が設定されて優遇される仕組みになっています。

DCには「企業型DC」と「個人型DC」の2種類があり、
2017年からは誰でも「個人型DC」に加入できるようになる!

 続いて、DCの種類について紹介していきましょう。DCには「企業型」「個人型」の2種類があります。

■確定拠出年金の企業型と個人型の違いは?
   企業型  個人型
 実施主体  企業
(企業型年金規約の
  承認を受けた企業)
 国民年金基金連合会
 加入できる人  実施企業に
 勤務する従業員
【2016年9月時点】
(1)自営業者
(2)企業年金や企業型DCのない企業の従業員
【2017年1月以降】
(1)自営業者
(2)企業年金や企業型DCのない企業の従業員

(3)公務員
(4)専業主婦(主夫)
(5)企業年金や企業型DCのある企業の従業員(※1)
 掛金の拠出  企業
(規約によっては
  加入者も拠出可能な
  場合あり)
 加入者本人
 拠出限度額
(月額)
(1)企業年金ありの場合
   =2万7500円(※2)
(2)企業年金なしの場合
   =5万5000円(※2)
【2016年9月時点】
(1)自営業者
   =6万8000円
(2)企業型DCのない企業の従業員
   =2万3000円
【2017年1月以降】
(1)自営業者
   =6万8000円(※3)
(2)企業年金のない企業の従業員
   =2万3000円
(3)公務員
   =1万2000円
(4)専業主婦(主夫)
   =2万3000円
(5)企業年金のある従業員
   =1万2000~2万円(※4)
 金融機関  企業が決定  加入者が決定
 運用費用負担  企業または加入者が負担
(企業によって異なる)
 加入者が負担
(※1 勤務先が個人型DCへの加入を規約で認めていない場合、従業員がマッチング拠出を利用している場合は対象外)
(※2 企業年金=厚生年金基金、確定給付企業年金など)
(※3 国民年金基金の限度額と合算)
(※4 企業年金の実施状況によって個人型DCの限度額が異なる)

 企業型DCは、会社の退職給付制度の一種なので、勤務先の会社が掛け金を出してくれます。勤務先がDCを導入していれば利用できます。一方の個人型DCは、個人が自主的に老後資金を準備するためのものなので、掛け金は自分で支払います。

 企業型DCと個人型DCでは、掛け金の限度額が異なる……などの差異があります。とはいえ、先に挙げたDCの特徴は、どちらのタイプのDCにもあてはまるので、要は企業がお金を出すか、自分がお金を出すかの違いだと思っておけば十分です。

 2017年からの制度変更が目立つのは、個人型DCのほうです。これまでの個人型DCに加入できるのは、おもに以下の人達でした。

【個人型DCに加入できる人(2016年9月現在)】
◆20歳以上60歳未満で、勤務先に企業年金の制度がない会社員
◆20歳以上60歳未満の自営業者、及びその配偶者(国民年金加入者)


 逆に言うと、公務員、それに会社員や公務員の夫がいる専業主婦(主夫)は対象外だったのです。また、企業年金や企業型DCがある会社や、その他の企業年金がある会社に勤務している人も、個人型DCに加入することはできませんでした。

 しかし、2017年1月からは、20歳以上60歳未満の人であれば、公務員でも専業主婦(主夫)でも、企業型DCや企業年金がある企業の会社員でも、(勤務先が規約で認めれば)個人型DCに加入できるようになります。

 間口が広がったこと自体はいいことで、特に公務員の方が加入できるようになったのは、DCを活用する人を増加させる効果が期待できそうです。

 ただ、専業主婦(主夫)の方については、アルバイトをしている人を除いて、掛け金の所得控除のメリットが無関係になります。自分名義の老後資金を作れるという点は魅力と言えるかもしれませんが、家計全体で見れば得はしないので、加入者の増加はあまり見込めないと考えられます。

 さて、ここまでのところでDCの概要は理解できたでしょうか? これらを踏まえて、DCのメリットとデメリットを整理していきたいと思います。

DCの3つの大きなメリットを改めて確認!
転職・退職しても一元化できるポータビリティも便利

 DCのメリットとデメリットを簡単にまとめると、次のようになります。

【DCのメリット】
(1)節税効果がある
(2)老後資金を着実に用意できる
(3)転職しても、転職先にDCの制度があれば、前から積み立てていたものを引き継げる


【DCのデメリット】
(1)掛け金を60歳以降まで引き出せない
(2)自分で運用内容を考えなければならない
(3)節税効果はあるが、受け取り時には税金がかかる
(4)預け先の金融機関で手数料がかかる(企業型DCは会社負担の場合も)


 DCのメリットは、ここまでに紹介してきたとおり、税金の優遇があるところ。さらに、運用次第ではありますが、年金を増やせる可能性があるのもメリットです。また、浪費傾向があって貯金が苦手な人で、老後資金を不安視している人などは、半ば強制的に老後資金を準備できる手段として、DCを選択するのもいいと思います。

 なお、DCのメリットで、ここまでに出てきていなかったのは、(3)の内容です。例えば、企業型DCに加入し、その後転勤したり、退職したりすることもあるでしょう。その場合でも、DCの掛け金は60歳以降まで引き出せません。その代わり、次の転職先に企業型DCの制度があれば、以前の資産を転職先の企業型DCに移行して一元化できます。この仕組みを「ポータビリティ」と呼んでいます。

 もし、転職して企業型DCがない会社に入ったとしても、元々のDCは個人型DCに移行することが可能です。逆に、個人型DCをやっていた人が、企業型DCのある会社に転職した場合も、一元化することは可能です。

 ただ、これまでは、会社員で企業型DCをやっていた人が、転職してDCを利用できない公務員になった場合などに、ポータビリティができないケースもありました。しかし、2017年からは個人型DCの利用対象者が増加するため、基本的にどんな場合でもポータビリティできるようになります。

 ところで、DCに加入経験のある人の中には、このポータビリティの手続きをしていない人も、意外と多いのではないかと思われます。

 転職した場合、以前の会社を退職してから6カ月以内にポータビリティの手続きをしないと、国民年金基金連合会によって、強制的に資産のポータビリティが行われます。「自動移換」という措置です。その際、資産は現金化されます。

 自動移換されると、その期間はDCの加入者とは見なされなくなります。資産が消えてなくなることはありませんが、DCは加入している期間によって、受給開始年齢が変化します。60歳で受け取りたければ10年以上加入している必要がありますが、それ未満の状態で自動移換され、そのまま放置しておくと、受け取ることができるタイミングが遅くなります。

■加入期間と給付金の受給可能な年齢
 加入期間  受給可能な年齢
 1カ月以上~2年未満 65歳
 2年以上~4年未満 64歳
 4年以上~6年未満 63歳
 6年以上~8年未満 62歳
 8年以上~10年未満 61歳
 10年以上 60歳


 さらに、自動移換にはデメリットがあります。まず、利息がまったくつかなくなります。そのうえに、特定運営管理機関手数料(3240円)や管理手数料(毎月51円)、国民年金基金連合会手数料(1029円)といったコストを負担しなければなりません。また、改めてDCの移行手続きをしても、特別運営管理機関手数料がさらに発生します。

 このように、ポータビリティの手続きをしないと損をするので注意が必要ですが、ポータビリティの仕組み自体はDCの大きなメリットの一つなので、くれぐれも手続きを忘れないようにしましょう。

DCのデメリットは手数料や受け取り時にかかる税金だが、
税金優遇のメリットと比較すると、メリットの勝ち!

 メリットの次に、DCのデメリットを改めて紹介し、解説していきます。このデメリットについては、2017年の制度改正前後で特に変わることはありませんが、2017年から初めてやってみようという人は、これらを認識の上で始めていただきたいと思います。

【DCのデメリット】
(1)掛け金を60歳以降まで引き出せない
(2)自分で運用内容を考えなければならない
(3)節税効果はあるが、受け取り時には税金がかかる
(4)預け先の金融機関で手数料がかかる(企業型DCは、会社負担の場合も)


 まず、(1)の「掛け金を60歳以降まで引き出せない」という点については、すでに触れたとおりです。無計画に加入してしまうと、手元資金が不足し、子どもの進学やマイホーム資金など、現役時代にまとまったお金が必要になったときに困る恐れがあります。

 続いて(2)の「自分で運用内容を考えなければならない」という点は、運用が得意な人にとってはむしろメリットなのですが、金融商品の知識が乏しい人、運用に不安がある人にとってはデメリットでしょう。

 また、(3)の「節税効果はあるが、受け取り時には税金がかかる」という点は、見落とされがちです。DCからお金を受給するときには、年金、一時金などの手段があります。年金を選択すると「公的年金等控除」が適用され、一時金を選択すると「退職所得控除」が適用されるので、税制優遇は受けられます。

 ただ、例えばDC(一時金)以外に退職金を受け取る際には、合算した金額に退職所得控除が適用されます。よって、金額が多い場合などには、控除が適用されても税金が高くつくことがあります。

 年金として受け取る場合は、公的年金と同様に「雑所得」と見なされて、所得税の対象となります。

 最後に、デメリット(4)「預け先の金融機関で運営管理手数料がかかる(企業型DCは、会社負担の場合も)」にあるように、個人型DCを選択する場合は、DCの口座を開設している金融機関に手数料を支払わなければなりません。まず、初回の加入時に支払い、毎月運営管理手数料を支払い、さらに受け取りのときにもその都度手数料がかかります。

 金融機関にもよりますが、こうした手数料の合計金額が毎年数千円単位と高くなっているので、例えば定期預金だけでDCを運用していると、運用益が手数料に負けてしまうことになるでしょう。

 運用期間中は節税メリットが利いているのでマイナスにはならないかもしれませんが、受取時に税金を支払うわけですから、その分でマイナスになる可能性も。それならば、DCではなく、単純に積立預金をしていればよかった、ということになってしまいます。

 よって、これからDCを始めるのであれば、よく勉強した後に投資信託などで運用したほうが、良い結果につながりやすいでしょう。ただ、DCの場合、投資信託の信託報酬がかなり高い場合も多くなっています。特に、運営管理手数料が安いところは商品のコストが高い傾向も見られ、いずれにせよ手数料がかさみやすい点には注意しなければなりません。

 ここまでDCのデメリットを解説してきましたが、こうした手数料などの大きなデメリットを差し引いても、DCにはやはり魅力があります。特に、運用をもっとしていきたいという人には非課税メリットが大きいですし、運用がうまくいって利益が膨らめば、非課税メリットはさらに拡大します。

 また、繰り返しになりますが、老後資金に不安を感じている人が多い今、DCのように早い段階から老後資金の準備ができるツールを利用して、半ば強制的に蓄えるシステムにしておくのはいいことだと思います。DCは加入期間が長いほど節税の効果が高くなり、さらに長期間運用できれば、運用の成果を上げられる可能性も高まるでしょう。

商品ラインアップが充実しているのは証券会社。
大手ネット証券のDC口座を開設するのがベターな選択!

 最後に、金融機関の選び方についてお話しします。

 企業型DCの場合は、自分で金融機関を選ぶことはできませんが、個人型DCのほうだと、好きな金融機関を選択できます。2017年の制度改正を前に、多くの銀行や証券会社が個人型DC口座の制度を整えており、商品ラインアップを拡充させるところも増加しています。この流れで、高い手数料も今後値下げ競争が進んでいくことを願います。

 銀行と証券会社では、証券会社のほうが圧倒的に投資信託の種類が豊富なので、運用を積極的に考えるなら証券会社を選択しましょう。

 証券会社の場合、各社で異なっているのは商品ラインアップと手数料です。商品ラインアップは今後も拡充される会社が増えてきそうなので、ひとまずのところは手数料を見比べながら選択すれば問題ありません。

 現状でおすすめの証券会社の一つは、2016年4月から商品ラインアップを拡充し、さらに運営管理手数料や取扱商品の信託報酬といったコストも下げてきた「SBI証券」です。

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 また、「楽天証券」も2016年7月に新規参入し、「SBI証券」と同じく、運営管理手数料や信託報酬において低コスト路線を打ち出しているので、DC口座のメイン候補の一つに入れてもよさそうです。

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 DC口座は一人一つしか保有できませんが、途中で乗り換えたい場合は別の金融機関に変えることもできます。ただ、面倒な手続きや追加コストが発生するため、乗り換えは非現実的かもしれません。そのため、最初から低コスト路線の大手ネット証券などを選択しておくのがベターと言えそうです。

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